やじうまPC Watch

サラリーマンの皆さん、最近立ってますか?

~エルゴトロンの立位対応アームなどを試してみた

エルゴトロンジャパンのポール・コテ氏

 この記事をお読みの方は、今、立っていらっしゃるだろうか? それとも座っていらっしゃるだろうか? 移動中スマートフォンで読んでいる人は立っているかも知れないが、座っているかも知れない。一方、会社で仕事中の人なら、おそらくほぼ100%の人が座って読んでいるだろう。筆者自身も、会社でサイトを見ている時は着席している。

 だが、長時間座りっぱなしでいることは、体に良くないらしい。実際、デスクワークをしていて、キーボードやディスプレイの位置や角度が悪かったり、椅子の形状や高さなどが体に合わないなどの理由で、腰や肩に疲労が溜まるということを経験したことある人は少なくないだろう。

 だが、長時間座りっぱなしでいることは、単に疲れるといったことに留まらず、死亡リスクを引き上げるという研究結果が出ているのだ。早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一郎教授らが日本健康教育学会で提出した論文によると、成人は平均して1日の55~60%を座位で過ごしており、定常化した座位行動は、糖尿病、ガン、冠動脈疾患の発症リスクを高めるという。

 この、座位行動と健康障害の相関関係について、欧米諸国では、早くから研究に取り組んでおり、長時間の座位行動が健康を害するという認知から、例えばオーストラリアでは、条例によって一定規模の企業に、立ちながらも仕事ができる環境の整備を義務付けているという。

 一方、日本ではそういう取り組みは寡聞にして聞かないが、岡教授の論文によると、日本は調査対象となった20カ国の中で、もっとも座位時間が長いのだという。つまり、日本人こそ、座りっぱなしに対する対策を早く行なわなければならないのだ。

 そういうことを聞き知った矢先、エルゴトロンが、自分のデスクで立ちながらでも作業できる機材を開発、販売していることを知った。メーカー担当者に、軽い気持ちで、「ちょっと試させてもらいたいかも」と雑談混じりに話したところ、実際に代表的な製品を3つほど試させてもらえることになった。

 「Workfit-T」は、台座型の製品で、机の上に置いて使う。キーボードを手前に、ディスプレイなどを奥側に設置。後は両脇のレバーを握りながら上げ下げすれば、スムーズに高さを調整できる。

 今回、製品の試用をエルゴトロンジャパンにお願いしたところ、同社マネージング・ディレクターのポール・コテ氏が弊社オフィスに設置に来てくれた。とりあえず、3つある中で一番お勧めのものをまず紹介して欲しいと言ってコテ氏が開梱したのが、このWorkfit-Tなのだが、設置にかかった時間は約3分。その内2分以上は、開梱にかかった時間だ。というのも、本製品はまさに置くだけで設置が完了するからだ。

 個人的には、一般的なオフィスデスクのほとんどの部分を専有してしまうので、慣れるまでは圧迫感が強いと思ったが、座りっぱなしの時間を減らすに当たって、もっとも簡単に導入できるツールの1つがこの製品と言えるだろう。

Workfit-Tの箱を開け、緩衝材を取り外す
後は机の上に置いて、レバーを固定しているバンドを取り外す。以上で設置完了
左右のレバーを握ると、高さを調節できる
実際にスタッフに使ってみてもらった。今回はスタッフの普段の仕事環境そのままだが、液晶ディスプレイも置けるので、デスクトップユーザーも利用可能
横から見たところ。正直、圧迫感はある
立ち状態に合わせたところ。これだと、ちょっと首が下を向きすぎてるので、タブレットなどでも外部ディスプレイと組み合わせた方がいいかもしれない

 「Workfit-A」は、エルゴトロン製品の中で個人的に一番かっこよく、かつ機能性にも優れていると感じたものだ。本製品はアーム式になっており、根元を机の端に固定。先端にはキーボードとマウスを置くテーブル、その奥にはそのほかの物を置くテーブル、そしてその上にはディスプレイ用のVESAマウントがある。

 この製品は高さだけでなく、前後左右の位置や角度も自由に調節できる。そのため、持ち上げれば立ちながらの作業に対応できるし、机の上に何かを広げたい時は、ディスプレイやキーボード一式を横に避けられる。

 そして、今回は試用していないが、この派生モデルである「サスペンション型キーボード」タイプだと、2つのテーブルは高低差が設けられており、上側のテーブルをデスクの手前の部分に合わせてセッティングすると、キーボードマウスが、テーブルよりも一段低い高さに来るようになる。キーボード入力する際、肘の角度は90度より少し開いている位が作業しやすい。サスペンション型キーボードタイプを使うと、キーボードがちょうど腿あたりに来るようになり、デスクトップをラップトップ状態で使えるようになるのだ。これは座りながらの作業も楽になりそうだ。

