パソコン工房新製品レビュー
GeForce RTX 4060搭載で超快適なフルHDゲーミングが楽しめる。良コスパの15.6型ゲーミングノートを試してみた
2023年12月5日 10:00
パソコン工房の「LEVEL-15FX164-i7-RMSX」は、CPUにCore i7-13700H、GPUにGeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載する15.6型ゲーミングノートPCだ。PCのゲーム性能を大きく左右するGPUだが、近年のNVIDIAのノートPC向けGPUの性能向上は目覚ましく、特にエントリーからミドル帯においては「同じナンバリングなのにデスクトップPC向け製品と比べ明らかに非力」といったことはなくなっている。
GeForce RTX 4060 Laptop GPUについても、フルHD解像度のゲーミングでは超重量級タイトルまでしっかり高画質/高fpsで描画できるだけの十分な性能を備えており、搭載PCは特にユーザーを選ばず万人に広くおすすめしやすい印象だ。
この記事では「LEVEL-15FX164-i7-RMSX」の製品サンプルをもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。
第13世代Core i7+GeForce RTX 4060 Laptop GPUで18万円台の良コスパ
LEVEL-15FX164-i7-RMSXの主なスペック | |
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CPU | Core i7-13700H (14コア/20スレッド/2.40GHz/TB時最大5.00GHz/24MBスマートキャッシュ) |
GPU | GeForce RTX 4060 Laptop GPU GPU(8GB GDDR6)/Iris Xe グラフィックス ※内蔵GPU |
メモリ | 16GB(DDR4-3200、8GB×2/デュアルチャネル) |
ストレージ | 500GB(M.2NVMe SSD) |
ディスプレイ | 15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)非光沢 |
OS | Windows 11 Home |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5 |
本体サイズ | 360×241×28.6mm(ゴム足含む) |
重量 | 約2.04kg |
実売価格 | 18万3,800円前後 |
まずは基本的なハードウェア性能から確認していこう。冒頭で述べた通り、本製品はCPUに14コア/20スレッドのIntel「Core i7-13700H」、GPUにNVIDIA「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」を搭載する。
CPUは高性能なPコアと高効率なEコア、2種類のCPUコアを併用するハイブリッド アーキテクチャを採用した第13世代CoreプロセッサのノートPC向け高性能モデル。
前世代の「Core i7-12700H」からコア/スレッド数やキャッシュ容量こそ据え置きだが、定格/最大動作クロックがいずれも上昇したことで、さらに処理能力が向上している。ノートPC向けとしては高性能なほうで、ゲームに限らず処理能力には期待できる。
GPUの「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」は、RTX 40シリーズのミドル~ミドルハイクラスをターゲットとするノートPC向けモデル。冒頭で述べた通り、デスクトップPC向けのRTX 4060との性能差はかなり縮められており、CUDAコア数やRTコア、Tensorコアの数、VRAM容量もスペック上は同等となっているのが1つの特徴。
「LEVEL-15FX164-i7-RMSX」のディスプレイは15.6型で、解像度は1,920×1,080ドットなので、本体のみだと基本的にフルHD解像度でゲームをプレイすることになるのだが、それでは少し持て余すぐらいの十分すぎる性能を発揮する。
据え置きで使う場合などに、より解像度の高い外部ディスプレイの併用を検討してもいいだろう。もちろん、RTX 40シリーズであるため最新のアップスケーリングフレーム生成技術である「DLSS 3.0」にも対応可能だ。
なお、リフレッシュレートは最大144Hz。前述の通りGeForce RTX 4060 Laptop GPUの性能はかなり高めで、よほどの負荷でない限り平均60fpsを大きく越えるフレームレートでの描画が見込めることから、高リフレッシュレートのパネルが採用されているのは妥当な判断と言える。ノートPCでも描画のなめらかさにこだわりたい、というユーザーにとって魅力的な組み合わせだろう。
