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3Dマッピング/レーザー加工を駆使した「ハイレゾレコード」

3Dマップ化されたレコード溝

 近年、アナログレコードが再び盛り上がりを見せており、今の音楽スタイルに合わせたUSB接続可能なレコードプレイヤーなども登場してきている。そんな中、3Dスキャンやレーザー加工を駆使した高品位なレコード盤の製造技術が発表された。

 新しいレコード「HD Vinyl(HDレコード)」を発表したのはオーストリアに所在するベンチャー企業「Rebeat Innovation」で、最大100kHz記録可能とより良い周波数特性や、30%の再生時間、従来品に比べて30%の振幅向上、スタンパーの摩耗による品質ムラを排除を実現するという。

 HD Vinylの特性は、3Dマップによる溝の定量化、溝形状の最適化、レーザー加工を施したセラミック製のスタンパーの使用によるもの。

 特に溝の3Dのマップ化によって全く同じスタンパー(溝をつくるオス型のようなもの)を製造することが可能となっている。そのため、何枚レコードをプレスしても旧来のレコードのように溝がゆるくなってしまうことが無い。従来のレコードでプレミアがつく「初回プレス」も、数万回目のレコードであっても理論的にはほぼ同じレコードがプレスできるということだ。

 さらに、溝形状自体も最適化されている。先述のプレスを重ねても溝が丸まらない特性から、針自体も「丸くなることを考慮した形状」とする必要がなく、よりタイトな専用針を使用することでよりよい再生品質も期待できるという。HD Vinyl自体は「完全な後方互換性」があるとされているが、音質を引き出す専用のプレイヤーを今後同社が発売する予定。

 また、3Dマップを直接編集することで不要なピークを除去することができる上、通常のレコードでは15kHz程度が最大記録可能な信号周波数だったが、精密なレーザー加工により100kHzの信号も記録可能となった。

専用針を用いた場合の模式図
セラミック製のスタンパーにはレーザーで溝を刻む