2022年6月1日 14:00
業務用インクジェットプリンターを製造・販売するローランド ディー.ジー.株式会社は、東日本電信電話株式会社(以下:NTT東日本)が主催し、株式会社NTT ArtTechnology(以下:NTT ArtTechnology) が企画・運営する「Digital×北斎」*1特別展で公開される、葛飾北斎の岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(八方睨み鳳凰図)の高精細デジタル復原画制作に協力しましたのでお知らせいたします。
八方睨み鳳凰図は、葛飾北斎によって、長野県小布施町の岩松院*2の本堂に描かれた天井絵です。90歳でこの世を去る北斎が最晩年に手掛けた肉筆画であり、もっとも大きなサイズ(奥行5.5m×間口6.3m)の作品とも言われています。
この八方睨み鳳凰図のデジタル化と高精細デジタル復原画の制作は、NTT東日本およびNTT ArtTechnologyが推進する「分散型デジタルミュージアム構想」*3の一環として行われました。天井絵のデジタルデータ化は、NTT ArtTechnologyのパートナーである株式会社アルステクネ(以下:アルステクネ)が、特許技術「高品位三次元質感画像処理技術DTIP」*4を用いて実施。さらに、同社が未完成部を推定復元し、質感毎に多層化処理を行いました。そして、約300億画素にもなるその高精度なデータを元に、ローランド ディー.ジー.がUVインクジェットプリンター*5を使用し、原寸大で出力。その高精細デジタル復原画は、2022年6月2日より開催される体験型美術展「Digital×北斎」特別展の目玉作品として展示・公開されます。
当社 代表取締役 社長執行役員の田部 耕平は、「復原画の印刷には、UVインクジェットプリンターLEC2-640を使用しました。今回のプロジェクトでは、広い色域や正確な色再現性が求められるだけでなく、絵具の風合いや、人の手で描かれた筆使いの質感、金箔の輝き、そして、この作品の最大の見所である“油煙墨の反射”などを忠実に再現する必要があり、そのためには、特殊印刷が行えるUVインクジェットプリンターの表現力が必要不可欠でした」と語ります。
NTT ArtTechnologyの代表取締役社長 国枝 学氏は、「高精細デジタル復原画の仕上がりにはとても満足しています。八方睨み鳳凰図に施された鮮やかな色使いや精巧な技法、特にデジタル化の過程で発見された特定の条件下で天井絵が輝く様も再現できており、北斎が込めた想いや、作品の持つ永遠の力までをも表現できていると思います。デジタル技術を活用すれば、これまで現地に行かなければ見ることができなかった作品の数々を、空間・距離・時間にとらわれず、誰もが身近な環境で鑑賞できるようになります。それは、貴重な文化財を保護するとともに、文化芸術の楽しみ方の新しい可能性を大きく広げ、さまざまな交流を生み、地方創生にもつながっていくと考えています」と述べています。
また、アルステクネの代表取締役社長 久保田 巖氏は、「UVインクジェットプリンターのメーカーはもちろん他にもありますが、高精細で多質感な巨大出力という、未知の領域へのチャレンジに尻込みせず協力くださったのがローランド ディー.ジー.でした。ポジティブな姿勢に素晴らしい企業風土を感じると同時に、ローランド ディー.ジー.とでなければ実現できなかったと思います」と語りました。
最後に田部は、「デジタル技術を活用してアートや文化の素晴らしさを伝えていきたい、というNTT東日本、NTT ArtTechnology、アルステクネのビジョンや取り組みには、人々の創造性を大切にしながらビジネスを展開している当社との共通点が多く、このプロジェクトへの参加に大きな意義と喜びを感じています。また、日本が世界に誇る北斎の作品に関わることができたことは、たいへん名誉なことです。制作した復原画は、プロジェクションマッピングなどの演出も交え、素晴らしい展示になっておりますので、ぜひ多くの方々にご覧いただきたいと願っています」と述べています。
<高精細デジタル復原画 展示概要>
名称 : 「Digital×北斎」特別展
主催 : NTT東日本
企画・運営: NTT ArtTechnology
開催期間 : 2022年6月2日(木)~2022年7月3日(日) 木曜日~日曜日開催
開催場所 : NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] ギャラリーA
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
入場料 : 一般・大学生 1,500円
公式サイト: https://www.ntt-east.co.jp/art/hokusai-special/
UVインクジェットプリンター LEC2-640
*1 NTT東日本主催、NTT ArtTechnology企画・運営により開催している一連の体験型美術展。2019年~2020年に【序章】展を開催、2020年12月から【破章】展を開催中で、特別展は【破章】展と併催となる。その他に九州国立博物館等でサテライトミュージアムを展開している。
*2 長野県小布施町にある曹洞宗の寺院。1812年(文化9年)の火災による本堂消失後、1831年(天保2年)に再建された際、高井鴻山が世話人を務め、葛飾北斎に本堂大間天井絵の制作を依頼した。
https://www.gansho-in.or.jp/
*3 NTT東日本がNTT ArtTechnologyと共に推進する「ICT技術を活用して、様々な人々が身近な環境の中で、文化芸術に触れることにより、地域と都市、世界をつなぎ地域の活性化に貢献すること」を目指す取り組み。
https://www.ntt-east.co.jp/art/hokusai-hasyo/museum/
*4 絵画から、図像や色彩だけでなく、質感や立体感、サイズなどの情報を読み取ってデータ化し、特殊な画像処理システムによって合成するアルステクネの特許技術。このDTIPデータから制作されるリマスターアートは高く評価されており、世界で初めてフランス国立オルセー美術館より、絵画のマスターレプリカとして認定されている。
https://www.arstechne.co.jp/
*5 UVインクを搭載した大判インクジェットプリンター。紫外線を照射することで瞬時に硬化する性質を持つUVインクを使用するため、インクを重ねて印刷すれば立体的な表現が可能に。また、光沢インクが使用できたり、紙以外のさまざまな材料に直接印刷できることも大きな特長のひとつ。
https://www.rolanddg.co.jp/products/printers/versauv-lec2-640-330-uv-printer-cutters
●ローランド ディー.ジー.株式会社について
ローランド ディー.ジー.株式会社は、デジタルプリンティング分野におけるソリューションプロバイダーです。主力製品である業務用のインクジェットプリンターやカッティングマシンは、産業・商業印刷のデジタル化を推進し、広告看板やポスター、ステッカー・ラベルの製作からアパレルやグッズ、スマートフォンケースなどの身の回り品への加飾印刷まで、幅広い用途で活用されています。近年では、ユーザーのプリンティングオペレーションに安心と快適をもたらし、ビジネスの生産性向上をサポートするコネクテッドサービスや、個人のお客様が気軽にオリジナル印刷を楽しむことができるデザインプラットフォームを開発するなど、デジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。
ローランド ディー.ジー.ホームページ https://www.rolanddg.co.jp/
本件に関するお問い合わせは下記までお願いいたします。
●お客様のお問い合わせ先
〒431-2103 静岡県浜松市北区新都田1-6-4
ローランド ディー.ジー.株式会社
コールセンター
TEL : 0120-808-232
E-mail: rdg-info@rolanddg.co.jp