メインメモリの容量は16GB(DDR4-3200、デュアルチャネル)で、ストレージは高速なデータ転送に対応する500GB NVMe SSD。中価格帯のゲーミングノートPCとしてはありがちな構成で、このあたりは可もなく不可もなくといったところ。
本製品は購入時のBTOカスタマイズが可能となっており、メモリは最大64GB、ストレージは最大2TBのほか、データ保存用のNVMe SSDをもう1枚追加可能だ。高性能なGPUの特性を最大限生かすなら、複数の大容量ゲームをインストールしておけるよう、ストレージは追加あるいはアップグレードを考えてもいいかもしれない。
ネットワークは本体右側面に用意されているGigabit Ethernetが使用できるほか、Wi-Fi 6にも対応。外出先では無線、自宅では有線接続といった使い分けができるのは便利だ。
ブラック一色のシンプル筐体を採用
本体はパソコン工房の製品ではおなじみのオリジナル筐体を採用。ヒンジ部分を含めてカラーはブラック一色となっており、装飾らしい装飾は天面に「LEVEL∞」のブランドロゴが刻印されているのみ。ゲーミングPCとしてはシンプルなため、落ち着いたデザインが好きな人によくマッチする。
本体サイズはおよそ360×241×28.6mm(ゴム足含む)。15.6型ディスプレイ採用ノートPCとしては標準的な寸法で、特に厚みが削られているわけではないため、持ち運ぶ場合はカバンのサイズなどに少し注意が必要かもしれない。
本体重量は公称約2.04kgと、こちらも同クラス製品と比較して一般的なものだ。なお、電源アダプタを本体と合わせて持ち運んだ場合でも合計重量は2.5kgを下回る。軽くはないが、持ち運びも可能な範疇だろう。
インターフェイスは、USB 3.1 Type-Cポート×2、USB 3.0ポート、USB 2.0ポート、HDMIポート、Mini DisplayPort、Gigabit Ethernet、microSDカードスロット、オーディオジャック。
USBポートの数は合計4つで、そのうちType-A形状のものが2つ、残り2つがType-Cとなっている。マウスを併用する場合などはポートが埋まりがちになるため、やりくりの仕方は少し考えた方がいいかもしれない。
映像出力に関しては、最大2枚の外部ディスプレイを活用してマルチディスプレイ環境の構築が可能。繰り返しになるが、GPUパワーを生かすなら、WQHD(2,560×1,440ドット)解像度のゲーム用ディスプレイを用意してみるのもアリだ。
キーボードはテンキーあり、日本語配列を採用。キーピッチは実測17mm前後で、筐体が大きいぶんモバイルノートよりは余裕のあるつくりだ。WASDキーや左SHIFT、スペースバー周辺は特にクセのない配置だが、エンターキーの列とテンキー列の間が詰まっているため、慣れないとタイプミスを誘発するかもしれない。とは言え、テンキーありのノートPCにはありがちな問題でもあり、慣れるほかないだろう。
LEDバックライトのカラーや明るさ、スリープタイマーの設定はプリインストールされているアプリ「Control Center」から変更可能。カラーは下部のバーから選択する方式で、キーボード自体の発光エリアは分けられておらず、全体のカラーが一括で変更される。明るさは4段階で、オフに設定することで発光しない設定にできるため、このあたりは好みで調整するといい。
「LEVEL-15FX164-i7-RMSX」の性能をベンチマークでチェック
「LEVEL-15FX164-i7-RMSX」のゲーム性能をベンチマークで計測してみよう。今回は「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」「ストリートファイター6 ベンチマークツール」といったベンチマークアプリに加え、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」「ホグワーツ レガシー」「Cyberpunk 2077」などの実ゲームタイトルでもフレームレートを計測した。ちなみに計測時の本体動作モードはすべて「パフォーマンス」としている。
比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、計測可能な解像度がディスプレイの最大解像度に依存するため、解像度はフルHDとし、3パターンの画質設定でテストを実施した。最高画質設定でも評価指標は最大の「非常に快適」で、スコアも20,000を突破。出力したレポートの平均フレームレートも144fpsを上回っており、最高画質でも余裕あるパフォーマンスを発揮できている。さらに画質を下げればスコアは大幅に伸びていくが、あえて画質を落とす意義はあまりないと言える。
