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ガチくん&黒田瑞貴さんが、AOCの液晶「G2590PX/11」をバトロワ&格闘ゲームで検証。2人が驚いたその性能/機能とは

ガチくんと黒田瑞貴さん

 AOCのゲーミング液晶ディスプレイ「G2590PX/11」は、24.5型のフルHD(1,920×1,080ドット)解像度で144Hzのハイリフレッシュレートに対応した製品。今やハイリフレッシュレートのゲーミングディスプレイはめずらしくないものとなったが、本機はほかにもゲーマー向けのさまざまな機能を搭載しながら、実売価格は2万円台後半と比較的安価に抑えているのが強みだ。

 今回、弊誌ストリートファイターV攻略企画「ガチくんに!」でおなじみのストリートファイターV世界王者のプロゲーマー"ガチくん"と、同じくゲーム攻略企画「喪服は準備したか!?」に出演しているモデルでヘビーゲーマーの「963(くろみ)」さんこと黒田瑞貴さんにも本機を体験していただき、感想などを伺った。

高リフレッシュレートや低遅延、高速応答など、ゲーマー向けに仕上がっているG2590PX/11

AOCのゲーミング液晶ディスプレイ「G2590PX/11」

 まずは、製品の特徴、仕様、機能から紹介しよう。

 第一の特徴は144Hz表示の対応だ。一般的なディスプレイ、そして家庭用ゲーム機は最大で60Hz(60fps)までの表示しかできない。60Hzでも基本的にはスムーズなのだが、144Hzは文字通り、2倍以上滑らかに描画できる。滑らかになるだけではなく、極端な話をすると、理論上はFPS系対戦ゲームで、相手より144分の1秒早く敵を見つけたり、アクションを取れることを意味する。

 やや極端な例を挙げたが、それ以外にもFPS系ゲームでは、たとえば後ろに振り向こうとマウスを大きく動かしたとき、画面がマウスの挙動に吸いつくように書き換えを行なってくれるのを体感できるはずだ。FPS系のプロゲーマーからは、144Hz以上のディスプレイはほぼ必需品という話をしばしば耳にする。プロでなくとも、純粋に勝ちたいなら高リフレッシュレート対応品を使いたい。

 本製品のパネルはTNを採用。TNパネルは応答速度に秀でるが、視野角やコントラストは悪くなる傾向がある。じっさい、IPS系は公称視野角が上下/左右とも178度あるのに対し、本製品は上下160度/左右170度となっている。しかしながら、真横に近いくらいから見てもほとんど色の変化がないことに驚かされる。正面から見ている分には隅々まで色が破綻せずに表示できている。総合的に見て、TNパネルとしてはかなり上質だ。

左右の視野角はTNパネルにしてはかなり広く、角度をつけて見ても違和感がない

 コントラストについては、OSDでDCR(Dynamic Contrast Ratio)をオンにすれば80,000,000:1という高いコントラスト比を実現できる。DCRは映像に合わせて輝度を自動調整する機能(明るさやコントラストの手動設定は無効となる)で、よりメリハリのある映像が出る。

 DCRを使わない状態でもコントラストは十分高いのに加えて、NTSC比83.6%、sRGB比103.7%というスペックどおり、発色がとてもいい。ゲームでありがちな暗めのシーンでも、背景やオブジェクトが見分けやすくなったり、キャラクターのテクスチャが精細に見えたりするといった、ゲーム的なメリットも大きい。このあたりは、ガチくん、黒田さんにも後半でチェックしてもらっている。

 本機はFreeSyncに対応するほか、NVIDIAのG-SYNC Compatibleリストにも掲載されている。GeForce GTX 1080を使用し、DisplayPortで接続(HDMIではG-SYNCが機能しない)してみると、NVIDIAコントロールパネルの設定にG-SYNCの設定項目が現れた。144HzでのG-SYNC Compatible設定も問題なく有効化でき、テアリングの発生が抑制できているのを確認した。

 これらの可変リフレッシュレート機能を活用すると、システム負荷が高いシーンで左右に視点を移動したときに、画像が上下で分断されたように描画されることがなくなる。ゲームを集中してするプレイするうえで、没入感を途切れさせないために、こういった機能も大事になってくるのだ。

GeForce GTX 1080を接続したところ、OSD上でFreeSync(G-SYNC Compatible)で動作しているのを確認できた
G-SYNC Compatibleを未使用だとテアリングが発生している
G-SYNC Compatibleを使用するとテアリングは見当たらなかった

