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モニターにこだわるべき納得の理由をプロが説明。クリエイター向けモニターは何がすごいのか?おすすめの高品質モニター3機種も合わせて紹介

 2月22~25日にかけて、カメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+2024」がパシフィコ横浜で開催される。現役のフォトグラファー、クリエイターだけでなく、今後プロを志そうとしている方も現地を訪れ、最新機材をチェックし、体験しようと考えていることだろう。

 CP+2024でカメラ、高性能PCと同様に注目を集めるのが、プロクリエイター向けモニター。正確な色を表示できるだけでなく、ハードウェアキャリブレーションできるものもある。また、快適に作業できるように柔軟な調整機構を備えている。

 しかし、そういった製品を使ったことがない人は、いざ購入しようとしても、どのスペックに注目すべきで、そしてどんな恩恵を受けられるのか分からない方も多いはずだ。そこで本記事では、現役で活躍しているプロクリエイター3名に、現在クリエイター向けモニターをどのように使っており、どのようなメリットを感じているのかを聞いてみた。

 最後には、最新のおすすめモニター3機種も掲載している。最高品質の作品作りを目指している方はぜひ最後までチェックしてほしい。

フォトグラファーILKO ALLEXANDROFF氏に聞いてみた

ILKO ALLEXANDROFF(イルコ・アレクサンダロフ)氏
神戸在住のフォトグラファー。出身はブルガリア。ファッション・ポートレート撮影を中心に全国で活動。YouTubeのチャンネルでポートレート写真のテクニックや、クリエイティブなライティングを駆使した動画をアップしている。撮影テクニック、デジタルカメラ関連の執筆も多数

――モニターをどのように使っているか教えてください。

イルコ 今は3台使っていて、37型を真ん中、両脇に27型を置いています。Photoshopの現像は真ん中の画面でやっていて、同時にLightroomで書き出しするときは、Lightroomのライブラリを1つの画面に表示して、もう片方の写真を別の画面に1枚ずつ出るようにしています。広いスペース(画面領域)が好きなんです。

 ロケでは場合によっては2、3週間ずっと出かけっぱなしのときもありますが、そういう時は17型のノートを持っていって、それにHDMI経由で「iPad」の画面をつなげて、デュアルモニターにしています。編集のためのきれいな画面と、編集するデータを整理する画面が欲しいんです。

イルコ氏の作業画面

――写真/映像編集を行なう際に、モニターに求める機能やスペックを教えてください。

イルコ モニターの中でキャリブレーションできるのが一番いいですが、自分はいつも「SpyderX」でやっています。1年前ぐらいにプロ向けモニターを1~2カ月借りて使っていました。あれはモニター側でキャリブレーションできたり、色がとてもきれいですごかったけど、結局は「SpyderX」でやっていましたね。あとはAdobe RGBとsRGBの色域をカバーしていれば全然いいです。

 解像度は4Kにしています。すべて4K。私は動画も作っていますが、4Kで製作するものは意外と少ないですね。案件なら4Kにしますが、自分が解説する個人動画はフルHDで満足です。

 でも、写真はそうはいかない。写真は、カメラのフル解像度で撮りたいです。だからモニターにも解像度に余裕が欲しいんです。あとは非光沢(ノングレア)がよいですね。

――なぜ写真/映像編集向けのモニターが必要なのか、考えを聞かせてください。

イルコ 本当に色がすごくきれいですね。色も正確で、輝度も非常に明るいです。たとえば撮影現場で屋外に出しても、バックライトがミニLEDのモニターなら、黒はちゃんと黒に見えます。プロ向けではないモニターもぱっと見はきれいですが、実際に比べると色がかなり違っていますね。

 逆に、クライアントのモニターがよくなかったというケースもありました(笑)。相手のモニターで見てみたら、ちょっと待って、私、そんな写真入れましたっけ? となったことがあります(笑)。

 プリントするときもモニターは重要です。ちゃんとキャリブレーションすると、プリント業者が同じ色を出せると思います。ちょうどこの前、写真展のために30枚ぐらいプリントしましたが、印刷した紙を見たらもう全部完璧でした。

