イベントレポート
NVIDIA、レイトレをメインストリーム市場にもたらす「GeForce RTX 2060」
~レイトレーシング性能は2080 Tiのちょうど半分で価格は半分以下
2019年1月7日 18:36
NVIDIAは月8日(米国時間)よりアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス市で開幕するCESに先立って記者会見を行ない、レイトレーシング処理を実現するGPU「GeForce RTX 20シリーズ」の最廉価版製品として「GeForce RTX 2060」を発表した。
NVIDIAの発表によれば、Turingアーキテクチャを採用したGeForce RTX 2060は、CUDAコアが1,920基、RTX-OPSが37T、レイトレーシング時の演算性能が5Giga Rays/sと、ハイエンドモデルになるGeForce RTX 2080 Tiのちょうど半分程度の規模になっている。
リアルタイムレイトレーシングを普及価格帯にもたらすGeForce RTX 2060
フアンCEOは、記者会見の前半1時間を、レイトレーシング技術の振り返りにあて、後半1時間は新製品の紹介を行なった。記者会見の中盤頃に「ここに新しいGPUを発表する、その名前はGeForce RTX 2060だ。52TFLOPSのTensor演算性能、5Giga Ray/s、6GBのフレームバッファを持ち、GDDR6を採用している」と述べ、その実際のカードを公開した。
GeForce RTX 2060、なかでもGeForce RTX 2060 Founders Editionのスペックは以下のようになっている。
GeForce RTX 2080 Ti Founders Edition | GeForce RTX 2080 Ti | GeForce RTX 2080 Founders Edition | GeForce RTX 2080 | GeForce RTX 2070 Founders Edition | GeForce RTX 2070 | GeForce RTX 2060 Founders Edition | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CUDAコア | 4352 | 4352 | 2944 | 2944 | 2304 | 2304 | 1920 |
RTX-OPS | 78T | 76T | 60T | 60T | 45T | 42T | 37T |
Giga Rays/秒 | 10 | 10 | 8 | 8 | 6 | 6 | 5 |
ブーストクロック(MHz) | 1635(OC) | 1545 | 1800(OC) | 1710 | 1710(OC) | 1620 | 1680 |
ベースクロック(MHz) | 1350 | 1350 | 1515 | 1515 | 1410 | 1410 | 1365 |
メモリスピード | 14Gbps | 14Gbps | 14Gbps | 14Gbps | 14Gbps | 14Gbps | 14Gbps |
標準メモリ構成 | 11GB GDDR6 | 11GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 8GB GDDR6 | 6GB GDDR6 |
メモリバス幅 | 352bit | 352bit | 256bit | 256bit | 256bit | 256bit | 192bit |
メモリ帯域幅 | 616GB/秒 | 616GB/秒 | 448GB/秒 | 448GB/秒 | 4488GB/秒 | 4488GB/秒 | 336GB/秒 |
ディスプレイ出力数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
NVLink | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | ー | ー | ー |
カードサイズ(幅×奥行き) | 115.7×266.74mm | 115.7×266.74mm | 115.7×266.74mm | 115.7×266.74mm | 112.6×228.6mm | 112.6×228.6mm | 112.6×228.6mm |
幅 | 2スロット | 2スロット | 2スロット | 2スロット | 2スロット | 2スロット | 2スロット |
最大GPU温度 | 89℃ | 89℃ | 88℃ | 88℃ | 89℃ | 89℃ | 88℃ |
GCP(Graphics Card Power) | 260W | 260W | 225W | 215W | 185W | 175W | 160W |
奨励電力 | 650W | 650W | 650W | 650W | 550W | 550W | 500W |
補助電源ピン | 8ピン+8ピン | 8ピン+8ピン | 8ピン+6ピン | 8ピン+6ピン | 8ピン | 8ピン | 8ピン |
GeForce RTX 2060は1,920基のCUDAコアを備えており、RTX-OPSは37T、5Giga Rays/秒の性能を実現している。このレイトレーシング時の演算性能は、最上位モデルのGeForce RTX 2080 Tiの半分となっている。メモリは6GBのGDDR6になっており、メモリバス幅は192bitで336GB/sのメモリ帯域幅を実現している。
カードのサイズはほかのGeForce RTX 20シリーズと同じく2スロットを消費するタイプになっており、GCP(Graphics Card Power)は160Wになっており、補助電源ピンは8ピンが1つとなっている。
フアン氏は「GeForce RTX 2060で、RTX(NVIDIAのリアルタイムレイトレーシングを実現するAPI)を有効にしても、性能が低下することなくゲームをプレイできる」とアピールし、RTXに対応しているBattlefield Vを利用してデモを行なった。
また、フアン氏はGeForce RTX 2060が、NVIDIAの前世代でいうとGeForce GTX 1070を上回ると述べ、次世代のハイエンドゲームでも十分にプレイできる性能があるとアピールした。
発表された349ドルはGeForce RTX 2060 Founders Editionの価格
そして、フアン氏はその価格に言及し、「GeForce RTX 2060は349ドル(税別、1ドル=110円換算で38,390円)で1月15日から販売する」と述べると、会場からは大きな拍手が起きた。なお、この349ドルという価格は、GeForce RTX 2060 Founders Editionの価格で、米国ではNVIDIAのWebサイトなどを通じて1月15日以降に販売される計画だ。
フアン氏によればGeForce RTX 2060はそうしたNVIDIA自身の流通経路やNVIDIAのAICパートナー(ボードメーカー)だけでなく、Acer、ASUS、DellやLenovoといったPC OEMメーカーなどからも販売される予定となっている。