トピック

知っておくと便利。無線でスマホ、タブレット、TVをPCのサブモニターとしてつなぐ方法

手持ちのタブレットやTVを、PCのセカンダリモニターとして用いることが可能だ

 PCでの作業効率を劇的に上げる方法として広く知られるのが、モニターをもう1台追加して表示領域を広げる、いわゆるマルチモニターと呼ばれる方法だ。表示領域が広がれば、一度に参照できる情報量が増えるとともに、ウィンドウを切り替える無駄な操作が減って、作業効率がグンと向上する。

 多くの人がすでに実践しているであろうこのマルチモニターだが、いったんこの環境に慣れてしまうと、外出先などでノートPCを使う場合に、1つの画面だとその狭苦しさを感じてしまう。かといって自宅で使用している大型モニターを、出先にまで持ち歩くというのは現実的に難しい。

 こうした場合、手持ちのタブレットやスマホをワイヤレスモニターとして用い、外出先でもマルチモニター環境を構築するという方法がある。これならばノートPCと一緒に持ち歩く荷物も最小限で済むというわけだ。このほかビジネスホテルに設置されている大画面TVを、もう1台のモニターとして用いる方法も考えられる。

 今回は、このように外出先でマルチモニターを利用したい場合、具体的にどのようなデバイスが使えるのか、またどのような接続方法があるのかを、マウスコンピュータのWindows 11搭載モバイルノート「mouse F4-I5U01CG-A」を使いつつ一挙に紹介する。

タブレットやTVをセカンダリモニターとして使うには

 PC用モニターではないタブレットやTVといったデバイスを、PCの外部モニターとして使うには、大きく分けて2つの方法がある。

 1つはタブレットの多くに共通する方法で、タブレットとPC、それぞれに専用アプリをインストールし、タブレットを外部モニターとしてPCに認識させる方法だ。iPadにしてもAndroidタブレットにしても、ほとんどはこの方法が利用できる。

 この場合、PCとタブレットの接続は、ケーブルを直接つなぐ以外に、Wi-Fi経由で映像信号を送信する方法もあり、利用するアプリによって異なる。ちなみに画面サイズが小さくても問題ないようであれば、タブレット以外にスマホを用いることもできる。

タブレットの場合、専用のマルチモニターアプリをインストールすることで、PCのセカンダリモニターとして利用できる

 もう1つはTVなどHDMI端子を搭載する製品に共通する方法で、PCのHDMI端子との間をケーブルでつなぐ方法だ。また類似の方法として、HDMIをワイヤレス化するアダプタを双方に接続し、ワイヤレスで映像信号を伝送する方法もある。

 こちらはHDMIケーブルまたはワイヤレスアダプタを調達する必要はあるが、アプリをインストールする必要がなく、難しい設定なしですぐに使えるのが利点だ。またアプリと比べると画像や音声の遅延が比較的少なく、高速な動きにも追従しやすいのが利点だ。

TVの場合、HDMI経由でセカンダリモニターとして利用する。この場合、HDMIケーブルを接続する方法のほかに、映像信号をワイヤレスで伝送するワイヤレスアダプタを使う方法もある

マウスのWindows 11ノートを用いてセカンダリモニター化をテスト

 具体的な接続方法の紹介の前に、まずは利用するPCを紹介しておこう。今回利用したのは、Windows 11 Homeを搭載したマウスコンピュータの14型ノート「mouse F4-I5U01CG-A」。第12世代のCore i5-1240Pを搭載し、メモリ16GB、ストレージに256GBのM.2 SSDを搭載しつつ、実売価格は税込10万9,800円からと、充実した性能ながらリーズナブルさを特徴とする製品だ。

 14型という、デスクワークをも十分にこなせる画面サイズでありながら、重量は約1.37kgと軽く、さらに約10時間のバッテリ駆動時間を実現していることから、モバイルユースにも十分に対応できるポテンシャルの広さが特徴。さらに3年間センドバック修理保証や、24時間×365日電話サポートが付属している点も見逃せない。