――色表現の品質だけでなく、製品の構造的な使い勝手や壊れにくさなどの点でクリエイター向けモニターを選んでよかったと思う点があったら教えてください。

イルコ 横だったり縦だったり、スタンド側でいろんなアングルに調整しやすいですね。ほかのモニターでもアームとかは変えたりできますが、今まで試したモニターは柔軟性がすごいです。それとかなり頑丈。安心していろんな現場に運べます。

――これから、クリエイター向けモニターを買って本格的にコンテンツ制作をやろうと思っている人に対して、個人的な経験を踏まえて、モニターの選び方や使い方でアドバイスがあれば教えてください。

イルコ まずAdobe RGBとかsRGBとかの色域を気にしましょう。これからクリエイターとしてやっていくのだったら、なるべくいいものをゲットしたほうが、絶対後悔しないと思います。

 モニターはかなり長く使うので投資になります。きちんと投資をすれば、自信を持って編集して、データを納品できます。サイズは個人的には27型、32型ぐらいが一番いいバランスですね。いろんなところに置けるし、邪魔にならないし。それより小さくなると、物足りなくなる気がします。

 マルチモニターについては人によりますね。あったほうがいろいろ効率よくできますが、1台でも全然大丈夫です。画面上のスペースが足りなったら、そのときにはもう1台入れましょう。ただ、個人的には3台でも足りないときがあったりします(笑)。

映像エディター大下幸治氏に聞いてみた

ワックスグラフィックス 大下幸治氏
YouTube向けの4KやフルHDの動画コンテンツや、店頭で流れる販促動画など、数々の映像作品に携わっている映像エディター。さらに、雑誌や書籍等のDTPデザインもこなしている

――モニターをどのように使っているか教えてください。

大下 基本的な映像編集は、iMacと31.5型のモニターの2台に映して使っているんですが、実はもう1つ本当のサブモニターがあって、3台構成です。この3台目は、動画編集ソフトのメニューとか、LINEとか、色を確認する必要がないものやアプリ用に用意しています。

――写真/映像編集を行なう際に、モニターに求める機能やスペックを教えてください。

大下 動画編集という観点からはやはり「P3」に対応している点です。プラス、色のシミュレーション用にAdobe RGB対応も欲しいですね。元データの色を確認したいときに必要になるんです。

 ちなみに、紙の仕事(雑誌や書籍等)では色の確認を今はしていません。昔はモニターの質が悪かったので、ちゃんとモニターやプリンタなどでカラーマネジメントをしっかりやらないと、意図したものと違う色で印刷されることがありましたが、紙で使われるCMYKは色空間としては狭く、今のモニターなら十分に対応できるので、もはや確認しなくても大丈夫になりました。

 長年の経験で、自分の頭の中でC(シアン)が何%、M(マゼンタ)が何%でこんな感じになるというのがもうインプットされているというのもありますが。

大下氏が作業しているPremiere Proの画面

――なぜ写真/映像編集向けのモニターが必要なのか、考えを聞かせてください。

大下 紙の場合はハードの色ずれを正すためですね。と言ってもさっき申し上げた通り、今では色校を出したりしなくても大丈夫なんですが、昔は室温でプリンタから出力される色が変わったりもしていたので、モニターで信頼できる色が出ているということが保証されている必要がありました。

 動画に関して、僕がP3を重視しているのは、紙と違って動画は見られるデバイスが千差万別だということがあります。どれだけ色の再現にこだわっても、視聴デバイスが変わると色味も変わってくるわけです。

 そうすると、どこに基準を置くのかという話になってきます。これについては、日本では動画の視聴デバイスとしてiPhoneは大きなシェアがあり、大多数に合わせるという観点から、iPhoneでの見栄えを基準にしています。そうすると、iMacと同じP3に対応したモニターで確認しておけば、多くの人にとって僕が意図した色を再現できるだろうと考えています。

――色表現の品質だけでなく、製品の構造的な使い勝手や壊れにくさなどの点でクリエイター向けモニターを選んでよかったと思う点があったら教えてください。

大下 意外と思われるかもしれませんが、プロ用モニターはおしなべてシンプルなんですよね。たとえば、ハードウェアとしても余計なポート類も少ないし、ロゴも控えめですっきりしている。そして、ソフト的にも設定項目が結構シンプルなんです。

