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NASAの系外惑星探査に誰でも協力できるサイトが公開

1月30日(現地時間)公開

 米国航空宇宙局(NASA)は1月30日(現地時間)、誰にでも簡単に太陽系外惑星の探索に協力できるサイト「Disk Detective」を公開した。

 NASAが打ち上げた、広域赤外線探査衛星(Wide-field Infrared Survey Explorer:WISE)は、2年間の間に宇宙の全域に渡って、7億4,500万個の詳細な天体写真を撮影した。NASAのチームでは、惑星形成のメカニズム解明などのため、コンピュータ解析を行ない、ここから惑星が写っていると思われる物体を50万個にまで絞り込んだ。

 惑星は、基本的に若い恒星の周辺に集まるガスやチリ、氷の粒などで形成される土星の輪のような円盤から生まれる。この円盤は赤外線を発するので、WISEの写真ではぼおっと光った円のように見える。しかし、銀河、星間粉塵雲、アステロイドなども似たように写るため、コンピュータ解析では違いを完全には区別できないのだ。

 そこで、出番となるのが、人間の目だ。

 Disk Detectiveは、一度説明を読めば、誰にでも分かる簡単なインターフェイスで作られている。サイトに行き、まず「Start Classifying!」を押すと、WISEおよび他の望遠鏡で撮影された天体の赤外線写真が表示される。写真左下の再生ボタンを押すか、下のスライダーを動かすと、同じ対象を異なる望遠鏡で撮影した、一連の写真がパラパラ漫画のように表示される。

 見つけたい円盤は、このパラパラ漫画をめくっても、位置が動かず、2つ以上に分裂することもない、きれいな円形をしている。また、写真には赤い円が描かれているが、チリの円盤を持つ恒星の写真は、この円の中に収まるように写っているはずだ。

 この前提知識を持った上で、それぞれの対象に対して、「赤い円の中に複数の物体が写っているか」、「対象が照準からずれているか」など5つの質問に答える。複数を同時に選んでも良いが、理想的な対象は、5つの質問のどれにも当てはまらないもので、その場合は右下の選択肢を選ぶ。

 あとは、ひたすら、異なる対象に対して同じ操作を続けていくだけだ。50万もの写真を全部チェックするとなると、気の遠くなるような作業だが、キーボードでも操作できるので、慣れてきたら1枚を数秒で処理できるだろう。

 素人が下す判断には間違いも多く含まれるが、多くの人がこのプロジェクトに協力すれば、データの精度は向上していく。そして、目的の円盤であることが確からしいものがここでみつかったら、NASAはそれらに対して、ハッブル宇宙望遠鏡や、その後継となるジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡を用い、より詳細な調査を行なう予定だ。

 死後、宇宙望遠鏡にその名が付けられたエドウィン・ハッブルは、数多くの天体のスペクトルを調べ、宇宙が膨張していること、つまりビッグバンの証拠を発見した。みなさんも、わずかな空き時間にでも、遙か彼方の星の写真をみつめながら、宇宙論の発展に寄与してみてはいかがだろうか。

(若杉 紀彦)