特集

GPU×CPUで考える、あのゲームのセッティング

DOS/V POWER REPORT 2018年5月号の特集は「PC自作最新事情 春の一斉チェック」

このゲームに適したCPUは? ビデオカードはどのくらい必要? 賢い投資で楽しくPCゲームを遊ぶコツを徹底検証!!

 DOS/V POWER REPORT2018年5月号(3月29日発売)では、「PC自作最新事情」と題して、PC自作界隈で最近話題になっている話題、最新の製品情報、そしてPCパーツの運用ノウハウの常識&ディープゾーンを大ボリュームでお届けします。

 本稿では、この特集に掲載した「GPU×CPUで考える、あのゲームのセッティング」の内容の一部を抜粋し、定番ベンチ「3DMark」のスコアの傾向分析、大人気FPS「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」のテスト結果を掲載します。

(著者: 加藤勝明)

人気ゲームのベンチマークから見えてくる

 昨今の仮想通貨マイニング需要のおかげで最近はビデオカードが品薄の上、割高感も強い。最近の為替相場急騰により流通は徐々に回復しつつあるものの、マイニングブーム前に比べるとまだ高い。さらにメモリも高いとくれば、定番パーツを集めて組むだけで高価になってしまう。

GeForce GTX 1080 Tiの価格推移(ZOTAC GeForce GTX 1080 Ti AMP Edition)

 予算が限られている、あるいは描画の軽いゲーム主体で遊ぶというなら2万円クラスのカードでも十分プレイできる。ASUSTeK「PH-GTX1050TI-4G」は補助電源なしでも動作するビデオカードとしては今のところ最強クラスのGTX 1050 Tiを採用している

 だがゲーミングPCでビデオカードだけに予算を集中させるのは最善手ではない。最近のゲームはCPUパワーも使うため、CPUとGPUのバランスが重要だ。

 そこで今回はさまざまなゲームタイトルで、CPUとGPUの組み合わせでパフォーマンスがどう変化するかを検証してみたい。ゲームのパフォーマンスの8割はGPUパワーで決まるが、そのGPUパワーを引き出すにはCPUパワーが不可欠。今回は定番「Core i7-8700K」と安価な4コア「Core i3-8100」に加え、値下がりしてお値打ち感が高まった「Ryzen 7 1800X」の3種類に、GTX 1050 Ti~1080 Ti、さらにVega 64の5種類のGPUを準備。各ゲームの“フルHD&最高画質”時のパフォーマンスの違いを検証してみたい。

ゲーマーにオススメしたいビデオカードの例

ZOTAC「International GeForce GTX 1080 Ti Mini(ZT-P10810G-10P)」。実売価格:120,000円前後。快適なゲーミング環境には欠かせないハイエンドGPU搭載のビデオカード。GeForce GTX 1080 Tiを搭載していながら、この製品のように長さわずか21.1cmのショート基板タイプも登場し、使いやすさの幅は広がっている
ASUSTeK Computer「PH-GTX1050TI-4G」。実売価格:24,000円前後。予算が限られている、あるいは描画の軽いゲーム主体で遊ぶというなら2万円クラスのカードでも十分プレイできる。ASUSTeK「PH-GTX1050TI-4G」は補助電源なしでも動作するビデオカードとしては今のところ最強クラスのGTX 1050 Tiを採用している
PCゲーム向きGPU(およびAPU)のおおよその実力
【本稿の検証環境】[LGA1151][Socket AM4]
マザーボードGIGA-BYTE Z370 AORUS Gaming 7 (rev. 1.0)(Intel Z370)ROG STRIX X370-F GAMING(AMD X370)
メモリG.SKILL F4-3200C14D-16GTZR×2(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×4 ※PC4-21300として動作)
SSDIntel SSD 600p SSDPEKKW512G7X1[M.2(PCI Express 3.0 x4)、512GB]
電源SilverStone ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)
OSWindows 10 Pro 64bit版
定番3Dベンチマーク「3DMark」。GPUに対する最適化が偏っていない3DMarkは、まず最初に見ておくべきベンチだ。CPUの演算性能もスコアに加味されるが、GPUよりもプライオリティは低い。フルHDゲーミングならFire Strikeが10,000ポイント以上は欲しいところ。テスト結果は総合スコアのほかに、各テスト別のスコアも表示される。GraphicsテストのスコアはCPUの影響を極力排除したい時にチェックするとよいだろう。比較的新しいTime SpyではPhysicsという項目はなく“CPU Test”という曖昧な表現になっている点に注意