 と言うのも、出荷時点でキャリブレーションされていたりして、正しい色になっているので、いろんな設定項目を用意する必要がないんですよ。実際、今使っているものもほとんど色設定はいじっていません。買って、つないで、即使えるというイメージです。色の調整とかに時間をかけたくないので、それだけでもお金を出す価値がありますよね。

――これから、クリエイター向けモニターを買って本格的にコンテンツ制作をやろうと思っている人に対して、個人的な経験を踏まえて、モニターの選び方や使い方でアドバイスがあれば教えてください。

大下 ここまで結構色域や色の正確さの話をしてきましたが、モニターの重要な部分で色周りは実は3割ぐらいかなと思っています。それよりも重要なのはパネルのサイズと解像度です。そこを最重要視して選んでいって、その上で色の正確さなどがいい製品を選ぶといいと思います。

 また、動画編集は作業内容的にデュアルモニターが必須です。なので、これからモニターを導入して動画編集をやろうと考えている人は、最初からデュアルでどのように設置するのかを想定して、導入するといいでしょう。

 それから、意外と部屋の照明や、机の反射によってモニターの見栄えが大きく変わることもあります。いいモニターを導入したのに、なんか色がおかしいなと思ったら、部屋の照明を暗くしてみたり、モニターへの映り込みや反射を抑えるようにしてみたりすると、改善することもあるので試してみてください。

フォトクリエイターパパ氏に聞いてみた

パパ氏
映像制作会社などを経て2017年フリーランスとして独立。現在はSNSを中心にPhotoshopの作品メイキング、チュートリアルを投稿している。複数の写真を使い1枚のアート作品を作るフォトマニュピレーションの動画は200万回再生を超えている。2022年10月からAdobe Community Evangelistとして 講師やセミナー、メディア出演、書籍執筆などを通しノンデザイナーやノンプロ向けに「作れる面白さ」を精力的に発信している。X(旧Twitter)はStudioT_ppp

――モニターをどのように使っているか教えてください。

パパ 今は27型のモニターを使っていて、ちゃんと色が見えればいいぐらいの(普通の)使い方です。ただ、クリエイター用のプロ向け製品です。

 昔にレタッチの師匠みたいな人から、レタッチの仕事をいただいたとき、「色が違うよ」って言われて、初めて「色違うってなんだ?」みたいな話になったんです。で、「カラーマネジメントモニターというのがあるから、ちゃんとそれでやったほうがいいよ」って教えてもらって。今後Photoshopで仕事を受けるならプロ向けモニターがないと仕事にならないな、ってなった時に、プロ向けのものを購入しました。

パパ氏によるSF風グリッチ加工(参考記事)

――写真/映像編集を行なう際に、モニターに求める機能やスペックを教えてください。

パパ 初めてクリエイター向けモニターを選ぶときは、絶対に価格を気にすると思います。ただ、ピンキリなので、最初は10万円前後が目安になると思います。自分もそうだったので。

 もう1つはキャリブレーション。キャリブレーションが難しいか、簡単かも、非常に重要です。あとキャリブレーションが内蔵か、外部なのかも大事です。ちなみに自分は外部のセンサーを使うタイプですけど、慣れるまで大変でした。もう一段階上の機種になるとキャリブレータを内蔵しているので、その差は大きいですね。

 今後、自分が選ぶときは、絶対に内蔵型を選ぶと思います。紙媒体をやられているクリエイターさんは、知識があるので多分いけると思いますが、ゼロからやろうと思ったら大変です。キャリブレーションの操作はできるけど、その結果が正しいのか分からないと思うからです。

 色域の範囲も見ますね。僕の仕事はデザインというよりも、どちらかというとフォトとかコラージュ作品に近いものなので、利用する色域がかなり広いんです。

 あと、メタバース関連で3D CGもやるのですが、3D CGでレンダリングした時って、制限しないので色域がとても広いんです。あとから色域を狭めるんですけど、レンダリングされた連番のPNG画像を見るときに、色域が広くないとその後の作業はできません。狭めようにも元々が合っていないと分からないから。

