パソコン工房新製品レビュー

見た目は普通、中身は普通じゃない。GeForce RTX 5070搭載の高性能ノート

~パソコン工房「STYLE-15FR172-U7-TKSX」

パソコン工房「STYLE-15FR172-U7-TKSX」。直販価格24万9,800円

 パソコン工房の「STYLE-15FR172-U7-TKSX」は、ホーム&ビジネスで使えるSTYLE∞シリーズのノートPCだ。大人しめのデザインとなっており、会社やカフェで使っても見た目で浮くことはない。ところがそのスペックはCPUにCore Ultra 7、GPUにGeForce RTX 5070 Laptop GPUという強力なもの。ホーム&ビジネスで高性能ノートPCを求めるニーズはもちろん、クリエイティブ用途、今後のAIニーズもカバーできる1台だ。

 ここでは、性能も含めてSTYLE-15FR172-U7-TKSXを評価してみよう。

ロゴなし天板も選べる、大人しめのディスクリートGPU搭載ノートPC

 まずは冒頭でも取り上げたデザイン面から紹介しよう。「STYLE-15FR172-U7-TKSX」はブラックをメインにヒンジなど一部ガンメタリックを用いたカラーリングをしている。

 液晶天板部は中央に「iiyama」ロゴを置いている。この時点でかなりシンプルなデザインだが、カスタマイズでロゴなしも選べる。こうなるとまったくのフラット&ブラック天板になる。なお、iiyamaロゴ自体は液晶パネル面の下部ベゼルにもありこちらを取り去るカスタマイズメニューはない。

フラット天板の中央に控えめなiiyamaロゴ。カスタマイズでiiyamaロゴなしを選べばさらにシンプルな外観に

 ディスプレイはフルHD(1,920×1,080ドット)で15.6型。もちろん非光沢だ。パネル駆動方式には触れられていないが視野角も発色も十分だ。なお、リフレッシュレートは144Hzなので、ゲーミングノートPCとしても十分に満足できるスペックだ。

サイズは15.6型、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢仕様でリフレッシュレート144HzとゲーミングノートPC準拠のディスプレイ
上部ベゼルには100万画素のWebカメラも搭載

 キーボードは日本語配列でテンキー付き。キーピッチは実測で19mmほどと標準的なアイソレーションタイプのキーボードと言える。ゲーミングノートPCの名残としてキーボードバックライトも搭載。

 ユーティリティ「Control Center」でオン/オフや発光色を設定可能だ。電源ボタンは多少、ゲーミングのエッセンスを感じるが、通常キーとは独立した位置にあって、長押しでオンという仕様も誤操作を抑えられてよいと感じた。ベゼル部分も奇をてらうような意匠はなく、全体的にシンプル志向の見た目。気をそらすところがなく、作業に集中できると捉えるのがよいだろう。

日本語配列のテンキー付きキーボード。バックライトも搭載している
キーピッチは19mmほど
電源ボタンは独立した位置にあり、長押しでオンにするタイプ
タッチパッドはまずまず大きめ。121×73mmほどあった

 側面や背面には、ゲーミングノートPC風の排気口デザインが見られる。ベースモデルはゲーミングノートPC。このハイスペックで25万円前後を実現するためと理解したい。

 インターフェイスはヘッドフォン出力/マイク入力、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 2、3.2 Gen 1、HDMI、Gigabit Ethernet。USB Type-Aについては左右側面、Type-Cは右側面と背面といった配置で利便性がよい。

左側面にはUSB Type-A、ヘッドフォン出力/マイク入力
右側面にはUSB Type-A、USB Type-C
背面にはGigabit Ethernet、HDMI、電源ジャック、USB Type-C
底面には高性能CPU&GPUを冷却するための大きな吸気口を設けている
ACアダプタの定格出力は230W。ゲーミングノートPC付属のものと同じで大きめだ

 サイズは361×248.5×33.5mmでこれはゴム足を含むとされる。狭額縁ベゼルなので机の上の占有面積としては一般的な15.6型ノートPCでイメージされるものと同じ。ディスクリートGPU搭載モデルなので3cmを超える厚みだが、手前側はゴム足が薄めで若干の傾斜がつき、ディスプレイパネルを開いたパームレストまでの高さは実測2cmほどになる。重量は標準構成で約2.42kg。スペックからすれば妥当だ。

CPUは20コア、GPUはRTX 5070を採用

 ゲーミングやクリエイティブ、AIといった用途で通用するのか、内部スペックについて紹介しよう。

 CPUはIntel Core Ultra 7 255H。型番末尾が「H」であるように、モバイル向けCPUの中でもハイパフォーマンスニーズ向けの製品で、Pコアが8基、Eコアが12基のトータル20コア/20スレッド対応といった仕様になる。

 Pコアの最大クロックは5.2GHzと高くシングルスレッド性能も期待できる。また、統合GPU機能はXeコア4基のIntel Graphicsとなり、バッテリ駆動時やアイドル時などはこれを利用して電力消費を抑えられる。同時に13TopsのNPU、Intel AI Boostも統合されている。

