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知らなかったかも!Webサイトを「アプリとしてインストール」するChrome/Edge機能の便利さ
2024年12月5日 06:05
Google ChromeやMicrosoft EdgeなどのWebブラウザでは Webサイトを「アプリとしてインストール」する機能 がある。Webサイトをタスクバー上の一般的なアプリのように起動して使えるようになるものだが、メリットがよく分からず利用していない、という人もいるかもしれない。しかし、使ってみるとかなり便利だ。
ここでは、この「アプリとしてインストール」の基本と、活用することによるメリットを紹介していこう。
「アプリとしてインストール」する手順
Webサイトを「アプリとしてインストール」する方法は簡単だ。Chromeでは、アプリ化したいWebサイトにアクセスした後、下記の手順でWebブラウザのメニューをたどればOK。Edgeも同じようにメニューからインストール可能だ。
Microsoft Edgeの「アプリとしてインストール」の手順
一部のWebサイトでは、アドレスバー内に専用のボタンが表示され、さらに少ない手順でアプリ化できるようになっていることもある。アプリ化できるのはそうした専用ボタンが表示されるWebサイトだけ、と思われるかもしれないが、実際には先に説明した通り、メニューをたどればどんなWebサイトもアプリ化が可能となっている。
ところで「アプリ化」と言ってはいるものの、その実体としてはWebブラウザだ。タブやアドレスバーなどの機能が省かれた、そのWebサイト閲覧用のシンプルなビューワみたいなもの。
なので、なんでもかんでもアプリ化すれば便利になる、というわけではない。個人ブログや一般的な企業サイトを片っ端からアプリ化しても、それほど意味はないだろう。この後説明するようなメリットが得られやすいWebサイトを選んでアプリ化するのがおすすめだ。
【メリット1】最小限の手順、リソースでWebサイトを開ける
Webサイトをアプリ化することによる最も分かりやすいメリットは、少ない手間でそのWebサイトにアクセスできるようになることだ。
たとえばGmailにアクセスする場合、まずWebブラウザを立ち上げた後、お気に入り(ブックマーク)から選ぶか、アドレスバーにURLを直打ちするか、Web検索するか、といった手順となる(最近はWebブラウザのホーム画面から選べたり、起動と同時に前回開いていたページをタブで開けたりもするが)。
しかし、アプリ化した場合はタスクバーやデスクトップ上に作ったショートカットアイコンなど、目に付きやすいところから一発でそのWebサイトにアクセスできるため、手順は最小限で済む。
また、Webブラウザ本体を起動したときに大量のタブであちこちのWebサイトを開いてしまう状態になっていると、メモリ容量の少ないPCでは動作が重くなる恐れがある。が、アプリ化した場合はタブがなくそのWebサイトだけを開くため、メモリなどのリソース消費を抑えられるのも利点だ。
【メリット2】コンテンツの表示領域が広くなる
2つ目のメリットは、コンテンツの表示領域を広げられること。アプリ化するとウィンドウからタブ、アドレスバー、ブックマークバーなどが省かれるため、主に縦方向の表示領域が拡大する。
上下スクロールすることの多いWebブラウジングにおいては、少しでも縦方向に広くして閲覧しやすくしたいもの。また、Google カレンダーのように、コンテンツの一定範囲が必ずウィンドウサイズ内に収まるようなWebアプリ・サービスでも、表示領域が広がれば一度に視認できる情報量も増えるのでメリットが大きい。もしくは、広くなった分フォントの拡大率を大きくして視認性を高める、といった方向性で活用するのもアリだろう。
【メリット3】ほかのドメインに遷移したことが分かりやすい
アプリ化することで、フィッシングサイトなど不正なWebサイト・コンテンツにアクセスしたときにも気付きやすくなることが考えられる。アプリ化したWebサイト内のリンクから別ドメインのWebサイトにジャンプした場合、ウィンドウの最上部にURLとタイトルが表示され、すぐにそれと分かるからだ。
URLなどが表示されるだけでさほど目立たないように思えるかもしれないが、コンテンツ全体の表示が下にずれることになるので、意外と「別のドメインになったな」というのが分かりやすい。
