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ガス式エアダスター、10時間分使えば約6万9千円の出費!なら電動式はどれくらい節約できる?

左がkycle製電動エアダスター、右がずっと愛用していたエレコム製ガス式エアダスター「AD-ECOM」。2016年3月から、3本セットをAmazonで9回、ヨドバシカメラで15回購入している

 個人的にもライターとしても「エアダスター」は欠かせないアイテムだ。掃除機をかける前に棚やデスクのホコリを飛ばしたり、PC内部のチリ除去、物撮り前の製品表面清掃など、使わない日はない。電源タップ周りの綿ぼこり掃除にも重宝している。

 数年前までガス式エアダスターを愛用していたが、利用頻度の多さから出費がかなりかさんだ。ノンフロンタイプでも、DME(ジメチルエーテル)は可燃性のため通電中の使用は厳禁で静電気に注意が必要。毎月空き缶を捨てることにも抵抗があった。

 そこで、2022年4月にサンワダイレクトの電動エアダスター「200-CD076」(8,980円)を購入。さらに2025年6月16日にはkycle製電動エアダスター(3,690円)をAmazonで追加購入した。これは自宅用とサバイバルゲーム用(外出用)の2台が欲しくなったからだ。3年ぶりに購入した新型電動エアダスターはコンパクトながら十分な風力を持ち、価格も以前の半分以下。耐久性は未知数だが、高コスパだと感じている。

 そこで、今回購入したkycle製電動エアダスターとガス式エアダスターの風力、持続時間、ランニングコストを細かく比較検証してみた。どちらのタイプのエアダスターを選ぶかの参考にほしい。

ブラシレスモーターを搭載、操作方法はシンプルで使いやすい

 筆者はkycle製電動エアダスターを3,690円で購入した。価格推移を調べるKeepaで販売価格の履歴を見てみると、販売が開始されたのが2024年11月。当初は9,980円で販売されていたが、それから4,978円→3,970円→3,770円→3,690円と販売価格が改定されている(記事掲載時点ではAmazonから消えた状態)。

筆者はkycle製電動エアダスターの太口ノズルを装着して使用している

 製品スペックは、25万rpmのブラシレスモーターを搭載し、風速120m/sと謳われている。ブラシレスモーターの回転数を調べる機材はないし、風速についてはどのような条件で計測したのかAmazonの販売ページに記載されていない。ただ筆者が2022年4月に購入したサンワダイレクトの「200-CD076」より、風力が強いことは間違いない。具体的な風力についてはのちほど風速計で計測してみよう。

 筐体は樹脂製で、サイズは140×105×36mm、重量は215g。6,000mAhのバッテリを内蔵しており、充電時間は3時間以内、最小風力での動作時間は最大3時間と謳われている。最大風力での動作時間についてものちほど計測してみよう。

本体サイズは140×105×36mm。左側面にスライダー、電源ボタン、LEDインジケータを配置
前面と背面
下面にはUSB Type-C端子を配置。冷却口も設けられている
パッケージには本体、ノズル3本、収納袋、USB Type-Cケーブル、取り扱い説明書兼保証書が同梱
左からブラシ付きノズル、太口ノズル、細口ノズル。
細口ノズルは空気入れ用で、バランスボールや浮き輪などへ空気を入れることにも利用できる

 アクセサリは充実しており、本体、細口ノズル、ブラシ付きノズル、太口ノズル、収納袋、USB Type-Cケーブル、取り扱い説明書兼保証書が同梱されている。保証やアフターサービスについてはメールとLINEで受け付けている。

収納袋にはすべての同梱品を収められる

 操作方法はシンプルで、電源ボタンの長押しでオン/オフが可能。電源を入れると、LEDインジケータでバッテリ残量を確認できる。後はスライダーで風の強さを調節するだけ。また待機状態が5分間続くと自動的に電源オフとなる。詳細な日本語マニュアルも同梱されているが、読まなくても迷わず使えるはずだ。