 最終的な作品としては色域が広すぎると目が疲れちゃうので、適度な色の作り方をしないといけません。その適度な色の作り方をするときに、最初の時点でどれくらいの色域をカバーしているかによって処理も変わるので、大事になってくるんですね。

 Adobe RGBのカバー率で言ったら、100%、99%より低いと購入対象から弾きますね。sRGBのカバー率は100%でしょうし、ほぼ必須です。でも今、クリエイター向けモニターで色域が狭いものはないと思いますけど。

パパ氏によるフィルタの調整(参考記事)

 ちなみに僕は、YouTube用に一応iPhoneにも送って、iPhoneでどういう見え方をするか確認します。iPhoneは一番視聴率が高いので、最終的にはiPhoneの見栄えを重視しますね。

――なぜ写真/映像編集向けのモニターが必要なのか、考えを聞かせてください。

パパ 素直に言うと、仕事をしないのであれば、クリエイター向けモニターを人には勧めないです。趣味の範囲でやる分にはなくてもなんとかなると思います。

 ただ、印刷物だったり、レタッチの仕事をするなら、ないと仕事ができないと思っています。クリエイター向けモニターを持っていなくてレタッチをやっている方はいらっしゃると思いますが、正直、結構危険な橋を渡っているなって感じていますね。

 僕がフリーのレタッチ仕事で初めてクライアントからクレームもらったのはそれが原因でした。はっきり覚えています。制服のカタログの色合わせだけを依頼されて、紺色に全部合わせてくれって言われたんですけど、僕のモニターでは紺色だったんですが、向こうに送ったら完全に黒だって言われました。

 今は仕事にはしていないけど、のちのちプロとしてレタッチャーになりたい、フォトグラファーをやりたいっていう人は早めに買っておいた方がいいです。

――これから、クリエイター向けモニターを買って本格的にコンテンツ制作をやろうと思っている人に対して、個人的な経験を踏まえて、モニターの選び方や使い方でアドバイスがあれば教えてください。

パパ やっぱり最初、クリエイター向けモニター1台の値段にビビると思います。たださっきも言った通り、物持ちがいいですし、カラーマネジメントモニターを使うことでリスク回避がめちゃくちゃできます。結局、それが信頼につながるので、10万円ぐらいであればすぐに元が取れると思います。

 僕も最初はカードでローンを組みましたが、結局、それでもうずっと仕事できています。もちろんPC自体もそうですけど、めちゃくちゃ重要な仕事道具なので、そこに最低限の投資をしないとトラブルになると思います……と、昔トラブった者が言っています(笑)。マシンスペックだったり、モニターとか、仕事に直結するところはケチっちゃいけないなと思っています。フリーとかでやるなら特にですね。

 3D CGのレンダリングとかに比べると、色周りはメリットが分かりづらいんですよね。レンダリングの時間が1時間なのか1日なのかみたいな話ではなくて、色は見え方が違っても作品は作れちゃうからメリットが伝わりづらい。でも、割と世の中厳しくて、それでは通らないところがほとんど。だから早めに買っておいた方がいいですね。

 あと、クリエイター向けモニターは慣れるのにちょっと時間がかかるんです。キャリブレーションの使い方もですが、正しい色に慣れるのに時間がかかるんです。iPhoneとかの画面に慣れていると、僕も最初はクリエイター向けモニターの色は違和感でしかなかったです。ちょっと劣化したように見えてすごくやりづらかった。その感覚を養う意味でも早めに準備しといたほうがいいと思います。

 僕らの仕事は、色をiPhoneとかできれいだなっていうふうに見えるようにすること。元々の色が分かっていないと、もう右も左も分かりません。元々の色に慣れておくと違和感に気づけるようになります。そういう意味でも早く慣れることは本当に大事です。


 以上、クリエイター3名の意見をもとに、おすすめのクリエイター向けモニターを紹介していきたい。ゲーミングにも対応するもの、キャリブレータ内蔵のものなど、本格的な3種類を用意したので参考にしていただきたい。

