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PCIe 5.0 SSDなのに爆熱じゃない!? しかもお手頃価格な「EXCERIA PLUS G4」
- 提供:
- キオクシア株式会社
2025年3月25日 06:30
PCIe 5.0市場が盛り上がっている。Intel、AMDとも最新のマザーボードでは一部のエントリーモデルを除き、多くがPCIe 5.0に対応。ビデオカードも最新世代ではGeForce、RadeonがどちらもPCIe 5.0対応となり、本格的な普及が進んでいる。 そのPCIe 5.0を活用するストレージとして注目したいのがキオクシアの「EXCERIA PLUS G4」だ 。
現在市場に出回っているPCIe 5.0(Gen 5とも言う)対応のSSDは、10,000MB/s超の転送速度があるものの、発熱が大きく、価格が高いため導入のハードルが高かった。 しかし、EXCERIA PLUS G4は、10,000MB/sの速度でPCIe 4.0対応のSSDと変わらない低発熱を実現。さらに、これまでのPCIe 5.0対応SSDよりも2TB品なら1万円弱安い手頃な価格となっており、コスパを重視しつつワンランク上の高速ストレージを求める人にピッタリの製品と言える。 ここでは、実際にPCケースに組み込んだ上で、速度、温度の両面から実力をチェックしていく。
PCIe 5.0 SSDながら低発熱かつ低消費電力
EXCERIA PLUS G4は、キオクシアの個人向けとしては初となるPCIe 5.0 x4接続のNVMe SSDだ。キオクシアの第8世代BiCS FLASH TLCフラッシュメモリと、PhisonのPCIe 5.0対応コントローラ「PS5031-E31T」を組み合わせることで、シーケンシャルリードで最大10,000MB/s、シーケンシャルライトで最大8,200MB/sの速度を実現している。キャッシュ用のDRAMを搭載しない、いわゆるDRAMレスの製品だ。後述するが、最近はSSDの性能が上がったことでキャッシュ搭載の優位性が出にくくなっている。
最大の特徴は、低発熱、低消費電力を重視したフラッシュメモリとコントローラを採用し、PCIe 4.0 x4接続では到達できない速度と扱いやすさを両立していること。 フラッシュメモリの第8世代BiCS FLASH TLCは、218層と前世代よりも記録密度を高め、高速化しながら消費電力の削減を可能にするCBA(CMOS directly Bonded to Array)という新しいアーキテクチャを採用している。
PhisonのPS5031-E31Tは、DRAMレス対応のPCIe 5.0向けコントローラ。SSDはハイエンド向けでも12nmプロセスのコントローラが多い中、TSMC 7nmとかなり微細化したプロセスで製造されており、ハイレベルな低発熱、低消費電力を達成している。
SSDにおいてDRAMはランダムアクセス性能を高める役割があるので、DRAMレスである点は気になるかもしれない。しかし、 メインメモリの一部をキャッシュに割り当てるHMB(Host Memory Buffer)に対応しているのに加えて、コントローラの進化によって性能面での影響はかなり小さくなっている。DRAMを搭載しないことで消費電力もコストも抑えられるため、性能がそれほど変わらなければDRAMレスになるのは自然な流れと言える。
そのほか主なスペックは以下の通り。
【表1】EXCERIA PLUS G4のスペック | ||
---|---|---|
容量 | 1TB | 2TB |
フォームファクタ | M.2 2280 | |
インターフェイス | PCI Express 5.0 x4 | |
プロトコル | NVMe 2.0c | |
NANDフラッシュメモリ | キオクシア BiCS FLASH TLC | |
コントローラ | Phison PS5031-E31T | |
シーケンシャルリード | 10,000MB/s | 10,000MB/s |
シーケンシャルライト | 7,900MB/s | 8,200MB/s |
ランダムリード | 130万IOPS | |
ランダムライト | 140万IOPS | |
総書き込み容量(TBW) | 600TB | 1,200TB |
保証期間 | 5年 | |
実売価格 | 1万7,000円前後 | 2万8,000円前後 |
価格の面でみると、PCIe 5.0 SSDは現在その多くが1TBで2万円台、2TBで3万円台後半から入手できる一方、EXCERIA PLUS G4は1TBが1万7,000円前後、2TBが2万8,000円前後と手頃だ。 ちなみに、PCIe 4.0 SSDだとそれぞれ1万円前後、1万円台後半からとなっているので、本製品はPCIe 5.0と4.0の中間の価格帯に位置していると言える。
なお、 本製品はPCIe 5.0対応ではあるが、従来からのPCIe 4.0環境で利用しても、シーケンシャルリード/ライトの最高速度を引き出せないことを除き、多くのシーンで近い性能を発揮できる。 今回はそこも含めて検証しているのであわせて注目してほしい。
エアフロー最小限のPCケースでも余裕で運用可能
ここからは性能をチェックしていこう。実際の利用を想定し、背面に120mmファンを1基だけ搭載しているシンプルなPCケースを用意して、そこにCore Ultra 9 285KとIntel Z890マザーボードの環境を組み込んだ。CPUクーラーは空冷を使用している。
PCIe 5.0 SSDはその速度ゆえに発熱が大きいことで知られているが、エアフローがそれほど強力ではない環境でもEXCERIA PLUS G4は問題なく使えるのかを検証しようというものだ。
比較対象として、同社のPCIe 4.0対応でメインストリームモデルの「EXCERIA PLUS G3」、ハイエンドモデルの「EXCERIA PRO」も用意した。EXCERIA PLUS G4については、マザーボードのUEFIメニューで動作を切り替えて、PCIe 5.0とPCIe 4.0の両方で検証している。検証環境は以下の通りだ。
【表2】SSDの検証環境 | |
---|---|
CPU | Intel Core Ultra 9 285K (24コア/24スレッド) |
マザーボード | MSI MAG Z890 TOMAHAWK WIFI |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3050 LP 6G |