 実際のゲームにおけるCPUとGPUの組み合わせを考える前に、まずは定番ベンチである「3DMark」のスコアで比較してみよう。GPUに対する最適化が偏っておらず、GeForceでもRadeonでもしっかり性能を引き出してくれる。今回使用したのはDirectX 11ベースの“Fire Strike”および“Fire Strike Ultra”、DirectX 12ベースの“Time Spy”に“Time Spy Extreme”の4つだ。

Core i7-8700K
Core i7-8100
Ryzen 7 1800X

 この3DMarkではGPUパワーに加えCPUのマルチスレッド性能もスコアに加味されるが、Fire StrikeとTime Spyではスコアの出方が大きく違ってくる。まずDirectX 11ベースのFire Strikeでは、シングルスレッド性能の高いCore i7-8700Kが抜きん出ている。

 Ryzen 7 1800XはPhysics Testで8700Kを上回るものの、シングルスレッド性能が低いため高性能GPUのパワーを活かし切れない。だが、よりマルチスレッド寄りになったTime SpyではCore i7-8700Kを超えないまでも、かなり近くまでRyzen 7 1800Xが迫っている

 。グラフィックス描画システムがシングルスレッド優位なのか、マルチスレッド優位なのかで傾向が大きく違うという点は覚えておきたい。だが後者のようなゲームは最適化の手間がかかるため、まだFire Strike寄りのゲームが大勢を占めると考えてよいだろう。

PUBGは重い? 現時点のデータはコレだ「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」

「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」。世界中で人気のバトルロワイヤルFPS。正式リリース後のPUBGはGPUドライバ側の最適化も進んだことでパフォーマンスがかなり改善された。145fpsでフレームレートの制限がかかるので、あまり強力なビデオカードを導入してもムダになる点には注意したいところ。(C)2017 PUBG CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

 類似ゲームの登場という洗礼を受けてなおプレイヤー数ではダントツのPUBGこと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」は、これまでのゲームとは違った傾向を見せたゲームだ。今回はゲーム開始時の集合地点周囲を走り回ったときのフレームレートを3回計測し、平均fpsの中央値を出したデータで比較する。

CPU×GPU ベンチマークテスト結果

Core i7-8700K
Core i7-8100
Ryzen 7 1800X

 まずPUBGのフレームレートは145fpsが上限だ。画質“ウルトラ”かつフルHD環境だと、GTX 1080 Tiではほぼ上限近くで動作する。144Hzの高リフレッシュレート液晶を使わない限り、今回のテスト条件ではGTX 1060辺りでも十分なパフォーマンスが得られると言える。

 ここまでのページで紹介したゲームと違い、PUBGはCPUパワーの影響が小さい点も重要だ。どのCPUにおいてもGTX 1060から1080Tiまで、GPUを変化させるとフレームレートも連動する。つまりPUBGをプレイするだけなら、4コア4スレッドのCore i3でもボトルネックになりにくい。ただ今回試した3種類のCPUの中で、Core i3の最低fpsがもっとも低いことを考えると、CPUはある程度パワーのあるほうがカクつきが抑えられると言える。

PUBGの画質設定はそれほど細かくないが、一番下のほうにあるモーションブラーは効果のわりに重くなるのでOFFが基本。設定を下げてもまだ重い場合は、画面のレンダリングスケールを下げる手もある。ただ遠方の視認性が下がるので、あくまで最後の手段だ

このほか5月号本誌では、

  • アサシン クリード オリジンズ
  • FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION
  • Forza Motorsport 7

の3タイトルのCPU/GPU別ベンチ&解説、さらに、いよいよ登場したAMD「Ryzen G」シリーズの実ゲームにおける実力検証を掲載。これらの記事や、特集の全貌はぜひ本誌を購入してお楽しみください!

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