 さらにフレームバッファを使用せず入力遅延を減らすLow input lag機能も搭載(OSDでは表示遅延読み込みという設定項目になっている)。この機能はFreeSyncとは併用できないが、オンにすることで表示遅延を減らせる。

 これはゲーマーにとってもっとも重要な機能と言っていい。と言うのも、格闘ゲームやFPS/バトルロイヤル、アクションなどのゲームは、イベントに対してすばやく反応する必要がある。しかし、ディスプレイ側に表示遅延があると、反応は間に合っているのに、ゲームでそれが反映されないという事態につながる。とくに60分の1秒単位での反応が求められる格闘ゲームでは、表示遅延が少ないだけで勝率が上がってくるはずだ。

 ほかにも画面中央に照準を表示するダイアルポイント機能や、映像が明るすぎる・暗すぎるときに色合いを調整して見やすくするシャドウコントロール、ブルーライトを低減する画質モードなど用意されている。ユニークなところでは、1時間以上使用すると休憩を促すリマインダー機能まである。

 ダイアルポイント機能を使うと、ディスプレイ側で画面中央に照準マークが出る。つまり、エイム(照準をあわせる)の精度を上げるためのアシスト機能だ。これに頼りすぎてしまっても上達しにくいが、FPS初心者は最初のうち、感覚を掴むのに使うのはアリかもしれない。

画面中央に照準を表示するダイアルポイント機能
シャドウコントロール50%(標準)
シャドウコントロール0%(もっとも暗い)
シャドウコントロール100%(もっとも明るい)

 中間色応答速度はオーバードライブ時に1ms、未使用時は5msとなっている。OSDでオーバードライブの設定ができ、オフ、弱、中、強から選べる。強にするとじゃっかん滲みのようなものが見受けられたので、見た目も考慮するなら中以下の設定がよさそうだ。とはいえオフでも5msと高速。これがTNパネルの強みだ。

 応答速度が速いと、画面が動いたさいの残像感が減る。基本的には画質に関わる部分なのだが、記事後半にあるとおり、残像感が少ないとFPS系で遠距離にいる敵を狙撃しやすいというメリットがあることもわかった。

組み立てから使用まで配慮の行き届いたディスプレイ

 外観は、正面から見ると、下側だけ15mmほどの赤い枠がやや太いだけで、上側と左右は約2mmの細い黒枠のみ。黒枠に液晶の非表示領域をあわせても6.5mmほどしかなく、かなりの狭額縁に抑えている。マルチディスプレイで並べるさいに、額縁が邪魔になりにくい。

 ディスプレイ位置の調整機能も柔軟だ。高さは上下130mmと大きく動かせる上、90度のピボットにも対応。いずれもディスプレイ部をそのまま上げ下げしたり回したりするだけで動かせて、それほど力も要らない。

 映像入力はDisplayPort 1.2、HDMI 1.4×2、ミニD-Sub15ピンとなる。本機には付属品として、ミニD-Sub15ピンケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブルの3つがすべて同梱されており、PCやゲーム機が複数ある環境でもすぐに接続できる。

 電源ボタンは、本体に向かって右側の背面にある。電源オフ時にボタンを押すと点灯し、点灯時に長押しすると消灯する。ユニークなのは、このボタンがゲーム機のジョイスティックのような感覚で、上下左右と押し込みの操作ができること。画面点灯時にボタンを押すとOSD(オンスクリーンディスプレイ)が立ち上がり、メニューを上下左右に動かして各種項目を設定できる。

ディスプレイ位置を一番上に調整
一番下に調整
ディスプレイ角度を一番上向きに調整
下向きに調整
90度のピボットにも対応
ディスプレイ背面。左下にあるのが電源ボタン兼OSDのコントローラ

 梱包時にはディスプレイとスタンドが分離しており、自分で組み立てる必要がある。とはいえ組み立ては簡単で工具も不要。まず土台になるベース部に手回しネジ1本でスタンドを固定。さらにスタンドの先にある四角い部品に、ディスプレイの背面にある四角い穴を合わせてはめ込めば完成だ。なお組み立て手順を始めとしたマニュアルは紙の状態では付属しないが、同梱のCD-ROMに収録されているほか、AOCの公式サイトからも入手できる。

購入時はディスプレイとスタンド、ベースの3つに分離している
ベースとスタンドを手回しネジで固定
ディスプレイの背面にある穴と、スタンドの部品を重ね合わせてはめ込む
これで完成。追加で固定する必要はなく安定している

 スピーカーは左右に1基ずつ搭載している。低音が少々弱いのはサイズ的に致し方ないが、聞き疲れするような高音が出たりはせず、ステレオ感も出せている。ボリュームはかなり大きくできるので、音楽鑑賞などとくに音質にこだわる状況でなければ、ゲーム用として十分使える品質だ。

