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愛猫家に朗報。ネコに腎不全が多発する原因が解明
2016年10月13日 19:55
ペットとしてのネコの保有率は、日本やアメリカを含む多くの地域で犬を抜いて第1位と高く、現在日本では1千万頭を超えているという。東京大学大学院医学系研究科は13日、ネコに腎不全が多発する原因を究明したとする研究結果を発表した。
以前より、ネコは腎不全が原因で死亡する割合がほかの動物に比べて高いことで知られていた。腎不全になると血液中に老廃物が溜まり、身体のさまざまな臓器の働きに支障を来たす。
同大学の研究グループは以前に血液中のタンパク質「AIM」(apoptosis inhibitor of macrophage、CD5Lとも呼ばれる)が急性腎不全を治癒させる機能を備えていることを発表したが、今回の研究でネコのAIMがマウスやヒトのAIMと異なる特徴を持っており、急性腎障害が生じても活性化されず、尿中に移行しないことを発見。そのため、ネコの血液内にAIMが十分にあったとしても腎臓の機能が回復せず、そのまま慢性腎不全が進行してしまうことが明らかとなった。
実験では、AIMをマウス型からネコ型に変えたマウスを作成し、急性腎障害を起こした検証を行なった場合に、腎臓の機能回復が進まず多くが死んでしまったが、このネコ型AIMのマウスに“マウスのAIM”を注射することで腎機能が速やかに改善したという。これによって致死率100%だったものが20%に低下した。
この研究結果により、ネコの腎不全の原因解明が大きく進み、AIMによって急性腎障害から回復させる可能性が示された。同研究チームはネコの健康寿命を大きく延長できる可能性があるとしている。