Workfit-AにノートPCと液晶を取り付けたところ
高さはこれくらいまで動く。さらに液晶部分だけも上下できる
通常の作業状態はこんな感じ
立って作業するとこのような感じ
側面から。アーム式だが安定性はある
後ろ姿はちょっと哀愁が漂う。知らない人が見たら、罰で立たされてると思われるかも知れない
※動画はサスペンション型キーボードタイプ

 「Workfit-P for Apple」は、ノートPC向けのアーム式テーブル。for Appleとあるが、Apple製品と色味を揃えているだけで、どんなノートPCでも利用できる。上げ下げにはさほど力はいらないが、手を載せたくらいでは下がったりしないので、立位状態でも安定してノートPCを利用できる。座っている時も、高く上げれば、机の上に資料を広げたりできる。

Workfit-P for Apple。VAIOは筆者の私物であり、他意はない
側面から
持ち上げたところ
実際の利用シーン
立位だとこのように
一時的にデスクに何かを広げたい時なども有効

 コテ氏によると、エルゴトロン製品のメリットは手動でスムーズに動かせる点だという。というのも、電動だと高さ1つ変えるのに10秒近く待たされたりするからだ。

 座りすぎで死ぬ確率が高まる、と聞くと、ちょっと大げさすぎではと思うかも知れない。筆者も、今すぐ座る時間を減らさないと寿命が縮むとまでは思ってない。ただ、同じ姿勢でPCを使い続けて、ちょっと腰を伸ばしたい時というのはよくある。そういう時に、このWorkfitシリーズは役に立つだろう。

 ただ、最大の障壁は、社内で独りで使うと浮きすぎてしまうという点だ。実際、今回社内で試用してみて、いろいろな製品になれた弊社スタッフからも、社内で「立ち仕事」をしている姿にいろいろと突っ込みが入った。時間が経てば自分も周りも慣れるだろうが、最初の一歩は勇気がいる。

 そこでお勧めしたいのは部署単位、会社単位での一括導入だ。「赤信号、みんなで渡れば、怖くない」ではないが、みんなで使えば恥ずかしさはない。価格はTが64,000円前後、Aが72,000円前後、Pが5万円前後と、そこそこするが、経営者として見た場合も、社員がこれまで体をほぐしがてら離席したり、座りっぱなしで眠くなったりして下がっていた生産性が、デスクで立位作業できることで上げられると考えれば、無駄な投資にはならないのではないだろうか。

 ちなみに、エルゴトロンの販売代理店は同社のホームページに記載されている。店頭や通販では取り扱いは基本的に行なっていないが、個人でも購入は可能という。設置については、今回取り上げたものはぎりぎり1人でもできるが、別途有償で設置サービスもある。また、社員1,000人以上の企業には、無償試用のプログラムもあるので、気になった人は問い合わせてみてはいかがだろう。

 今回、エルゴトロンジャパンの協力により、記事の中で紹介した「Workfit-T」、「Workfit-A」、「Workfit-P プラチナ」をそれぞれ1名様にプレゼントします。ふるってご応募ください。

●応募および個人情報について

・株式会社インプレスは、本プレゼントの応募を通じてお客様からご提供いたいた個人情報を、本プレゼントの発送に関すること以外の目的で使用することはありません(当選者決定後、データは削除します)。

・アンケートでお答え頂きました回答につきましては全て、当選者につきましてはメールアドレスのみをに提供いたしますが、それ以外の個人情報を第三者に渡すことはありません。

・抽選はエルゴトロンジャパン指定の国内代理店(テックウインド株式会社)が行ない、当選者は代理店より直接メールでご連絡差し上げます。その際、発送先や発送時期などについて、調整をお願い致します。

・製品は代理店より直接発送いたします。商品発送は5月中旬以降を予定しています。設置できない場合でも返品不可といたします。また、設置サービスを含みません。

・ご応募は日本国内に在住の方に限らせていただきます。

・本人以外の仮名や家族名義での応募は無効とさせていただきます。

・ご応募はおひとり様1通とさせていただきます。複数の応募を確認した場合は無効といたします。

【応募方法】
応募方法:下記リンクの応募フォームに必要事項を入力して送信してください
応募フォーム
応募締切2015年4月10日(金) 5:59まで

(若杉 紀彦)