 USB端子も4ポート備えている。PCと本機を付属のUSBケーブルで接続しておけば、マウスやキーボードなどを本機のUSB端子に接続でき、配線もすっきりする。充電用ポートとして使うだけならPCとの接続も不要なので、PCを使わずゲーム機用のディスプレイとして使いたい人でも活用できる。

 本機はゲーミングディスプレイとして充実した機能を備えるだけではなく、ディスプレイの位置調整や接続端子、付属品に至るまで、不満を生むような隙がなく配慮の行き届いた製品だと感じた。OSDで設定できる項目がとても多く、PCに詳しい人が自分好みの設定を追求したい気持ちにも応えてくれる。またゲーム機を接続するためのディスプレイを求めるPC未経験者でも、セッティングに困ることなく快適に使用できるだろう。

 G2590PX/11のおもな仕様は下記のとおりとなる。

【表】G2590PX/11のおもな仕様
液晶サイズ24.5型非光沢
パネル方式TN
表示解像度1,920×1,080ドット
中間色応答速度1ms(オーバードライブ)、5ms(通常)
輝度400cd/平方m
コントラスト比1,000:1(通常)、80,000,000:1(DCR)
視野角160度(上下)、170度(左右)
色域NTSC比83.6%、sRGB比103.7%
最大表示色1,670万色(RGB 8bit)
入力端子DisplayPort 1.2、HDMI 1.4×2、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0×4
スピーカー2W×2
VESAマウント対応(100×100mm)
チルト/高さ調整/スイーベル/ピボット-3.5~21.5度/130mm/-45~45度/ 90度
付属品電源ケーブル、ミニD-Sub15ピンケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、オーディオケーブル、USBケーブル
本体サイズ(高さ×幅×奥行き)383.2~513.2×558.6×199.5mm
重量5.43kg

ガチくんと黒田瑞貴さん、ディスプレイでもゲームに差がつくことに驚き

 続いて、ガチくんと、黒田瑞貴さんのおふたりに本機を試用していただき、その感想を語っていただいた。まずはバトルロイヤルゲーム「Apex Legends」が得意な黒田さんがガチくんにアドバイスしながら、本機の気になった点を黒田さんがチェックしていく。

黒田: 「Apex Legends」は走るのが速くて、風景は過ぎ去っていくみたいに見えるんです。でもこの製品だと微妙な色の違いが見分けられて、洞窟みたいな暗いところを走っていても、自分がどこにいるかがよくわかります。

ガチくん: この時点で一般的なディスプレイとかなり差をつけてますね。

黒田: あとこれ見てください(走っている時に地面に見える草を指さして)。草がちゃんと草なんです!

ガチくん: そこに感動するんだ(笑)。

黒田: いつものディスプレイだと、走っている最中はぼんやりした緑色みたいに感じるんですけど、これだとくっきり見えますね。だからほら、移動中に遠くで敵が動いたときにも、はっきり見えるんです。応答速度が速いと残像感が少ないって聞いたので、その効果なんだと思います。

 あとスモーク(煙による目くらまし)を使ったとき、うちで使っているディスプレイだと、なかに入ると真っ白で何も見えないんですけど、このディスプレイだとうっすら周囲が見えるんです。これもすごいです。スモークのなかで混戦になったとき、確実に有利が取れますよね。

ガチくん: PCのスペックで勝敗が左右されるのはわかるけれど、ディスプレイの性能でも差が出るんですね。

黒田: 画面の真ん中に照準を出す機能も初心者にはいいですね。これ、たまたまだけど、「Apex Legends」のショットガンの照準とほぼ同じサイズなんです。武器によっては最初はスコープがついていなくて、後で拾わなきゃいけないんですけど、これだと最初からついているみたいなものです。

ガチくん: そうか、スコープがなくても、真んなかの赤いところを見ておけばOKと。

Apex Legends © 2019 Electronic Arts Inc.

黒田: FPS/バトルロイヤル系で、この機能は本当に大きいと思いますね。今回はじめて使って、ヤバいくらいだと思いました(笑)。格闘ゲームもそうだと思いますけど、一瞬を争うじゃないですか。FPSでもスコープを覗く時間すら惜しいので、この差は大きいですよ。

ガチくん: 確かに!

