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“分かっているPC自作派”の新しい選択肢、Intel Core i9-10850Kプロセッサー登場!
~ハイエンドに肉薄するスペックがお買い得価格で。トレンドを押さえた高コスパパーツでゲーミングPCが組める!
- 提供:
- 株式会社インテル
2020年9月10日 09:50
2020年8月21日、第10世代Coreプロセッサーに突如新モデルが加わった。それが「Core i9-10850K」だ。末尾にKが付く倍率アンロックモデルとしては、Core i9-10900K(実売価格:72,000円前後)とCore i7-10700K(実売価格:48,000円前後)の間を埋めるポジショニング。発売されて間もないということもあり、原稿執筆時点ではCore i9-10850Kの実売価格は62,000円前後だが、こなれてくればもう少し安くなると思われる。
Core i9-10850Kの魅力は、上位のCore i9-10900Kと動作クロックが100MHz違うだけなのに、実売価格が1万円も安くなっていること。第10世代Core i9の特徴である、最大クロックを2コアだけ引き上げる「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0」(TBM3.0)、CPUの冷却に余裕があるときに1コアまたは全コアの動作クロックを引き上げる「Intel Thermal Velocity Boost Technology」(TVB)といった機能をしっかり備えているK型番だけに、オーバークロックにも対応する。
スペックを見て比べてみよう。Core i9-10850Kは、コア/スレッド数、キャッシュ量、対応メモリ、TDPともCore i9-10900Kとまったく同じ。各動作クロックが100MHz低いだけと、かなり近い性能を備えていると言ってよい。また、企業向けの管理/運用機能であるvProが省略されているが、個人で利用にはこれが影響することはほとんどなく、必要な機能を残してのコストカットという意味で、PC自作ファン的にはメリットのほうが大きいはずだ。
Core i9-10850K | Core i9-10900K | Core i9-10900 | Core i7-10700K | |
コア/スレッド | 10/20 | 10/20 | 10/20 | 8/16 |
ベースクロック | 3.6GHz | 3.7GHz | 2.8GHz | 3.8GHz |
TB 2.0 | 5GHz | 5.1GHz | 5GHz | 5GHz |
TBM 3.0 | 5.1GHz | 5.2GHz | 5.2GHz | 5.1GHz |
TVB 1コア/全コア | 5.2GHz/4.8GHz | 5.3GHz/4.9GHz | 5.2GHz/4.6GHz | - |
対応メモリ | DDR4-2933 | DDR4-2933 | DDR4-2933 | DDR4-2933 |
TDP | 125W | 125W | 65W | 125W |
実売価格 | 62,000円前後 | 72,000円前後 | 57,000円前後 | 48,000円前後 |
スペックと価格だけ見ると、倍率アンロックのないCore i9-10900がお得に見えるが、TDPに注目してほしい。65Wなので、高負荷時は発熱の上限にすぐ到達してしまい、TBM3.0やTVBによる高クロック動作を維持できない。その分、低発熱、低消費電力というメリットはあるものの、性能を重視するなら価格差を考えてもCore i9-10850Kを選ぶほうが得なのは間違いない。
10850Kを活かしたPCを自作。なかなかのオイシさ
それでは早速、このうま味あふれるCore i9-10850Kを使った自作プランを考えつつ、パフォーマンスをチェックしていこう。ここまで述べてきたとおり、Core i9-10850KはハイエンドCPUの中でも“お得”、“高コスパ”が際立つ製品だ。そのため、そのほかのパーツも“高性能でコストパフォーマンスも良好”かつ“最新の自作トレンドにマッチする”ものを中心に選んでいる。
CPUがCore i9-10850Kなので、マザーボードは必然的に倍率アンロックに対応するZ490チップセット搭載モデルから選ぶことになる。今回選んだのは、ASUSTeKの「TUF GAMING Z490-PLUS」だ。TUFシリーズは、比較的低価格ながら耐久性と安定性を重視しているのが特徴で、DrMOSによる12+2フェーズの強力な電源回路を備え、10コア20スレットのCPUも安心して運用できるほか、Intel製のギガビットイーサネットコントローラを備えるなど手堅い構成。コストパフォーマンスを重視するならピッタリの1枚と言える。
また、10コア20スレッドのCPUをゲームで活かそうと考えた場合、ビデオカードがボトルネックにならないようにしたい。ビデオカードの性能が低いと、ゲームの描画にGPUが追い付かず、せっかくの高性能CPUがあまり活用できなくなってしまうためだ。とはいえ、ハイエンドGPUを搭載するビデオカードは10万円超えが当たり前の世界でなかなか手は出しにくい。お買い得という視点なら、バランスの良い選択肢はアッパーミドルレンジ、GeForceで言うところの“70番台”となるだろう。
