やじうまPC Watch
ジャンクな500円シンクライアントで遊ぶ
~VIA C7搭載でレトロOSに好適?
2019年5月16日 11:42
先日、秋葉原でぶらぶらしていたところ、GENO QCPASSの秋葉原買取センターで、中古のWyse製シンクライアント端末「C10LE」が500円という価格で販売されているのを見かけた。“大量入荷のためジャンク”という訳あり価格だそうだが、面白そうだったので買ってみた。
シンクライアントの実装方式はさまざまで、PXEを通じてネットワーク経由でOSをブートし、ローカルで処理する方式などもあるのだが、サーバー側でほとんどの処理を行ない、端末側はユーザーのキーボードやマウス操作をサーバーに送信し、画面を受信するタイプのものがほとんどである。いわばリモートデスクトップ専用端末だ。そのため、端末としての処理性能は最小限である。
C10LEも後者に属する製品であり、2011年に製造されたものであるにもかかわらず、CPUは2005年にVIAが開発したC7 1GHz(本機に搭載されたものはEdenで、パッケージが若干異なるのだが)、メモリは512MB、128MB(!) SSDを搭載している。というわけで性能はまったく期待できないわけだが、特徴がいくつかある。
・無線ルーターと同じぐらいの大きさの筐体にx86 CPUを搭載
・ファンレス、SSD、ACアダプタ採用で完全無音
・ネジ1本外せば内部にアクセスでき、メンテナンス性は良好
・OSとしてWyse Thin OSを標準搭載しているだけで、それ以外はごく普通のx86 PC
・SSDは44ピンIDE接続で、IDE HDDに換装可能
・動作時の消費電力は8~10W程度(実測値)
・PCとして使うためのインターフェイスは比較的充実
・レガシーOSはとくに難なく動きそう。とくにWindows XP
CPUとチップセットは基板に実装されているので換装はできないが、メモリはDDR2 SO-DIMMスロットを1基備えており、最大2GBまで装着できる。また、IDEも昔の一般的なノートPCで使われている44ピンコネクタ(ただしオス)なので、ケーブルさえ手に入ればストレージも換装できる。
メモリは銅製ヒートシンクに挟まれており、放熱性は良さそうだが、後期のDDR2メモリはさほど発熱量が高くないため、換装してみて熱くないようなら外しても良いだろう。ストレージはIDE→CFやIDE→SD変換アダプタを利用してもいいし、薄いタイプのHGST製1.8インチHDDなら、メモリのヒートシンクを外せば筐体にそのまま収まるので挑戦してみても面白い。
BIOSは「Del」キーで入れる。初期パスワードとして「Fireport」が設定されていた。設定項目はあまりないのだが、Bootのタブにお世話になるだろう。本機にはUSB機器のエミュレーション機能がついており、キーボード/マウス/USBメモリはDOS上からでもドライバなしでそのままアクセスできる。よって、USBメモリにインストールしたいOSを詰め込み、そこからブートしてインストールするのが一番手っ取り早い。
本機のチップセットはVX855であり、対象OSはWindows XP以降となっている。そのためドライバもWindows XP以降でないと用意はないのだが、ハードウェアの全機能使うことを目標としなければ、Windows 9x系もインストールと起動が可能。ついでに言えば、Windows 95は128MB SSDにギリギリ収まる(インストールには大変な作業が付きまとうので、おすすめはしない)。
頑張ってストレージを換装してWindows XPマシンに仕立ててもいいが、IDEケーブルやらHDDやらが手元にない人は、余計な出費がかさんでしまう。サウンド系は使えそうにないが、DOSのゲームを走らせるのにちょうどいいスペックなので、本体のストレージにFreeDOSを入れ、USBメモリにDOSゲームやプログラムを入れて遊んだほうがいいだろう。
ちなみに、付属のACアダプタは12V/2.5A出力で、外径5.5mm/内径2.1mmのDCジャックタイプとなっている。電子工作などにも使えそうで、汎用性が高い。中古とは言え、ACアダプタだけでも1,000円ぐらいの価値があるといえるだろう。