メモリ | Corsair VENGEANCE DDR5 CMK32GX5M2B6400C36 (PC5-51200 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
システムSSD | PCIe 4.0 SSD、2TB |
CPUクーラー | DeepCool AK400 (サイドフロー、120mmファン) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W (1,000W、80PLUS Gold) |
PCケース | ZALMAN Tech T8(ATX) |
OS | Windows 11 Pro バージョン24H2 |
製品名 | EXCERIA PLUS G4 | EXCERIA PLUS G3 | EXCERIA PRO |
---|---|---|---|
容量 | 2TB | 2TB | 2TB |
インターフェイス | PCIe 5.0 | PCIe 4.0 | PCIe 4.0 |
シーケンシャルリード | 10,000MB/s | 5,000MB/s | 7,300MB/s |
シーケンシャルライト | 8,200MB/s | 3,900MB/s | 6,400MB/s |
ランダムリード | 130万IOPS | 68万IOPS | 80万IOPS |
ランダムライト | 140万IOPS | 95万IOPS | 130万IOPS |
CrystalDiskMark 8.0.6
ここからは実際に性能をチェックする。まずは、データ転送速度を測る定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.6」から実行しよう。
EXCERIA PLUS G4(PCIe 5.0接続)は、シーケンシャルリードが10,407.11MB/s、シーケンシャルライトが8,651.78MB/sと公称よりも若干速いスピードを記録。 PCIe 4.0接続でも、ハイエンドモデルのEXCERIA PROと変わらないシーケンシャルリード/ライト性能を見せている。
PCMark 10 Full System Drive Benchmark
次は、Microsoft Office、PhotoshopやIllustratorといったAdobeのクリエイティブ系、オーバーウォッチといったゲーム系など、さまざまなアプリの動作をシミュレートするPCMark 10のFull System Drive Benchmarkを実行しよう。アプリに対するレスポンスのよさを確かめられるテストだ。そこから、ゲームの起動速度、Adobe製品の処理速度部分を抜粋した結果も掲載する。
EXCERIA PLUS G3に対して約23%、シーケンシャル性能では並んでいたEXCERIA PROに対して約43%も高いスコアを記録。 PCIe 4.0接続でもスコアはほとんど下がっておらず、アプリのレスポンスにおいて優秀なのが分かる結果だ。 個別の処理を見ても、ゲーミング、クリエイティブともトップに立ち、どのアプリでも高い性能を発揮できる。
3DMark Storage Benchmark
続いて、ゲームの起動やロード、録画しながらのプレイなどゲーム関連のさまざまな処理をシミュレートする3DMarkのStorage Benchmarkを試そう。スコア2,500以上が高速モデルの目安だ。同じくゲーム系として「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」のローディングタイムも測定する。
3DMarkはEXCERIA PLUS G3を約22%、EXCERIA PROを約27%も上回った。 こちらもPCIe 4.0接続でのスコア低下はわずか。ゲーミング系の処理にも強いことが分かる。 ファイナルファンタジーXIVのローディングについては、PCIe 5.0接続ではトップの早さ、PCIe 4.0接続ではEXCERIA PROとほぼ同じという結果になった。
シーケンシャルライト時の速度および温度
続いて、シーケンシャルライト時の速度と温度の推移をチェックしたい。TxBENCHを使って10分間連続でシーケンシャルライトを行なったときの速度と温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」で追ったときの値だ。今回はすべて空き容量が100%の状態でスタートしている。
ほとんどのSSDは、容量の一部をSLCとして扱うことで高速な書き込みを実現する「SLCキャッシュ」を採用している。このSLCキャッシュの容量は製品によって異なり、固定の場合あれば、空き容量にあわせて可変する場合もある。
PCIe 5.0接続のEXCERIA PLUS G4は、約7,500MB/sの高速な書き込みが行なわれ、約417GB書き込みを行なった時点でSLCキャッシュが切れて、その後は平均1,482MB/sで推移した。 キャッシュが切れても比較的高い速度を維持しており、大容量のデータを扱っても不満を感じることは少ないはずだ。
そして注目したいのは温度だ。シーケンシャルライトは負荷の高い処理だが、 PCIe 5.0接続のEXCERIA PLUS G4は4分過ぎからPCIe 4.0接続のEXCERIA PROを下回った。最大でも52℃とPCケースのエアフローが強力ではないことを考えると、非常に低い温度と言ってよい。薄めのヒートシンクでも問題なく運用できるだろう。
さらに、PCIe 4.0接続ならば、速度が大きく下回るEXCERIA PLUS G3とほとんど変わらない温度になる。 ちなみに、参考用に検証した別メーカーのPCIe 5.0 SSDはこの環境では84℃に達し、高温による破損を防ぐため速度を落とすサーマルスロットリングが発生した。それだけに、EXCERIA PLUS G4は驚くべき低発熱だ。
価格よし、扱いやすさよし。10GB/sの速さを手軽に体験
EXCERIA PLUS G4は、PCIe 4.0接続のSSD以上の性能を持ちながら、温度はほとんど変わらず、多くのPCに組み込みやすいのが最大の強みだ。さらに価格もこれまでのPCIe 5.0 SSDより安く、高速なストレージ環境を試してみたいと考えている人にマッチする。SSDはまだまだ進化できることを感じさせてくれる製品と言える。
※「BiCS FLASH」はキオクシア株式会社の登録商標です。
※各ベンチマークソフトを用いた測定結果は、著者が独自に測定したものであり、本測定結果について、各ベンチマークソフト作成元、ゲームメーカー等へのお問い合わせはご遠慮願います。