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本当にGeForce RTX 5080搭載?静かすぎて動いているか心配になるゲーミングPC

~GIGABYTEが放つ新型PC「AORUS PRIME 5」

GIGABYTEのゲーミングデスクトップPC「AORUS PRIME 5」。12月6日発売で、実売価格は55万円前後

 筆者は2025年で自作PC歴26年となるが、性能と冷却と静音のバランスがよいパーツの組み合わせはいまだに難しいと感じる。高い性能を安定して発揮させるには冷却力が必要で、そうなると当然動作音も大きくなりやすいためだ。

 しかし、そんな悩みをスパッと解決してくれるのがGIGABYTEの「AORUS PRIME 5」だ。性能が高いのに静かで快適な環境が、あれこれ悩まずにポンと手に入る。その実力を紹介したい。

GeForce RTX 5080搭載で最新ゲームも存分に楽しめる高性能

 GIGABYTEの「AORUS PRIME 5」はタワー型のゲーミングデスクトップPCだ。スッキリとしたシンプルなデザインだが、左側面は強化ガラスで内部がよく見える。前面/天面/背面のファン、メモリ、水冷ヘッドにはLEDが内蔵されており見栄えするライティングも可能と、ゲーミングPCらしい確保する。

 LEDを消灯すれば落ち着いた雰囲気、光らせればハデな演出とどちらの好みにも対応できるのがよいところ。サイズは約211×458×469mmで、重量は22kgだ。

シンプルで誰でも使いやすいデザイン
消灯すればシックなデザインに
正面。左側がカットされ、そこにAORUSロゴが入っているが主張しすぎずスッキリとまとまっている
ゲーミングPCっぽくライティングも楽しめる
ライティングで内部の雰囲気を変えられるので見栄えにこだわることも可能だ

 ゲーミングPCの最重要パーツであるビデオカードには、NVIDIA最新世代の「GeForce RTX 5080」を搭載。Blackwellアーキテクチャを採用し、CUDAコアを1万752基も備えるGeForce RTX 50シリーズの上位モデルだ。最大3フレームをAIで生成するDLSS 4マルチフレーム生成に対応し、基本スペックの高さと相まって描画負荷が強烈に高いゲームでも4K解像度で楽しめるパワーを持つ。

 ビデオメモリは高速なGDDR7を16GBも搭載しており、大容量メモリを求める画像生成やLLM(大規模言語モデル)といったAI処理もこなせる。さらに、AV1エンコードにも対応する第9世代NVENCを2基搭載していて動画の高速エンコードも可能と、ゲーム用途以外でも活躍できるのが大きな強みだ。

ビデオカードにはGeForce RTX 5080を搭載
ブーストクロックは2,670MHzと定格の2,617MHzからOCされたモデルだ
大型ビデオカードでも安心な内部設計
ビデオカードは3連ファンの大型タイプだ
サポートステーで奥までガッチリと固定されており、安心して移動や設置が行なえる

 CPUは、AMDの最新世代であるRyzen 9000シリーズから、ミドルレンジCPUの定番である「Ryzen 7 9700X」を搭載。8コア/16スレッドで最大5.5GHz駆動とゲームプレイには十分なスペックを持ちつつ、TDPが65Wで低発熱/低消費電力なのもポイントだ。

CPUにはRyzen 7 9700Xを搭載
8コア/16スレッドで最大5.5GHz動作だ

 そのほかのスペックとして、メモリは容量16GBのDDR5-5600を2枚使った合計32GB構成で、ゲームプレイに十分な容量を確保。なお、メモリスロットは4基用意しており、最大256GBまでの搭載に対応している。ストレージはPCIe 4.0 x4接続で容量2TBのNVMe SSDを採用しており、複数のゲームを余裕でインストールできるのが心強い。

2TBの大容量高速SSDを採用
ストレージはPCIe 4.0 x4接続のNVMe SSDを搭載
CrystalDiskMark 9.0.1の実行結果。シーケンシャルリードで7,346.48MB/s、ライトで6,919.59MB/sとPCIe 4.0 x4接続のSSDとしてトップクラスの速度だ

「高性能なのに静か」を実現する冷却設計

 次はPCケースをチェックしよう。前面、天面、右側面の一部はメッシュ構造となっており、エアフローを重視したPCケースだ。前面には3基の吸気ファン、背面には1基の排気ファン、天面には水冷CPUクーラーのラジエータと2基の排気ファンが取り付けられている。これにより、ゲームプレイで高負荷の状態が長時間続くことを想定した強力なエアフローが確保されている。

ケースはエアフロー重視の設計
ガラスパネルを外した側面。エアフローを妨げないようにキレイにケーブルは処理されている
前面には3基の吸気ファンを搭載
CPUクーラーは240mmクラスの簡易水冷クーラーを搭載。天面には2基の排気ファンがある。さらに背面にも排気ファンが1基あり、強力なエアフローを構築

 ここまで冷却システムが充実していると動作音が気になるところだ。そこで、前面、上部、背面のそれぞれ10cmの位置に騒音計を設置し、サイバーパンク2077を10分間実行したときの動作音を測定。あわせてCPUとGPUの温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。室温は24℃だ。

 なお、ファンコントロールのモードとして「静音」「通常」「フルスピード」があるため、それぞれで測定を行なっている。

GIGABYTE CONTROL CENTERでファンの設定が可能
ファンモードは静音、通常、フルスピードの3つがあり、手動でCPU温度ごとのファン回転数を設定することも可能だ