「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」では、画質プリセットに「HIGHEST」および「NORMAL」「LOW」といった3パターンの設定を選択した上で、フレームレートは最大の「120」、Vsyncはオフに変更して計測を実施。
このツールはフレームレート60fps上限の対戦モード「FIGHTING GROUND」、120fps上限のオンラインマッチングロビー「BATTLE HUB」、同じく120fps上限のソロモード「WORLD TOUR」といった各モードの平均fpsを表示してくれるが、どの設定でも「FIGHTING GROUND」ではフレームレートがほぼ60fpsに張り付いている。
本作はフレームレートが落ちた場合にゲームスピードもスロー化する仕様があるため、しっかり60fpsを出し続けられることには意味があると言える。また、「BATTLE HUB」「WORLD TOUR」は最高画質でも100fps越えと優秀な結果だ。
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」の計測には、フレームレート計測ツール「CapframeX」を利用。解像度フルHD、画質は「最高」「中」「低」の3パターンとし、ゲーム内ミッション「テスターAC撃破」で一定コースを移動した際の1分間の平均/最低フレームレートを算出している。
最高画質では平均フレームレートが98fps、最小(Min 1%)では71.1fps前後とまずまずの結果だが、画質を「中」にした場合は平均フレームレートが20fps前後向上する。さらに「低」まで画質を落とすと本作の上限である120fpsの壁に到達するが、最高画質の平均100fps前後と劇的な違いが体感できるわけではない。あえて画質を落とすほどの差か、と言われると難しいところだ。
「ホグワーツ レガシー」でも、「CapframeX」を利用してフレームレートを計測。解像度フルHD、画質は「最高」「中」「低」の3パターンとし、いずれもDLSSの設定は「オート」とした上で、ゲーム内マップの一定コースを移動した際の1分間の平均/最低フレームレートを算出している。
DLSSを活用していることもあって「最高」と「中」の平均fpsはそれほど大きく変わらないが、「低」まで落とすとフレームレートを20fpsほど上積みできる。とは言え、こちらももともと十分なフレームレートが出ていることから、本製品で画質を落とす意味はあまりないかもしれない。
「Cyberpunk 2077」では、ゲーム内ベンチマークモードを使用してフレームレートを計測。条件はフルHD解像度、画質設定「レイトレーシング:ウルトラ」「ウルトラ」「中」の3パターンとしている。
屈指の重量級設定である「レイトレーシング:ウルトラ」においても平均55.59fpsと、ほぼ60fps相当の平均fpsを出せている点は高く評価すべきだろう。プリセットでDLSSが有効化されない「ウルトラ」でもそれぞれ平均90fps/最低45fps、「中」でも平均114fps/最低57fpsと、それぞれ文句なしのパフォーマンスを発揮している。
ストレージ性能については、「CrystalDiskMark 8.0.4」で計測を実施した。シーケンシャルリードがQ8T1テストで3,500MB/s前後と好調な半面、シーケンシャルライトは最大でも1,600MB/s前後にとどまる。読み込みの高速さはゲーム内のロード時間などで体感できる場面がしばしばあるため、ゲーミングPCとしてここが速いのはありがたい。
デスクトップPCにひけを取らないパフォーマンスを求めるなら
フルHD解像度設定のゲーミング用途なら、AAA級タイトルを高いフレームレートでプレイできるパフォーマンスの高さが大きな特徴と言える「LEVEL-15FX164-i7-RMSX」。一昔前のゲーミングノートPCに比べて驚くほど安定感のあるゲームプレイが可能なのはもちろん、もう少し上の解像度、たとえばWQHD(2,560×1,440ドット)でも比較的しっかりプレイできるだけの性能は備わっているので、より画面の品質にこだわるなら外部ディスプレイを使うといった拡張性にも期待ができる。
Core i7-13700HとGeForce RTX 4060 Laptop GPUを併載した製品の中では比較的安価な18万円台の価格も魅力の1つ。とりあえず「何でも遊べる1台が欲しい」という人にはうってつけで、汎用性の高いゲーミングノートPCを探しているユーザーにおすすめしたい1台だ。