 インターフェイスとしては、USB Type-Cの上位規格であるThunderbolt 4端子のほか、映像出力用のHDMI端子も搭載しているので、今回試すようなUSB Type-Cを経由してのタブレットへの映像出力や、HDMIケーブルを使用してのTVへの映像出力、どちらにも対応できる。

マウスコンピュータ「F4-I5U01CG-A」。14型の非光沢液晶で見やすい
今回試用したモデルはシャンパンゴールド。ほかにオリーブブラックもある
キーボードはアイソレーション方式。キーピッチは19mmと十分だ
左側面にはセキュリティスロット、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、SDメモリーカードリーダー、ヘッドフォン出力を搭載
右側面にはThunderbolt 4×1、USB 3.0 Type-A×1、HDMI×1 、電源ジャックを搭載
重量は実測1,346gとモバイルでも十分に使える軽さだ

タブレットをセカンダリモニターとして使うには

 では順番に見ていこう。まずはタブレットもしくはスマホをセカンダリモニターとして使う方法。これらは手元にあるタブレットの機種によって、利用するアプリが決まってくる。今回は第10世代のiPadを用いるので、iPadとWindows、両者に対応したマルチモニターアプリを探せばよい。

 今回選んだアプリは「SpaceDesk」。海外製の著名なマルチモニターアプリで、PC側はWindowsのみ(Mac非対応)ながら、iPadやAndroidタブレット、さらにはAmazonのFireタブレットなどにも対応するなど、Windows環境下では最強といっていいアプリだ。設定画面は英語だが、詳細な設定を除けば特に難しくはなく、初心者でも容易に使えるだろう。

「SpaceDesk」。iPadやAndroid、FireタブレットなどをWindowsのセカンダリモニターとして使えるようにするアプリだ。主要機能は無料で利用できる

 利用にあたってはまずiPadにアプリをインストールして起動。この時点ではまだ対になるWindows側にはアプリが未導入なため、サーバーが見つからない旨の表示が出るがそのままにしておく。続いてPCにアプリをインストールすると、完了した瞬間にiPad側の一覧にPCが表示されるので、それをタップすることで接続が行なわれる。

 初期状態ではミラーリング、つまりPC側とまったく同じ画面が複製して表示されるので、あとはWindows側のディスプレイ設定で、複製を拡張表示に切り替えたり、解像度や倍率を変更すればよい。オーディオ利用の有無、およびタッチ操作の有無など一部の項目のみ、iPad側のアプリで設定してやればよい。

まずApp StoreでSpaceDeskを探してiPadにインストール
インストールを完了して起動。この時点ではまだWindows側にはアプリはインストールされていないので、サーバーは見つからないとの表示が出る
SpaceDeskのサイトからWindows用のドライバをダウンロードし、PCにインストールする
PCにインストールが完了するとiPad側でサーバーが検索され表示されるのでタップして接続
接続完了。初期状態では画面は複製(ミラーリング)で表示される
複製/拡張の切り替え、配置などの設定は一般的なモニターと同じく、Windowsのディスプレイ設定画面から行なう
解像度や拡大率も同じ画面から行なう
Windows側で画面の向きを切り替えれば、横向きではなく縦向きでの表示にも対応する

 このSpaceDeskは同種のマルチモニターアプリの中でもパフォーマンスは高く、よほど高解像度の動画でなければ遅延も発生しない。もし動画再生中に画面と音声がズレた場合は、しばらく一時停止をしてやれば、遅れていた音声も追いついてくれる。HDCPにも対応しているので、Amazonプライムビデオなども問題なく再生できる。

