イベントレポート

IBM、世界初の単体で動作する汎用量子コンピュータ「Q System One」

IBM Q System One

 1月8日(米国時間)、米ラスベガスにて「Consumer Electronics Show (CES 2019)」が開幕し、基調講演に米IBM社長兼CEOのGinni Rometty氏が登壇。

 同講演でIBMは、科学/ビジネス向けの単体汎用量子コンピュータシステム「IBM Q System One」を発表した。

 Q System Oneは、「研究所の外で、単体で動作する初の汎用量子コンピュータシステム」を謳っており、同社の最新の量子ビットプロセッサが搭載される。

 IBMでは、システムを複数のコンポーネントを組み合わせることで実現したとしており、再現性を持った予測可能な量子ビットを得られる、自動較正機能を備えた量子ハードウェア、量子ビットの安定した環境を作るため連続的な極低温環境を作りだす極低温工学、量子ビットを精密に制御するためのコンパクトな高精度エレクトロニクス、システム状態を制御し、ダウンタイムなしにシステムアップグレードを可能にする量子ファームウェア、安全なクラウドアクセスと、量子アルゴリズムのハイブリッドな実行環境を提供する従来のトランジスタコンピュータという5つのカスタムコンポーネントで構成されている。

量子プロセッサ
基調講演の様子

 システムの設計には、美術館の美術品陳列用ケースの設計を手がける、英国の工業インテリアデザインスタジオMap Project OfficeとUniversal Design Studioが協力し、アルミニウムとスチールのフレームを、厚さ約13mmのガラスで囲んでおり、システム全体のサイズは全辺約2.7mの立方体となっている。

 なお、筐体設計はシステムの極冷ユニットと制御用電子機器などが分離されているなど、メンテナンス性も重視されているという。

CES会場に展示されていたレプリカ

 同社では、2019年後半を目標に、米ニューヨークに「IBM Q Quantum Computation Center」を開設し、ヨークタウンの「Thomas J. Watson Research Center」のシステムを含めた、同社の商用量子コンピューティングプログラムを拡張する予定で、拡張後のシステムにはQネットワークメンバーや大手企業、学術機関などがアクセス可能になるとしている。