デル「Alienware AW3225QF」
32型OLEDでゲーミングとクリエイティブを両立

デル・テクノロジーズ「Alienware AW3225QF」直販価格15万9,800円

 モニターの世界シェア10年連続No.1(出典 : IDC Worldwide Quarterly PC Monitor Tracker 2023Q3 Share by Brand)と謳うデル・テクノロジーズの「Alienware AW3225QF」は、世界初という4K QD-OLEDゲーミングモニター。

 量子ドットテクノロジーが採用されたQD-OLEDパネルは湾曲仕様で、サイズは31.6型、解像度は4K(3,840×2,160ドット)。True 10bitカラーで、色域はDCI-P3 99%、色精度はDelta-E 2未満。それでいてリフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.03ms(中間色)。クリエイティブワーク、ゲーミング用途に両対応しており、実益と趣味を両立できるモニターだ。

1700Rの湾曲モニターはゲームでの没入感が魅力。平面のモニターと異なり、画面がユーザーを包み込むように配置されるため、ゲームでの迫力が一段と高まる
量子ドットテクノロジーが採用されたQD-OLEDパネルは、従来のOLEDパネルよりも広色域、高輝度を実現している

 またHDR規格としては、Dolby Vision、VESA DisplayHDR True Black 400をサポートしており、HDRコンテンツを再生すれば、臨場感豊かな光、色彩表現で、映画やミュージックビデオを楽しめる。HDMI 2.1(FRL)接続に対応しているので、4K@120Hzで「PlayStation 5」などと接続するのにもってこい。

 さらに、眼の快適さを最適化する独自の「ComfortView Plus」が組み込まれているので、色精度に影響なくブルーライトを低減できる。長時間の編集作業やゲームプレイに重宝することだろう。

最大240Hzのリフレッシュレート、0.03ms(中間色)の応答速度を実現したAW3225QFは、ゲームをプレイしてこそ最大の価値を得られる
サイズは715.56×472.77~582.77×305.72mm、重量はスタンドなしで6kg

 本製品最大の売りはやはり1700Rの湾曲モニター。ゲームプレイ時には包み込まれるような没入感を得られるし、編集作業をしているときは目と画面の距離が大きく変わらないので疲れが少ないと言われている。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×2、USB 3.2 Gen1アップストリーム×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、USB 3.2 Gen1 Type-C×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×1を装備

 背面にはAlienwareのロゴと画面サイズを示す「32」の数字が青く輝いており、クリエイティブ一辺倒のモニターとは一線を画すデザイン性を実現。ゲーミング用途に軸足を置きつつ、広色域で、色精度が高いクリエイティブワークにも活用できるモニターを探しているのであれば、「AW3225QF」は魅力的な1台だ。

OSDメニューは、ゲーム、輝度/コントラスト、入力信号、AlienFX照明、モニター、PIP/PBP、メニュー、カスタマイズ、その他……で構成されている
高さは110mm、ティルト-5度/21度、スイベル-20度/20度の範囲で調整できる
パッケージには本体、電源ケーブル、USB 3.2 Gen1アップストリームケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、クリーニングクロス、説明書が同梱
Alienware AW3225QF
画面サイズ31.6型
パネル種類QD-OLED
解像度3,840×2,160ドット
アスペクト比16:9
輝度1000cd/平方m
コントラスト比1,500,000:1
色域DCI-P3 99%
リフレッシュレート240Hz
応答速度0.03ms(中間色)
画面コーティング反射防止
視野角178度(垂直)/178度(水平)
インターフェイスDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×2、USB 3.2 Gen1 Type-Bアップストリーム×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、USB 3.2 Gen1 Type-C×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×1
高さ調整110mm
ティルト調整-5度/21度
スイベル調整スイベル-20度/20度
ピボット調整
サイズ715.56×472.77~582.77×305.72mm
重量6kg(スタンドなし)
同梱品本体、電源ケーブル、USB 3.2 Gen1アップストリームケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、クリーニングクロス、説明書

デル「UP2720Q」
キャリブレータ内蔵で遮光フードも付属

デル・テクノロジーズ「UP2720Q」直販価格20万9,121円

 デル・テクノロジーズから販売されている「UP2720Q」は、「測色計(キャリブレータ)」を内蔵し、遮光フードも付属した純粋なカラーマネジメントモニターだ。サイズは27型、解像度は4K(3,840×2,160ドット)のIPS液晶は、輝度は250cd/平方m、コントラスト比は1,000:1、色域はAdobe RGB 100%、BT.2020 80%、DCI-P3 98%を実現。RAW画像の現像にも、動画のカラーグレーディングにも利用できる広色域が確保されている。