発表されたばかりのGeForce RTX 30シリーズも選択肢に含めたいところだが、狙いどころの70番台が登場するのはまだちょっと先。そこで今回は総じて値段がこなれてきている現行製品の中から、人気のGeForce RTX 2070 SUPER搭載モデルのうち、シンプルで高い冷却力を持ちつつコストもほどよく抑えたASUSTeKの「DUAL-RTX2070S-O8G-EVO」をチョイスした。
外見、そしてサイズやギミックの観点から、完成したPCのトレンド感を決定付けるPCケース。今回は最近人気のホワイトカラーの製品から、NZXTの「H510」を選択した。H510はシンプルで洗練された雰囲気を持ち、裏面配線しやすい構造と側面のガラスパネルをネジ一つ緩めるだけで取り外せるメンテナンス製のよさが特徴。これで価格が1万円を切るとお得感も高い。水冷CPUクーラーは28cmクラスラジエータまでに対応する。
なお、電源ユニットは、今回の構成であれば500Wクラスでも問題はないが、余裕を持って750W出力の製品を組み込んでいる。
PCケースの左側面が中の見える強化ガラス仕様ということもあり、メモリとCPUクーラーはRGB LEDを搭載するものを選択。メモリは上部にRGB LEDを備えるDDR4-3200対応のKingstonの「HyperX FURY DDR4 RGB HX432C16FB3AK2/16」(8GB×2)、簡易水冷クーラーはファンと水冷ヘッドにRGB LEDを備えるASUSTeKの「TUF GAMING LC 240 RGB」を選んだ。24cmラジエータ水冷なら、TDP 125WのCPUであれば定格駆動はもちろん、軽いオーバークロック(なにしろ、0.1GHzOCできれば上位モデルに追いつけるのだから……!)には十分対応可能だ。
ストレージは配線不要の取り付けやすさと、速度、価格のバランスを考えて、M.2接続のNVMe SSDからIntelの「SSD 665p SSDPEKNW010T9X1」を選んだ。シーケンシャルリード2,000MB秒、シーケンシャルライト1,925MB秒のミドルレンジ製品で、価格も1TBモデルとしてはお手頃ゾーン。この容量があれば、大型ゲームがリリースされてもすぐに空きに困ることはないだろう。
カテゴリー | 製品名 | 実売価格 |
CPU | Intel Core i9-10850K (10コア20スレッド) | 62,000円前後 |
マザーボード | ASUSTeK TUF GAMING Z490-PLUS (Intel Z490) | 24,000円前後 |
メモリ | Kingston HyperX FURY DDR4 RGB HX432C16FB3AK2/16 (PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2) | 11,000円前後 |
グラフィック | ASUSTeK DUAL-RTX2070S-8G-EVO (NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER) | 62,000円前後 |
ストレージ | Intel SSD 665p SSDPEKNW010T9X1 [M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB] | 15,000円前後 |
PCケース | NZXT H510 CA-H510B-W1 (ATX) | 9,000円前後 |
電源ユニット | Antec NeoECO GOLD NE750G (750W、80PLUS Gold) | 11,000円前後 |
CPUクーラー | ASUSTeK TUF GAMING LC 240 RGB (簡易水冷、24cmクラス) | 19,000円前後 |
定格でも上位に迫り、全コア5GHz駆動で下剋上も! このコスパを見逃す手はなし!!
これらパーツを組み合わせて自作した場合のパフォーマンスを見ていく。比較用としてCore i9-10900KとCore i7-10700Kも用意した。ちなみに、TDPなどの設定はマザーボードのデフォルト設定にしている。なお、デフォルトのパワーリミット設定は「PL1=各CPUのTDP」とIntel推奨値になっていた。
まずは基本ベンチである、PC全体の性能を見る「PCMark 10」、主に3D性能を見る「3DMark」から。これら基本ベンチについては、Core i9-10850Kを全コア5GHzで動作するようにOCした場合の結果も掲載する。
Core i9-10900Kは全コア駆動の場合は最大で4.9GHz。5GHzに設定すれば、Core i9-10900Kをわずかに超えられるのではという考えたためだ。TUF GAMING Z490-PLUSには、ベースクロックやメモリの挙動を自動最適化してくれる「ASUS MultiCore Enhancement」が搭載されているので、デフォルト設定なら安全圏内でちょっとしたOCに比較的容易に挑戦できる。とはいえ、OCは完全に自己責任なのでチャレンジする場合は十分に注意してほしい。
PCMark 10では、i9-10850Kのスコアは上位のi9-10900Kに肉薄し、全コア5GHz駆動時には4項目中3項目がi9-10900Kをわずかに上回る。ちなみに、PCMark 10ではCore i9-10850Kが瞬間的にだが、5.2GHzまでクロックが上昇したのを確認できた。
3DMarkはビデオカードの性能が大きく影響するため、CPUによる差は小さくなる。Core i9-10850KとCore i9-10900Kでほぼ差がない結果と言ってよいだろう。