ガス式エアダスター

エレコム「AD-ECOMT」。サイズは実測高さ215mm、直径66mm
3本セットが1本あたりの価格が最も安い

 エレコムのガス式エアダスター「AD-ECOMT」についても手短かに触れておこう。本製品はDMEとCO2を成分とするガス式エアダスター。内容量は350ml。前述の通りDMEは可燃性なので、火気は厳禁。また吸引も厳禁とされているので、換気などに注意する必要がある。使用上の注意、保管、廃棄の際の注意事項については製品に記載されている。購入した際にはよく読んでほしい。

使う前には必ず使用上、保管上、廃棄上の注意を熟読しよう
使用時には上部のキャップをはずす。キャップを装着していれば、誤ってガスを噴出させてしまうことはない

 サイズは実測高さ215mm、直径66mm。付属チューブの長さは135mm。使用の際には対象物から10cm以上離し、2~3秒に区切って噴射するようにと指定されている。製品には大きく「逆さ使用OK!」と記載されているが、連続的に長時間逆さで使用した場合には液化ガスが噴出する可能性がある点には注意しよう。

 Amazonでは記事執筆時点で1本509円、2本1,240円、3本1,455円で販売されていた。筆者はこれまでAmazonで9回購入しているが、どのときも3本セットが1本あたりの価格が最も安かった。電動エアダスターはバッテリ残量がなければ使えない。電動エアダスターをメインで使っていても、数本手元に置いておくと安心だ。

 なお、今回電動エアダスターの比較対象としてエレコム製ガス式エアダスター「AD-ECOMT」を使用しているが、エレコムは電動エアダスターも販売している。風速は15~22m/s、動作時間は18~35分。6種類のノズルと、3種類のブラシが同梱されており、アタッチメントを付け替えればハンディ掃除機としても使用可能だ。

 記事執筆時点で7,590円とkycle製電動エアダスターより高価だが、電動エアダスターを購入する際には候補の1つに加えてほしい。

エレコムのAD-ALB04BKは、エアダスターとしてだけでなく、ハンディ掃除機としても使用可能。車内の掃除に便利そうだ

電動はガス式に対して5cmで134%、15cmで176%、30cmで152%相当の風力を記録

 さて、まずは風力をチェックしてみよう。今回は、至近距離(5cm)、中距離(15cm)、長距離(30cm)における風力を簡易風速計で計測してみた。

測定方法
電動エアダスターは5cmで27.08m/s、15cmで20.92m/s、30cmで13.6m/s
ガス式エアダスターは5cmで20.18m/s、15cmで11.92m/s、30cmで8.97m/s

 結果は、以下のグラフの通り。

電動はガス式に対して5cmで134%、15cmで176%、30cmで152%相当の風力を記録

 電動エアダスターはガス式エアダスターに対して、5cmで134%相当、15cmで176%相当、30cmで152%相当の風力を記録したことになる。さらにガス式エアダスターは2~3秒に区切って使用するようにと推奨されており、連続して使用しているとみるみる風力が低下していく。

 風力の強さ、そして持続性という点でも電動エアダスターのほうが優れていると言える。

電動エアダスターは最大風力で約14分、ガス式エアダスターは約4分13秒使用できる

 次に動作時間だ。こちらは単純にストップウォッチで計測したところ、電動エアダスターは最大風力で14分00秒18ミリ秒動作した。最小風力での動作時間は最大3時間と謳われているので、相当短くなるわけだ。

 一方、ガス式エアダスターは前述の通り、2~3秒に区切って使用するようにと推奨されているので、電動エアダスターと同じ方法で計測できない。そこで今回は、3秒に区切ってエアを噴射し、合計10秒間でのガス消費量を重量で算出。そののち、ガス式エアダスター1本あたりの内容量から、総使用可能時間を計測した。