面倒なカラーキャリブレーションを完全に自動化可能。定期的な色調整作業から解放されるのは大きなメリットだ
遮光フードは周囲の光を効率よく吸収する素材で覆われている。装着するとがらりと画面の見え方が変わる

 本製品最大の特徴はなんと言ってもモニター下部に内蔵されている「測色計」。必要なときに、または設定したスケジュール通りにカラーキャリブレーションを実行できるので、常に正しい色で写真/動画の編集作業を行なえる。数分と言えども面倒な作業を自動化できるのは、「UP2720Q」の大きなアドバンテージだ。もちろん、本製品は購入してすぐに正しい色で作業できるように、出荷時に正確に色補正されている。

ケーブル1本でノートPCと接続すれば、すぐ作業を開始できる。UP2720Qに接続されている周辺機器も、まとめて利用可能となるのだ
サイズは611.9×433.4×212mm。スタンドなしの重量は5.55kg

 使い勝手においてはThunderbolt 3に対応しているのもポイント。ノートPCとThunderbolt 3対応ケーブルで接続するだけで、最大90Wで充電しながら、ビデオ信号とデータ信号を転送できる。自宅や会社に戻ったら、ケーブル1本挿すだけですぐに作業を開始できるわけだ。またThunderbolt 3を搭載した4Kモニターを最大2台までデイジーチェーン接続可能。もちろんmacOSにも対応している。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4×1、HDMI×2、Thunderbolt 3/USB-Cアップストリーム×1、Thunderbolt 3/USB-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、USB 3.2 Type-A×1、オーディオラインアウト×1を装備

 遮光フードもカラーマネジメントモニターにとって重要な装備。磁石ですばやく簡単に取り付けられるので、必要な時だけ装着し、照明や外光などによる映り込みや反射を低減できる。実際に使ってみると、専用品ならではの使い勝手のよさを実感するはずだ。クリエイティブワークに特化した「UP2720Q」は、本格的にレタッチャー、フォトグラファーを目指すのであれば、頼もしい道具となってくれる1台だ。

OSDメニューは、色、ルミナンス、入力信号、モニター、PBP、キャリブレーション、検証、スケジューラ、メニュー、カスタマイズ、その他……で構成されている
高さは130mm、ティルト-5度/21度、スイベル-45度/45度、ピボット-90/90度の範囲で調整できる
パッケージには本体、電源ケーブル、Thunderbolt 3/USB Type-Cケーブル、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、遮光フード、説明書が同梱
UP2720Q
画面サイズ27型
パネル種類IPS液晶
解像度3,840×2,160ドット
アスペクト比16:9
輝度250cd/平方m
コントラスト比1,300:1
色域Adobe RGB 100%、BT.2020 80%、DCI-P3 98%
色調整測色計(キャリブレータ)内蔵
リフレッシュレート60Hz
応答速度6ms(GtoG高速)、8ms(GtoG標準)
画面コーティング反射防止、3Hハードコーティング
視野角178度(垂直)/178度(水平)
インターフェイスDisplayPort 1.4×1、HDMI×2、Thunderbolt 3/USB-Cアップストリーム×1、Thunderbolt 3/USB-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、USB 3.2 Type-A×1、オーディオラインアウト×1
高さ調整130mm
ティルト調整-5度/21度
スイベル調整-45度/45度
ピボット調整-90/90度
サイズ611.9×433.4×212mm
重量5.55kg(スタンドなし)
同梱品本体、電源ケーブル、Thunderbolt 3/USB Type-Cケーブル、DisplayPortケーブル、HDMIケーブル、遮光フード、説明書

ベンキュー「SW272U」
ムラ補正などプロ御用達のカラーマネジメントモニター

ベンキュー「SW272U」直販価格24万2,000円

 「SW272U」はプロ御用達のベンキューが発売したカラーマネジメントモニター。27型、4K(3,840×2,160ドット)のIPS液晶を採用しており、HDR10/HLG対応で、sRGB 100%、Adobe RGB 99%、Display P3・DCI-P3 99%と広色域。