つぎは動画のエンコードを見てみよう。Adobe Premiere Pro 2020で3枚の4KクリップをH.264とH.265にソフトウェアエンコードしたときの時間を測定している。エンコードはCPUパワーをフルに使う処理なので、Core i9-10900KはCore i9-10850Kよりもわずかに高速。これが100MHzの差というものだろう。
続いてシステム全体の消費電力をチェックする。OS起動後10分後をアイドル時とし、3DMarkのFire Strike実行時の最大値を3DMark時、OCCTを10分間駆動させたときの最大値をOCCT時とした。Core i9-10850KとCore i9-10900Kでほとんど差がないと言える。全コア5GHzOC時の消費電力が大きいのは、TDPの制限を解除して駆動させているため。
合わせてCPUの温度も確認する。OS起動後10分後をアイドル時、OCCTを10分間駆動させたときの最大値を高負荷時とする。Core i9-10850KとCore i9-10900Kでこちらも変わらない。24cmクラスの水冷クーラーで十分冷やせている。そして、OCするとやはりCPU温度はかなり上昇する。
なお、今回使用した個体では全コア5.1GHzでも動作し、CINEBENCH R20も問題なく完走できたが、このパーツ構成だとCPU温度は95℃まで上昇していた。強めのOCを考えるなら、今回選んだものよりも大型水冷と大型PCケースの導入を考えたほうがよいだろう。
ここからはゲームでの性能をテストする。まずは軽めのゲームから見ていこう。「レインボーシックス シージ」はゲーム内のベンチマーク機能で測定、「VALORANT」は射撃場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。
Core i9-10850KとCore i9-10900Kではほぼ誤差レベルだ。100MHzの差は軽めのゲームでは性能差となって現われることはほとんどない言える。
なお、ビデオカードがボトルネックになるにくいフルHD解像度では、コア数で劣るCore i7-10700K(8コア16スレッド)はフレームレートがガクッと下がってしまう。リフレッシュレート300HzなどフルHDの高速ゲーミング液晶と組み合わせ、少しでもフレームレートを稼ぎたいという場合は、Core i9-10850Kは非常に有効だろう。
次は中量級ゲームにスポットを当てる。「フォートナイト」はソロプレイのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapFrameXで測定、「F1 2020」はゲーム内のベンチマーク機能で測定している。
フォートナイトに関しては、どのCPUでも完全に誤差レベルだ。コア数よりもクロックの高さがフレームレートに影響する傾向にあるため、Core i7-10700Kとも差が出なくなっていると考えられる。F1 2020はCore i9-10850Kのスコアが若干低いが、新しいCPUゆえの最適化不足か。それでも差はわずかだ。
重量級ゲームも見ていこう。「Microsoft Flight Simulator」は、富士山静岡空港から富士山を目指して3分飛行した際のフレームレートをCapFrameXで測定。「モンスターハンターワールド:アイスボーン」は集会エリアを作成し、一定のコースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測している。
Microsoft Flight Simulatorは、「今最高に描画が重いゲーム」と言われるだけあり、RTX 2070 SUPERでもフルHDで60fpsを出せない。フレームレートを見るとCore i9-10850KとCore i9-10900Kはほぼ差がない。しかし、Core i7-10700KになるとWQHDまでにフレームレートが明らかに下がっており、メニーコア&高クロックCPUほどフレームレートが出せると考えられる。モンスターハンターワールド:アイスボーンはどのCPUでも誤差レベル。GPUをもっと上位にしないと差は出てこないと思われる。
最後にゲーム配信も試して見たい。フォートナイトのソロプレイのリプレイデータをOBS Studioを使って8MbpsでYouTubeに配信した際のフレームレートをCapFrameXで測定した。なお、エンコーダにはRTX 2070 SUPERに備わっているハードウェアエンコーダのNVENCを利用している。
NVENCを使用しているので、CPUに負荷をかけず配信できているとはいえ、全体的に配信していない状態よりもフレームレートは全体的に下がっている。処理にOBS Studioが加わっているのも影響しているだろう。それでも、CPUごとの差はほとんどない。動作クロックが高いCore i9-10900KがフルHDでの配信では若干フレームレートが高い程度だ。
1万円の価格差を活かしたパーツ選びでワンランク上の自作PCを目指せ!
まとめに入ろう。Core i9-10850Kは、基本ベンチこそCore i9-10900Kと100MHzの差が見えるが、ゲームにおいてはほぼ誤差レベル。一方で、下位のi7-10700Kとの間には、とくに高解像度/高リフレッシュレートでのゲームプレイに差が出てくる。上位製品との1万円の差を考えると、高性能なゲーミングPCの自作を考えているなら、Core i9-10850Kは非常に有力な選択肢と言えるだろう。
1万円あれば、最新のゲームを購入したり、ビデオカードのランクを上げたり、ストレージの容量を増やしたりとパーツ選択の幅は確実に広がる。Intelで10コア/20スレッドのCPUなら、これが一番と言える存在になっていくのではないだろうか。