イベントレポート
NVIDIA、Voltaアーキテクチャのプロ向けGPU「Quadro GV100」
~2GPU構成でのメモリ64GB化やRTXにも対応
2018年3月28日 01:35
NVIDIAは、AI/ディープラーニング(深層学習)関連のテクノロジイベント「GTC 2018」を、米国カリフォルニア州サンノゼ市にあるサンノゼコンベンションセンターにおいて3月26日~29日の4日間にわたり開催している。
2日目の3月27日には同社創始者でCEOのジェンスン・フアン氏による基調講演が行なわれ、プロフェッショナル向けGPUであるQuadroの最新製品「Quadro GV100」が発表された。
これまでのハイエンドモデルは、PascalアーキテクチャのGP100をベースにしたQuadro GP100だったが、Quadro GV100では後継アーキテクチャ「Volta」を採用、32GB HBM2メモリを搭載したGV100ベースの製品となる。価格は8,999ドル。
GPU 2基で64GBを利用可能
Quadroシリーズは、3D CADなどのプロフェッショナルユースに向けて販売しているGPU。
Quadroの従来のハイエンドな製品は、PascalベースのQuadro GP100で、3,584CUDAコア、16GB HBM2でFP16(半精度)の処理能力が20.7TFLOPS、FP32(単精度)の処理能力が10.3TFLOPSとなっていた。
それに対してQuadro GV100は、昨年(2017年)のGTCで発表されたVoltaアーキテクチャのGV100がベースとなっており、かつ今回のGTCでTesla V100 32GB GPUとして発表されたGV100の32GB版がベースになり、フレームバッファはQuadro GP100の16GBから32GBへと強化された。
また、Quadro GP100と同じようにNVLinkをサポート。最大で2基のGPUをペアで構成し、1基のGPUとして扱う仕組みに対応しており、そのさいは合計64GBのフレームバッファを共通のメモリスペースとして活用できる。
処理能力に関してはFP16(半精度)の処理能力が29.6TFLOPS、FP32(単精度)の性能が14.8TFLOPSとなる。また、1枚時で32GB、2枚構成時で64GBと大容量のメモリを利用できるメリットもある。
【お詫びと訂正】初出時に精度の記述および新製品の処理能力の値が誤っておりました。お詫びして訂正させていただきます。
Quadro GP100 | Quadro GV100 | |
---|---|---|
CUDAコア | 3,584 | 5,120 |
メモリ | 16GB(HBM2) | 32GB(HBM2) |
FP16 | 20.7TFLOPS | 29.6TFLOPS |
FP32 | 10.3TFLOPS | 14.8TFLOPS |
RTXのサポートで設計のリアルタイムレイトレーシングを実現
Quadro GV100では、GDCで発表したリアルタイムレイトレーシング機能である「NVIDIA RTX技術」もサポートされる。
レイトレーシングとは、現実的なライティング、反射、陰などを再現する手法で、通常の3Dレンダリングによる描画を超越する写実感を表現することができる。レイトレーシングは負荷が高いため、描画にはレイテンシを考慮する必要があるが、リアルタイムレイトレーシングでは、写実的な描写を実時間で表示する。
コンシューマ向けでは3Dゲームなどで、プロユースの場合には、たとえば自動車メーカーといった製造業で、設計時にRTXを利用しながら実車と同じ見た目の表示品質でCAE(Computer Aided Engineering)を行なったり、現実と同じような自然環境(天候など)を再現して表示させるといった使い方が可能になる。
Quadro GV100の販売は本日より、NVIDIAのダイレクト販売サイトで開始される。4月からはDell EMC、HP、Lenovo、富士通などのワークステーションメーカーなどから販売されるほか、米国ではPNY、日本ではELSAや菱洋などのAICパートナーおよび販売代理店経由でも提供される予定だ。