 カラーモードはsRGB、Adobe RGB、Display P3、DCI-P3だけでなく、モノクロ、DICOM、HDR、M-Book、Paper Color Sync、Rec.709と豊富に用意。カラーキャリブレーション未経験者でも、すぐに使い始められるカラーマネジメントモニターとして仕上げられている。

オプションの「遮光フードブリッジ」を購入すれば、遮光フードを連結できる
ピボット90度に対応しており縦置き可能。軽い力で回転できる

 また、光の反射を最小限に抑える「TUV Rheinland Reflection-Free認証」、高い色精度を備えた製品であることを示す「Pantone認証」、「CalMAN認証」に加えて、「ColourSpace」やCalMAN の「3D LUTキャリブレーション」に対応する。

 ベンキュー独自のハードウェアキャリブレーションソフト「Palette Master Ultimate」も用意されており、モニターの色温度と輝度の経時変化に合わせて、3ステップで再調整が可能。複数のモニターの色合わせにも対応している。

本体左下にはSDカードスロットを用意。デジカメのデータを手軽にインポート可能だ
サイズは613.9×451.8~591.8×274mm、重量は8.6kg。スタンドなしの重量は5.25kg

 さらに、ムラのない正確な色表現を可能にする「ムラ補正技術」、2つの異なる色空間で写真を確認できる「GamutDuo機能」なども玄人好みの機能だ。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4×1、HDMI×2、USB Type-C×1、USB Type-Bアップストリーム×1、USB 3.1 Type-A×2、SDカードスロット×1を装備

 標準装備も充実しており、遮光フードはもちろんのこと、ワイヤレスでOSDメニューを操作したり、色空間を呼び出せるリモコン「ホットキーパックG3」を同梱。また90W給電可能なUSB Type-C接続に対応し、SDカードスロットも装備されている。

OSDメニューは、表示、カラー調整、GamutDuo、システム、カスタムキー、情報……で構成されている

 ベンキューのプロ向けAQCOLORシリーズのニューモデルである「SW272U」には、工場キャリブレーションレポートが同梱されており、安心感が高い。信頼できるプロの道具足りうるカラーマネジメントモニターを探しているのであれば、「SW272U」は有力な候補だ。

高さは140mm、ティルト-5度/20度、スイベル-30度/30度、ピボット90度の範囲で調整できる
パッケージには本体、電源ケーブル、USB 3.2 Gen1アップストリームケーブル、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、遮光フード、ホットキーパックG3、クリーニングクロスが同梱
SW272U
画面サイズ27型
パネル種類IPS液晶
解像度3,840×2,160ドット
アスペクト比16:9
輝度400cd/平方m
コントラスト比1,000:1
色域sRGB 100%、Adobe RGB 99%、P3 99%
リフレッシュレート60Hz
応答速度5ms
画面コーティング反射防止
視野角178度(垂直)/178度(水平)
インターフェイスDisplayPort 1.4×1、HDMI×2、USB Type-C×1、USB Type-Bアップストリーム×1、USB 3.1 Type-A×2、SDカードスロット×1
高さ調整140mm
ティルト調整-5度/20度
スイベル調整-30度/30度
ピボット調整90度
サイズ613.9×451.8~591.8×274mm
重量8.6kg/5.25kg(スタンドなし)
同梱品本体、電源ケーブル、USB 3.2 Gen1アップストリームケーブル、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、遮光フード、ホットキーパックG3、クリーニングクロス

まとめ - 作品作りにこだわるなら必需品

 クリエイター向けモニターは一般的なモニターに比べると高価だ。しかしそれはプロの高い要求に応える品質や、機能性を実現しているため。実際に使ってみれば、高い色再現性、ムラのない均一な表示、細かいところまで手が届く設定機能などに驚かされるはず。

 作品作りにこだわっている方や、プロの作り手に回ることを考えているのであれば、まずはCP+2024などに足を運ぶなどして、クリエイター向けモニターを実際に体験してみてほしい。