アプリ化したWebサイト自体には問題がなくても、リンクをクリックしていくうちにほかの不正なWebサイトに誘導されてしまう可能性もある。別ドメインに遷移したと気付いたときには、そこが本当に安全なコンテンツなのかを慎重に確認してみてほしい。
【メリット4】アプリ化すると追加機能を使えるWebサイトも
アプリ化したWebサイトは、ほかの一般的なアプリケーションと同じように、タスクバーやスタートメニューにピン留めすることもできる。ピン留めすることによってアクセス性がアップし、よりアプリっぽい使い勝手になるだろう。
加えて、Webサイトによっては追加の機能を使える場合がある。たとえばX(旧Twitter)をアプリ化すると、起動後のタスクバーアイコンの右クリックメニューに「新しいポスト」や「ダイレクトメッセージ」といったショートカット項目が表示され、クリックすると各機能をすぐに実行可能なウィンドウを立ち上げられるのだ。
こんな風にちょっとユニークな機能が使えるようになるのもアプリ化ならでは。Webブラウザ本体では利用できない特別な機能を探すべく、いろいろなWebサービスのアプリ化を試してみるのもいいかもしれない。
Edgeでアプリ化すればさらに便利な使い方も
ChromeでもEdgeでも、アプリ化によるメリットは基本的に同じだが、Edgeでアプリ化した場合はより便利に使えるところもある。
1つは、アプリ化したWebサイトのタスクバーおよびスタートメニューへのピン留めが簡単にできること。Edgeでは、アプリとしてインストールするときにピン留めするかどうかの確認ダイアログが表示される。そこでチェックを入れておけば、デスクトップ、タスクバー、スタートメニューの3箇所から起動できるようになるのだ。
また、同じ手順で、Windowsログオン時にそのWebアプリを自動起動する設定も行なえる。Webメールサービスや社内システムのポータルなど、PC作業時は必ず使うことになるWebサイトを設定しておくのがおすすめだ。
一方、Chromeで同じことをしようとすると手間が少し増える。ピン留めするには、いったんインストールした後に、デスクトップアイコンの右クリックメニューから、もしくはアプリ起動後にタスクバーアイコンの右クリックメニューからピン留めの設定をすることになる。Webアプリの自動起動については、スタートアッププログラムへの手動登録が必要だ。これらの手間を省きたいならEdgeを使おう。
それともう1つ、Edgeでアプリ化したXでは、タスクバーのメニューから各種機能が使えるだけでなく、起動後のウィンドウ内で「サイドバー検索」という機能も使えるようになる。これは、Xのタイムラインを表示しながらWeb検索(タイムラインの検索ではない)するためのものだ。
アプリ化した場合はそのWebサイト専用のビューワになるわけで、何か調べたいと思ってWeb検索しようとしても、別でWebブラウザを起動しなければならない。が、Xのサイドバー検索機能を使えばそんな回りくどい操作は不要。検索結果はコンパクトに表示され、タイムラインの閲覧性を損なうことなく必要な情報が得られるだろう。
アプリ化が有効なWebサイトを見つけて活用したい
タブ型ブラウザが標準的になり、目的のWebサイトにアクセスしやすくする工夫が多数盛り込まれていることもあって、Webサイトを単独のアプリのように扱える「アプリとしてインストール」する機能がどういったシーンで役立つのか、というのはなかなか分かりにくい。
が、今回紹介したようなメリットを生かせるWebサイト、たとえばWebメールやGoogleの各サービス、SNSなどでは、Webブラウザ本体で利用するよりもアプリ化したほうが都合が良いことも少なくない(ちなみにWindowsのタスクバーから起動できるCopilotもEdgeでアプリ化されたものだ)。リソース消費を最小限にしたい低スペックなPCにおいても効果的なはず。
なお、メリットの1つとして不正なWebサイトに気付きやすくなることも挙げたが、これは反対に小さなデメリットにもなり得る。たとえばログインが必要なWebサービスでユーザー認証ページが別の(サブ)ドメインになっていたりする場合、再認証が必要になった際にURLなどがウィンドウ内に表示されてしまうことになるからだ。
本誌を含むWatchシリーズも媒体ごとに異なるサブドメインになっているため、横断的に閲覧しようとするとURL表示が目障りになるだろう。あくまでも同一ドメイン内のWebコンテンツを利用する、ということを前提にアプリ化するものを選ぶようにしてみてほしい。