 結果は約4分13秒。充電などの事前準備が必要ないというメリットはあるものの、1本あたりの使用時間は電動エアダスターよりかなり短いことになる。

電動エアダスターは最大風力で14分00秒18ミリ秒動作
連続動作した際の表面温度は、電動エアダスターが最大34.4℃、ガス式エアダスターが最低マイナス17.7℃。これは極端な例だが、元々ガス式エアダスターは連続使用するための製品ではないことが分かる

10時間使ったときのコストは電動が3,720円、ガス式エアダスターが6万9,064円

 さて、個人的に最も気になっていたのはランニングコスト。電動エアダスターは本体購入費+フル充電にかかる電力量、ガス式エアダスターは1本あたりの価格から、それぞれ100時間使用した際のランニングコストを算出してみた。

 電動エアダスターは前述の通り、最大風力で連続動作させた際に14分動作した。その後、電動エアダスターを0%からフル充電した際に20.7Whの電力を必要とした。これを元に100時間使用した場合の電気料金は310.45円(1kWhあたり35円で算出)となる。電動エアダスターを3,689円で購入しているので、100時間使用した際のランニングコストは3,999円だ。

電動エアダスターを0%からフル充電した際の消費電力は20.7Wh
消費電力の測定にはワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を使用。電気料金は別途計算している

 ガス式エアダスターについては、1本あたりの総使用可能時間は約4分13秒とすでに算出している。それを元に算出すると、100時間使用する場合の本数は1,424本、合計金額は69万640円となる。ちょっと100時間は多すぎたかもしれない。

 そこで総使用時間を10時間に変更すると、電動エアダスターは本体3,689円+電気料金約31円で合計3,720円、ガス式エアダスターは6万9,064円となる。100時間で算出したときほど極端な差ではないが、それでもランニングコストは電動エアダスターのほうが圧倒的に安い。ただし、電動エアダスターは長期間使用していればバッテリが劣化するだろうし、故障する可能性もあるという点には留意しておくべきだろう。

屋外用に携帯するなら電動エアダスターのほうがかさばらない

 携帯性についても触れておこう。kycle製電動エアダスターのサイズは140×105×36mm、重量は実測209.3g。ガス式エアダスターのサイズは実測高さ215mm、直径66mm、重量は実測430.5g(後述するが多少のバラツキがある)。自宅に常備しておくならガス式エアダスターでも邪魔にはならないが、屋外で使用するために携帯するなら電動エアダスターのほうがかさばらないことは確かだ。

kycle製電動エアダスターのサイズは140×105×36mm、重量は実測209.3g
ガス式エアダスターのサイズは実測高さ215mm、直径66mm、重量は実測430.5g

ガス式エアダスターには同じ量のガスが入っている?

 最後に素朴な疑問として、ガス式エアダスターに同じ量のガスが入っているのか調べてみた。使用前の重量を量ってみると、435.5g、430.5g、429.5gであった。完全にガスを使い切った缶の重量は204.2gだったので、今回の3本には231.3g、226.3g、225.3gのガスが入っていたことになる。

 DMEの密度は液体状態で約0.668g/mlなので、内容量の350mlに密度の0.668g/mlをかけると、約233.8gとなる。今回のガス式エアダスターにはCO2も含まれているし、多少の製造上の誤差はあるが、ほぼ正確に350mlの液化ガスが入っていることは間違いない。

使用前の重量を量ってみると、435.5g、430.5g、429.5gとわずかな差があるが、これは製造上の誤差範囲だ

使用頻度の少ないユーザーにはガス式、長期的に使用するなら電動エアダスターがおすすめ

 今回の検証で、風力、連続動作、そしてランニングコストでも電動エアダスターがガス式に勝る結果となった。しかし、ガス式エアダスターは初期費用が安く、充電の手間なくすぐに使えるというメリットがある。使用頻度の少ないユーザーには魅力な製品だ。

 とはいえ、使用頻度が高く、長期的なコストを重視し、安定した強力な風力を求めるユーザーには電動エアダスターがおすすめ。バッテリ劣化や故障のリスクは考慮すべきだが、コスパと使い勝手において、電動エアダスターは賢い選択肢と言えよう。