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【2022年版】不要になったモバイルバッテリやポータブル電源、どうやって処分する?
2022年3月24日 06:24
テレワークが普及し、在宅での作業が増加したことで、ノートPCを外出先に持ち出す機会が減った人は多いだろう。かつては手放せなかったモバイルバッテリが、すっかり出番を失ってしまっている人も少なくないはずだ。
その一方、USB Power Delivery(PD)で給電できるデバイスが増え、それに対応するモバイルバッテリに買い替えたことで、古いモバイルバッテリがお蔵入りになっている人も多いのではないだろうか。
そんなモバイルバッテリは、不燃ゴミとして出すのは厳禁だ。モバイルバッテリに用いられているリチウムイオン電池は強い衝撃や圧力が加わると発火する性質を持っており、これを原因とするゴミ収集車の炎上事故は全国で跡を絶たない。面倒だからといってこうした廃棄方法をとるのは絶対にNGだ。
では、そんなモバイルバッテリを処分したい場合、どのような手段を取るのが正解なのだろうか。本稿では、2022年3月時点での最新情報をもとに、モバイルバッテリのほか、近年注目を集めつつあるポータブル電源についても、処分方法をまとめてみた。
JBRC加盟メーカーであればリサイクルBOXへ
モバイルバッテリで最もポピュラーな処分方法は、家電量販店などが店頭に用意している「小型充電式電池リサイクルBOX」に投入することだ。これは一般社団法人JBRCが提供しているもので、同団体に加盟しているメーカーのモバイルバッテリであれば、ここで処分が行なえる。言うなれば回収のための総合窓口といったところだ。
この小型充電式電池リサイクルBOXは、家電量販店のほか、各地の協力店に設置されており、JBRCのサイトを見れば、最寄りの設置店舗を探すことができる。JBRCに加盟しているメーカーの一覧もあるので、手持ちのモバイルバッテリのメーカーが会員企業に含まれているかを確認した上で、設置店舗を探すとよい。
ちなみに、多くの自治体サイトにも画像が転載されているこの「小型充電式電池リサイクルBOX」だが、ユーザーから見えないカウンターの奥にひっそり置かれており、外見を覚えて店頭に足を運んでも見つからないことが多い。店員またはサービスカウンターに設置場所を尋ねるのがよいだろう。
なおこの一般社団法人JBRCは、かつてに比べると加盟メーカーも増加している。例えばモバイルバッテリでトップクラスのシェアを持つAnkerは、3年前の時点ではJBRCに加盟していなかったが、現在は名を連ねている。筆者の私見だが、JBRCに加盟していれば一定の信頼が置けるメーカーとして、認知度は高まっているように感じられる。
またこのAnkerを始めとして、自社で無償回収を行なっているメーカーもある。リサイクルBOX設置店まで足を運ばなくてよいことに加え、タイミングによっては自社直販サイトでの購入時に使える割引クーポンが添付されるケースもあるので、上手く活用するとよいだろう。
JBRC非加盟のメーカーの製品はどうする?
さて、問題となるのは、このJBRCに加盟していないメーカーだ。RAVPowerやAUKEY、Belkinのように、量販店でよく見かける顔ぶれでありながら、JBRC未加盟ゆえリサイクルBOXでの回収を受け付けていないメーカーの製品は、店頭の回収ボックスに入れることができないので、個別の対応が必要になる。
こうした場合の対応手順は基本的に2つ。1つは製造元のメーカーに問い合わせて、回収してもらえないかを確認することだ。メーカーの中には、取扱説明書やホームページ上で送付先をきちんと案内しているところもある。また問い合わせた時のみ、送付先を案内してもらえる場合もある。
もっとも海外メーカーなどは、国内で販売するためにPSEマークだけは取得しているものの、実質ノンサポートという場合もある。下手をすると購入元のページが消滅して、問い合わせ先が分からなくなってしまっているケースもあるだろう。
こうした場合は、居住している自治体のごみ収集窓口に連絡し、どのように処分すればよいか指示を仰ぐことになる。確実とはいえないが、回収を行なってくれるケースもあるはずだ。
ただしこれにしても、連絡するにあたってメーカー名や型番、使われている電池の種類を調べなければ、相手側も判断がつきにくいだろう。それならば購入時点であらかじめ、JBRCに加盟しているか、処分方法を明記しているメーカーの製品を選んだほうがよい、ということになる。
ポータブル電源はさらにカオスな状況
最後にもう1つ、ここのところ災害対策として注目度が高まりつつあるポータブル電源についてはどうだろうか。
ポータブル電源は現時点ではPSEの対象外であり、それゆえモバイルバッテリと同じメーカーが手掛ける製品でも、取り扱いは別になっていることが多い。実際には、メーカーによる直接回収か、もしくは自治体などによる回収のどちらかになることがほとんどだ。
例えばAnkerの場合は、メーカーサイトで無償回収の申込みを受け付けている。同社は前述のようにJBRC加盟メーカーだが、ポータブル電源については前述のリサイクルBOXは利用できず、直接回収のみになるとのこと。
一方でポータブル電源で高いシェアを持つJackeryの場合は、ホームページ上で「お住いの市町村の条例に従い廃棄してください」と案内している。試しに筆者が居住している自治体に同社製品の具体的な型番を挙げて問い合わせたところ、危険ごみとして出すよう案内された。
またある国内メーカーは、サービスセンターでの回収を行なっているものの、方法は直接持ち込みに限定され、送付は対応していないとのこと。サービスセンターは東名阪にしかなく、地方在住者にとっては酷なシステムだが、ポータブル電源が寿命を迎えるのは発売から数年後ゆえ、サポート体制が追いついていなくても、問題が表面化していないのが現状のようだ。
このように、モバイルバッテリの回収方法がある程度整備されてきた一方で、ポータブル電源についてはカオスな状況にあり、まだまだ過渡期のようだ。災害対策の一環として注目を集めるポータブル電源だが、これから購入する場合は、回収方法が明確になっているか、モバイルバッテリ以上に気を付けたほうがよいだろう。