8P/12E、計20コアのCore Ultra 7 255H
4,608基のCUDAコアを搭載するGeForce RTX 5070 Laptop GPU

 GPUのGeForce RTX 5070 Laptop GPUは、RTX 50シリーズ中では中間的なポジションの製品になる。CUDAコア数は4,608基で、GPUクロックは最大2,347MHz、AI性能は798TOPS。ゲーミングでの画質設定、AIで使用するLLMの規模で注目されるグラフィックスメモリ容量は8GBとなる。

 まずゲーミングについてはパネル解像度がフルHDなので一部最新AAAタイトルを除けば最高画質設定が望めるだろうというポジションだ。AIはグラフィックスメモリが大きければ大きいほどよいという現状なので、8GBのグラフィックスメモリでローカル動作するのはパラメータ数で7Bあたりのものが上限と思われる。

 メモリはDDR5-5600で8GB×2枚、計16GBが標準だ。最大容量は32GB×2枚の計64GBで、BTOカスタマイズによって実装可能になる。ストレージも同様。標準では512GBのM.2 NVMe対応SSDが1枚採用されていて、BTOでは最大4TB、枚数も3枚までカスタマイズできる。

なかなかの高性能でクリエイティブもゲームもAIまでもイケる性能

 ここからは基本性能をベンチマークソフトのスコアで確認していこう。代表的なベンチマークとしてULの「PCMark 10」「Cinebench 2024」「Blender Benchmark」のスコアを紹介する。

 PCMark 10 Extendedスコアは11,361ポイント。ホーム用途、ビジネス用途、デジタルコンテンツ制作想定のシナリオでそれぞれ10,000ポイントオーバーのスコアを記録している。特にデジタルコンテンツ制作、そして最大スコアがゲーミングというところは本製品の特徴をよく示している。

 Cinebench 2024は3DCGレンダリングを10分間連続実行するため、CPUが十分に温まった状態でのCPU演算性能を確認できる。マルチスレッドテストのCPU Multi Coreは1,660pt、シングルスレッドテストのCPU Single Coreは130ptだった。マルチスレッド性能は20コア/20スレッドのCore Ultra 7が効いている印象。シングルスレッド性能も最大5.2GHzのブーストの効果といった印象だ。3DCG制作などで検討される際はBlender Benchmarkのスコアも参考にしてほしい。

Cinebench 2024
Blender Benchmark。左はCPU、右はGPU

 いくつかのゲームベンチマークスコアも紹介しよう。いずれもディスプレイ解像度の1,920×1,080ドットで、画質設定側を切り換えて計測した。

 サイバーパンク2077はレイトレーシング: ウルトラ時で平均66.03fps。この時の最小fpsは56.44fpsだったので若干60fpsを割り込むシーンもあるが、おおむねプレイ可能といったあたりだろう。

 モンスターハンターワイルズ ベンチマークは、画質設定: 高が平均67.62fps、その上のウルトラについてはグラフィックスメモリが8GBであるためプレイ困難。

 レインボーシックスシージ エックスは、ウルトラ+時で平均172fps、この時の最小が128fpsだった。リフレッシュレートが144Hzなのでおおむねそれに近いフレームレートと言える。この通り、AAAタイトルをフルHDで中~高画質設定、競技タイトルは高~最高画質設定が見込めるゲーミング性能だ。

 続いてAI性能。UL ProcyonはAI Image Generation BenchmarkとAI Text Generation Benchmarkを計測した。

 ただしAI Image Generation BenchmarkではStable Diffusion XL(FP16)、AI Text Generation BenchmarkではLLAMA 2-13Bでグラフィックスメモリ容量の警告が表示される。より大規模なパラメータ、高精度高解像度の画像生成などを使おうとするとグラフィックスメモリがいくらあっても足りないというのがAIの現状だ。8GBのグラフィックスメモリの本製品は、テキスト生成ならパラメータ数8Bあるいは7Bあたりまで動作させられるイメージだ。

 最後にストレージ性能をCrystalDiskMarkで計測した結果も見てみよう。シーケンシャルリードは5,926.33MB/s、同ライトは3,722.20MB/sだった。PCI Express 4.0 x4接続のNVMeではまずまず高速タイプと言えるだろう。PCI Express 4.0 x4世代でもさらに高速な7GB/sクラスに交換するオプションもあるので、容量・速度で求めるスペックにカスタマイズしよう。

CrystalDiskMark 9.0.1

ホームからビジネス、クリエイティブまで、大人し目ノートPCが二刀流を超えてくる

 性能はミドルレンジゲーミングノートクラスに匹敵。シンプルなぶん価格は24万9,800円からとコスパもよい。見た目という点でゲーミングノートPCよりも大人しいデザインのものを探している方に最適だ。自宅インテリアとの相性などあるだろう。また、ビジネスでの高性能ノートPCニーズも、要求スペック・要求コストを満たす候補がゲーミングノートPCというのはよくあること。ビジネス、クリエイティブワークだとゲーミングノートPCを採用しづらいが、「iiyama PC STYLE-15FR172-U7-TKSX」はこうしたニーズにぴったりのはずだ。