オーディオ利用の有無、およびタッチ操作の有無などはiPad側で設定できる

TVをセカンダリモニターとして使うには

 続いてはTVをセカンダリモニターとして使う方法。こちらはアプリやドライバのインストールは不要で、汎用のHDMIポートさえ搭載していればよい。そのためTV以外にプロジェクタなど、対応機種の幅は非常に広い。

 接続方法は「ただつなぐだけ」。HDMIケーブルがあれば差し込むだけで表示できてしまうが、今回はHDMIケーブルによる有線接続ではなく、HDMIをワイヤレス化するアダプタ、プリンストンの「EZCast Pocket」を紹介しよう。

 これらは送信用と受信用がワンセットになった製品で、送信用をPCのHDMIポートに、受信用をTVのHDMIポートに差し込み、給電のためのUSBケーブルを差し込めば、すぐさま映像の表示が行なえる。つなぎ終えてTVの映像入力先を合わせれば、その時点ですでにPCの画面が表示されているので、あまりのスピーディさに驚かされる。

プリンストン「EZCast Pocket」。HDMIをワイヤレス化するアダプタだ。実売価格は16,000円前後
送信用アダプタと受信用アダプタ、および電源供給ケーブルがセットになっている
HDMIコネクタ。これをPCおよびTVのHDMIポートに差し込む
送信側アダプタはPCのHDMIポートに接続。電源はPCのUSBポートから供給すればよい
受信側アダプタはTVのHDMIポートに接続。こちらも電源は別途供給する
接続先のHDMIポートに合った外部入力に切り替えれば画面が表示される。最大10mの距離まで送信可能だ

 ワイヤレスアダプタを使う最大の利点は、約10mの範囲であれば、離れていても表示が可能なことだ。HDMIケーブルは確かに手軽だが、ケーブルに十分な長さがあることが前提になる。ケーブルが短いと、TVの近くにPCを移動させなくてはならず、またケーブルに足を引っ掛けるリスクもある。ワイヤレスアダプタはそうした問題もない。

 ちなみに映像の遅延だが、ゲームなどでは少々厳しいが、動画再生までの用途であれば、ほとんど感じることなく利用できる。接続して使い始めてすぐの時のみ、映像をバッファするような、一瞬だけ画質が低下し動きが遅くなる様子が見られるが、すぐにほぼリアルタイムでの表示が可能になる。なおこちらもHDCP対応なので、Amazonプライムビデオなどの再生も対応している。

 こうしたことから、TVをセカンダリモニターとして使う用途はもちろんのこと、ちょっとしたプレゼンテーションにも適している。つながってしまえば、あとはWindowsのディスプレイの設定画面で、解像度の変更や、ミラーリング表示があるいは拡張表示かといった設定の変更が行なえる。

複製/拡張の切り替え、配置などの設定はWindowsのディスプレイ設定画面から行なう
解像度や拡大率も同じ画面から行なう

手持ちのスマホもセカンダリモニターとして使える

 ちなみにタブレットだけでなく、スマホを外部モニターとして用いることもできる。PCの画面をフルに使って作業をするにあたり、どうしても並べて表示させておきたい画面、たとえば画像編集ソフトのパレットや、Windowsのタスクマネージャー、あるいはホーム画面左に表示されるウィジェットを場所を移して常時表示させておくにはぴったりだろう。

サイズさえ許容できればスマホも外部モニターとして使える
Windows 11のウィジェットや画像編集ソフトのパレットを表示させておくには便利だ

 このほかにも、もう1台のWindowsマシンをセカンダリモニター代わりにしたり、またMacにはiPadをセカンダリモニターとして使う「Sidecar」なる機能が実装されていたりと、マルチモニター環境を構築するにはさまざまな方法がある。

 これらのうちいくつかを手持ちの環境で使えるようにしておけば、いつでもどこでも快適な作業を行なえるほか、作業の合間に息抜きで動画を観たりと、ビジネスからプライベートまで、PCをさらに幅広く活用できるようになるはずだ。ぜひチャレンジしてみてほしい。