黒田: あと表示遅延も少ないので、同時撃ち(自分と相手が同時に攻撃する)の状況で勝てることが増えそうですね。同時撃ちしたつもりでも先に自分がやられていて、「今、撃ったじゃん!」というのがあるんですよ。

ガチくん: 格闘ゲームでもありますね。「今パンチ打ったのに負けてる!」って。

黒田: 自分の実力を出し切って負けたなら納得できるけど、スペック差で負けるのは納得いかないですよね。

ガチくん: 勝敗以外の部分でも、暗所で普通は見えにくいものが、このディスプレイなら見えるというのは、ゲームを無駄にしていないというか、ゲームの制作者が手をかけて作っているのが見えるということなので、ゲームを最大限楽しめる点でもすごくいいなと思います。

 あと、これは以前別の企画でも試させてもらったんですけど、144Hzだとさらに描画がスムーズなのがすごいですね。格闘ゲームは60Hz固定なので、恩恵はないんですが、FPS系だと操作性が上がるんで、僕みたいにうまくなくても勝てる気がしますよね(笑)。自宅のPCはかなり高性能だけど、ディスプレイが144Hz対応じゃないので、マジで買い換えを検討してます。


 次はゲームを「ストリートファイターV アーケードエディション」に変えて、格闘ゲーム初心者の黒田さんにゲームの初歩を教えつつ、ガチくんに語っていただいた。

黒田: ストリートファイターVはプレイしたことないんですけど、まずはどのキャラを選べばいいかがわからなくて。

ガチくん: はじめてプレイする人は、もうキャラの見た目とかで選んでいいと思いますよ。テクニックを身につけるより先に、キャラを好きになった方が楽しく遊べますしね。

黒田: なるほど! じゃぁ、このファルケっていうキャラがかわいいんで、これにします!

ストリートファイターVアーケードエディション ©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.

ガチくん: おお、さすが! と言うのも、このキャラは操作が簡単なんで、初心者向けなんですよ。それを選ぶとはさすがですね(笑)。このキャラは、こんな感じでレバー操作しなくても、ボタンを同時押しするだけで、必殺技が出るんですよ。

黒田: お、これなら私にも使えそう!!

ガチくん: 家では大会で使われるディスプレイを使うんですが、「ガチくんに!」の配信などではAOCさんのディスプレイを使っています。比べてみると、こっちの方が画質も良くて、目も疲れないにくいんですよね。ぜひAOCさんに大会スポンサーになって、ディスプレイを入れ替えてほしいと、前から思ってるんですよね(笑)。

黒田: 表示遅延が少ないのも大事ですよね。

ガチくん: ストリートファイターVでは、ヒット確認といって、技が当たったのを確認してから次の行動に移るんです。プレーヤーのスキルがもろに反映される場面です。家では本体も大会と同じPlayStation 4を使っているんですが、PC版の方がボタンの入力遅延も少ないんですね。それとこのディスプレイの表示遅延が組み合わさると最強です。家の環境より遙かにヒット確認の精度が上がるんですよ。

 ストリートファイターVは、"読み合い"の部分が勝敗に大きく関わっていて、以前のストリートファイターIVに比べると、技術の介入度が下がってるんですね。でも、このヒット確認の部分は、本当に60分の1秒の反応が求められるんです。ヒット確認の精度が上げられるということは、普段の練習が勝敗により反映されるということで、プロプレイヤーとして、より練習に力が入りますよね。

 そして、そういう高度なプレイができると、対戦がもっと密になって、大会なんかで見ている人もより楽しめるようになります。こういう低遅延のディスプレイが主流になってほしいですね。

黒田: 色がいいと、キャラクターもいい感じに見えません?

ガチくん: 格闘ゲームでは対戦の内容を重視するので、これまで色を重視することはなかったですけど、綺麗になるなら、キャラクター選びも楽しくなると思います。衣装やアクセサリーの見え方も思ったのと違ったりするかもしれないし、必殺技のモーションもより綺麗に見えるはずです。

黒田: 見え方を気にするのはプロっぽいですね!

ガチくん: 「Apex Legends」を見た時にもとくに思いましたが、ディスプレイの性能でゲームの勝敗に差が出るというのは、みなさんにも知ってもらいたいです。


 おふたりはタイプの違う2つのゲームを試して、どちらも好印象だった様子。2人とも、しきりに「自宅もこれにしたい!」と語っていたのが印象的だった。

 繰り返しとなるが、本製品G2590PX/11は、144Hzの高リフレッシュレートに対応するゲーマー向け液晶ディスプレイ。表示遅延の少なさや、暗所でも見やすい色調調整、中央に照準を表示する機能など、FPSや格闘ゲームだけでなく、幅広いジャンルのゲームで活躍してくれること間違いなしの製品と言える。