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ニュースリリースで振り返る、時代を築いたPCたち【シャープ編 MZ-40K~X68000】

MZ-40K

 特集企画「ニュースリリースで振り返る、時代を築いたPCたち」の第4回目は、シャープである。

 シャープは、8ビット御三家の一角として、黎明期のパソコン市場を牽引。その後も、X1シリーズやX68000シリーズ、Mebiusシリーズなどを発売し、常に話題を集めていたPCメーカーだった。2009年にPCの生産を終了し、PC事業から撤退したが、2018年には、東芝のPC事業を行っていた東芝クライアントソリューションの株式を取得して子会社化。シャープ傘下で、DynabookブランドのPC事業を推進している。

 今回は、シャープのワンボードコンピュータ「MZ-40K」のほか、「MZ-80C」、「X1」、「X68000」のニュースリリースを全文掲載する。手書きのニュースリリースもあり、貴重な資料だといえる。

 なお、現在、シャープ傘下のDynabookにつながる東芝ブランドのPCのニュースリリースについては、東芝/Dynabook編として、次回(3月31日)に掲載する予定だ。

MZ-40K

 1978年に発表したのが、4ビットワンボードマイコン「MZ-40K」である。「マイコン博士」の愛称がつけられていた製品だ。ニュースリリースは手書きとなっており、それをコピーあるいはFAXで受信したと思われるものが、シャープに保存されていた。そのため、一部に文字が欠落している部分がある。

 ニュースリリースを見ると、当時のマイコンブームの盛り上がりが伺える内容になっている点も興味深い。電子オルガンやゲーム遊び、センサーによるカウント機能や電子オルゴール機能を搭載していることにも触れている。CPUの項目では、メモリの容量が記されるなど、広報部門の理解が進んでいなかったことも伺われる。

MZ-80K

MZ-80K

 シャープには、1978年に発売した「MZ-80K」というパソコンがある。これがシャープの黎明期を代表する製品の1つで、当時はシェア50%を獲得したというデータも残るヒット商品なのだが、残念ながら、同社にはこのニュースリリースが残っていなかった。

 だが、1979年10月に発表した「MZ-80C」のニュースリリースが残っていた。こちらも手書きによるもので、仕様の一部に修正が入っている点も当時の様子を反映している。

 MZ-80Cは、MZ-80Kの姉妹機として、コンプリートタイプとして発売されたことが記されている。MZ-80C本体の価格は26万8,000円で、これにドットインパクトプリンタ、フロッピーディスクドライブ、そして、デスク3点などを加えたシステム価格が94万円となっている。仕様のところには、当時、シャープが訴求していた「クリーンコンピュータ」の名称が使われている。

MZ-80C
MZ-80Cのシステム

X1

X1

 1982年10月14日に発表したのが世界初のパソコンテレビ「X1」である。CPUにZ80Aを搭載したパソコンとしての機能とともに、カラーでテレビ放送を楽しむことができ、さらに、テレビ放送とパソコン画面、ビデオ映像とパソコン画面を重ねて表示するスーパーインポーズ機能も搭載していた。

 ニュースリリースでも、これらの機能により、ビデオアートを楽しんだり、テレビゲームやビデオ編集の用途に利用できたりすることを訴求している。

 MZシリーズは部品事業部(のちにコンピュータ事業部)が開発したパソコンであったのに対して、X1シリーズはテレビ事業部が開発したパソコンであり、まったく異なるコンセプトの製品であった。X1のニュースリリースでも、テレビ事業部ならではの画質へのこだわりが伺える。

X68000

X68000

 縦型のマンハッタンシェイプの筐体が特徴的なX68000は、シャープを象徴するPCとして、いまでもマニアの間では話題にあがる製品だ。

 ニュースリリースの日付は、1986年12月4日となっており、発売は1987年2月1日。だが、実際の発売は3月にずれ込んだ。CPUにモトローラのMC68000を搭載したX68000は、インテル系CPUを搭載した他社のPCとは一線を画し、「16ビットパーソナルワークステーション」と呼んだ。ニュースリリースでは、16ビットの理想形を徹底的に追求した高性能コンピュータと表現している。スイッチの切り換えによって、マウスからトラックボールに変わる新開発「マウス・トラックボール」も同梱していた。