 静音、通常の2つのモードでの動作音はかなり静かだ。ケースファン、CPUクーラー、ビデオカード、電源をあわせると全部で10基のファンが回っていることになるため、さすがにファンの音は聞こえてくるが、ほとんど気にならないレベルとなっている。CPU、GPUともに高い負荷がかかるサイバーパンク2077で動作音をここまで抑えているのは優秀と言える。

 なお、静音と通常でほとんど動作音が変わらないのは、CPU温度が上がればどちらもファンの回転数が上がるためだ。フルスピードモードだと動作音がかなり大きくなる。

動作音の測定結果

 CPU温度については、各モードで順当と言える結果だ。静音で平均70.1℃、通常で平均68.6℃のCPU温度は、Ryzen 7 9700Xとしてはガッチリ冷えていると言ってよい。フルスピードは平均60.9℃で、動作音の大きさと引き換えにはなるが、より高い冷却力を発揮できる。

CPU温度の測定結果

 GPU温度については、どのモードでも平均63℃前後となった。サイバーパンク2077はGPU負荷がほぼ100%になるため、モードごとにあまり変化はなかった。ただ、GeForce RTX 5080でこの温度であれば非常によく冷えていると言える。

GPU温度の測定結果

 CPU、GPUともに長時間のゲームプレイも余裕でこなせる冷却力を持ちながら、動作音はかなり静かに抑えている。多くのゲーミングPC向けパーツを手がけているメーカーだからこその構成力と制御力だ。

 このほかのスペックについてもチェックしておこう。天面にはUSB 3.2 Gen 1 Type-CやUSB 3.2 Gen 1、音声入出力といったインターフェイスを配置。ゲーミングPCでは重要となるネットワーク機能もWi-Fi 7とBluetooth 5.4への対応に加え、2.5Gigabit Ethernetを備えるなど充実している。

インターフェイスも充実
天面インターフェイス部。左から、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1、ヘッドフォン出力、マイク入力、リセットボタン、電源ボタンが搭載されている
背面には映像出力のほか、USB 3.2 Gen 2 2基、USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、USB 2.0 4基、2.5Gigabit Ethernet、音声入出力などが搭載されている
着脱できるダストフィルタも装備
天面のダストフィルタはマグネット式で簡単に取り外せるので掃除がしやすい

最新&人気の6タイトルで検証! 4K最高画質でどこまで戦える?

 ここからは、実際の性能をチェックしていく。まずは、定番のCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。

Cinebench 2024の結果
スコアはMulti Coreが1,154、Single Coreが132
PCMark 10 Standardの結果
スコアは9,759

 Cinebench 2024は、Multi Coreで1,154、Single Coreで132と、どちらもRyzen 7 9700Xの順当なスコアを記録した。PCMark 10のスコアもすべて高く、一般的な用途で不満を感じることはないだろう。3DMarkに関しても、GeForce RTX 5080として十分なスコアを出しており、CPU、GPUとも性能をしっかりと引き出せている。

3DMarkの結果
Steel Nomadのスコアは8,619
Fire Strikeのスコアは49,588
Speed Wayのスコアは9,131

 では実ゲームはどうだろうか。今回は描画負荷が軽いものから重いものまで計6タイトルを用意した。解像度はフルHD、WQHD、4Kの3種類でテスト。基本的に最高画質設定を適用し、アップスケーラーやフレーム生成に対応しているものは、それぞれ利用している。

Apex Legends

【測定条件】最高画質にて、射撃訓練場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定

オーバーウォッチ2

【測定条件】画質「エピック」にて、botマッチを実行した際のフレームレートをCapFrameXで測定

Stellar Blade

【測定条件】画質「とても高い」、DLSSは「バランス」、マルチフレーム生成4xにて、サイレントストリートの一定コースを60秒間移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定

Battlefield 6

【測定条件】画質「オーバーキル」、DLSS「バランス」、マルチフレーム生成4xにて、シングルキャンペーンモードの夜間襲撃で60秒間移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定

モンスターハンターワイルズ

【測定条件】画質「ウルトラ」、DLSS「バランス」、マルチフレーム生成4xにて、ベースキャンプの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定

サイバーパンク2077

【測定条件】画質「レイトレーシング: オーバーライド」、DLSS「バランス」、マルチフレーム生成4xにて、ゲーム内のベンチマーク機能を実行

 どのゲームもGeForce RTX 5080のパワーを十分に発揮できていると言える結果だ。Apex Legendsは最大300fpsのゲームで、WQHDまでは上限に到達、4Kでも上限に近い平均フレームレートを出した。オーバーウォッチ2も4Kで高いフレームレートを維持できた。

 また、モンスターハンターワイルズやサイバーパンク2077は描画負荷の高いタイトルだが、それでも4Kで快適にプレイできるフレームレートを出している。これだけの性能があれば、当面ゲームプレイで性能不足を感じることはないだろう。

静かで高性能、最新ゲームに限らず幅広く活躍する1台

 AORUS PRIME 5は、非常に満足度の高いゲーミングPCだ。消灯時はシンプルなデザインのPCとして使え、ライティングを有効にすればLEDによって個性的な演出も楽しめる。

 性能面ではGeForce RTX 5080を搭載しているので、4Kゲーミングを余裕で楽しめるのはもちろん、クリエイティブワークやAI処理にも強いので幅広い用途で活躍。さらにその高性能を静かに使えて、動作音を気にするユーザーも満足できる。自作歴の長い筆者も“これはいいものだ”と素直に思える1台だ。