やじうまPC Watch

中国製GPU「MTT S80」の性能が明らかにされる

 中国のMoore Threadsが突如11月11日より極少数で販売開始した“ゲーミングGPU”の「MTT S80」。実はPC Watch編集部も購入にチャレンジをしたのだが、残念ながら抽選から外れて失敗した。しかしこのたび中国のメディア「EXPreview」が、MTT S80のレビューを公開した。

 改めておさらいすると、MTT S80はMoore Threadsが3月荷発表した“MUSA”アーキテクチャに基づくGPUで、4,096基のコアを集積した“春暁”により、ゲームに応えられる性能とした製品。業界初のPCI Express 5.0対応ビデオカードになっているほか、16GBのGDDR6メモリを備え、演算能力は14.4TFLOPSを謳っているなど、現代的なGPUのミドルレンジモデルに引けを取らないスペックが謳われている。

 EXPreviewによると外観的な特徴は以下の通り。

・DisplayPort 1.4aが3基、HDMI 2.1が1基
・8ピン電源コネクタがあるが、PCI ExpressではなくESP 12V(4ピン×2は入らず、8ピンネイティブ1本なら入る)
・基板は実質カードの半分程度でコンパクト
・電源は6+2フェーズ
・メモリはSamsungのGDDR6(規格上は16Gbpsだが動作は14Gbps)

 さて気になるベンチマーク結果だが、Ubuntu上でのclpeakの値はGeForce RTX 3060相当の値を示す。また、メディアエンコードエンジンなどは強力だったという。一方、Windows 10環境下では、「3DMark06」や「Unigine Valley v1.0」のスコアはRTX 3060に大きく水を開けられている。

 実際のゲームにおいては、「League of Legends」や「Crossfire」、「Street Fighter IV」ではゲームプレイに全く支障のないフレームレートが出たものの、「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」ベンチマークでは5045というスコアにとどまり、テクスチャおよびレンダリングのエラーがあったとのことだった。まだまだゲームの最適化は不十分であると言えるだろう。

 EXPreviewは「現時点ではGPUの半分程度の性能しか出ておらず、ドライバの改善が最優先事項だろう。また、ゲームの最適化も課題で、DirectX 9のゲームはほぼ動くもののテクスチャ/レンダリングエラーが多め、DirectX 10/11/12のゲームは問題が多数である。現時点では60タイトルの対応が謳われているが、ドライバの進化によるサポートタイトルの増加に期待したい。(中略)総合的に言えば、まだ理想的な段階ではないものの、改善の余地は多く残されている。将来的なドライバでより優れた性能に期待したい」とまとめた。