イベントレポート
デスクトップ向けVega GPU統合型Ryzenは99ドルで登場
~12nmの第2世代Ryzenは4月に投入
2018年1月8日 14:00
米AMDはCESに先立って記者会見を開催し、2018年の製品戦略などに関して説明を行なった。今回AMDが行った記者会見は、デスクトップPC、モバイルPC、GPU、マシンラーニング向けソリューションなど多岐にわたっており、それぞれの記事で紹介しているので、詳しくは別記事もご参照頂きたい。
デスクトップPC関連に関しては、Raven Ridgeの開発コードネームで知られるGPU統合型Ryzenとなる「Ryzen Desktop Processor with Radeon Vega Graphics」を2月12日に正式発表予定だと明らかにした。Ryzen 7 2400G、Ryzen 5 2200Gという2つの製品が用意され、それぞれ169ドル(1ドル=113円換算で、19,097円)、99ドル(同、11,187円)という安価な価格に設定されている。
また、AMDは「Zen+」の開発コードネームで開発してきた12nmプロセスルールで製造される微細化版Ryzenを、「Ryzen 2nd Generation」としてデスクトップPC向けに4月に投入予定で、現行のAM4マザーボードも継続して利用できると明らかにした。
169ドルのRyzen 5 2400Gと99ドルのRyzen 3 2200G
AMDのRyzenは、AMDが開発したZen(ゼン)アーキテクチャに基づいたCPU。従来のAMDのCPUがIPC(Instruction Per Clock-cycle)でIntelに遅れをとっていたのに対して、Zenでは大幅にIPCが向上。シングルコア同士の比較でもIntelのCoreプロセッサに匹敵するよう性能を発揮できるようになっており、コア数でIntelを上回る8コアなどの製品をリリースすることでコストパフォーマンスに優れた製品と評価を受けている。
AMDはデスクトップPC向けのRyzen 7、Ryzen 5、Ryzen 3などの製品や、16コアというRyzen Threadripperなどのハイエンド向けの製品など矢継ぎ早にリリースし、Intelからシェアを奪いつつある状況だ。
AMD CEOのリサ・スー氏は「2017年はわれわれに取ってベストな年と言ってよい年だった。2018年はそれを受けてよりよい年にしていきたい」と述べる。
そのAMDが今年デスクトップ向けに投入する製品の第1弾が、Raven Ridge(レイブンリッジ)の開発コードネームで知られるGPU統合型Ryzenとなる「Ryzen Desktop Processor with Radeon Vega Graphics」だ。
AMD上席副社長兼コンピューティング/グラフィックスビジネス事業部事業本部長のジム・アンダーソン氏は「われわれがRyzenを出す前、200~249ドル台の製品では競合も含めて性能向上はほとんどなかった。しかし、われわれがRyzenをリリースした後は急速に競争が始まっている。AMDはIntelに対して大きく差をつけており、GPU統合版Ryzenはそれを加速する」と述べた。
Ryzen 5 2400G | Ryzen 3 2200G | |
---|---|---|
CPUコア数/スレッド | 4/8 | 4/4 |
ベース周波数/Boost時最大 | 3.5GHz/3.8GHz | 3.5GHz/3.7GHz |
GPUアーキテクチャ | Vega | Vega |
Compute Unit数 | 11 | 8 |
価格(市場想定価格) | 169ドル | 99ドル |
新製品の最大の特徴はその市場想定価格で、かなり意欲的な価格設定になっている。また、そのほかのRyzenの価格も見直しており、以下のとおり新しい価格設定がすでに適用されている。
Ryzen Threadripper 1900Xは549ドルから449ドルに、Ryzen 7 1800Xは499ドルから349ドルへと、100ドル以上引き下げられる。
Ryzen Desktop Processor with Radeon Vega Graphicsの2製品は、従来のAM4マザーボードで使うことが可能(もちろんマザーボード側にディスプレイ出力が用意されていることが前提になる)。ただし、新しいCPUになるため、BIOSアップデートなどは必要になる。
AMDはRyzen 5 2400Gおよび、Ryzen 5 2200Gのベンチマークデータについても公開しており、AMDが競合と考えているIntel Core i5-8400(6コア/6スレッド、2.8GHzベース、GT2)との比較で、3Dゲームでは大きく上回り、PCMarkのような総合的なスコアでも上回っていると説明した。
また、SSDとHDDが混在する環境で、それらのドライブを1つのドライブしてあつかい、高速なストレージをキャッシュのように使えるソフトウェア「Enmotus FuzeDrive」をRyzenデスクトップ製品向けに提供する。近くEnmotusのサイトからダウンロードできるようになる。
12nmに微細化されたZen+はRyzen 2nd Generationとして4月に投入
またAMDは、Zen+の開発コードネームで開発してきた12nmプロセスルールで製造されるRyzenを4月に投入する計画であることを明らかにした。Ryzen 2nd Generationと呼ばれるZen+は、12nmプロセスルールに微細化されることでより高いクロック周波数で動き、Precision Boost 2(AMD版のTurbo Boostの第2世代)に対応している。
リサ・スー氏は「半導体業界の性能向上率は年率7~8%だが、われわれは昨年のZenでそれを実現した。これからは12nmのZen+、7nmのZen2、7nm+のZen3でさらに加速していく」と述べ、意欲的に12nm、7nmさらには7nm+のプロセスルールで製造される製品を矢継ぎ早に投入していくことで、半導体業界の標準を上回る性能向上を実現していきたいと述べた。
AMDのアンダーソン氏はこのRyzen 2nd Generationも既存のAM4マザーボードでも動く(ただしBIOSのアップデートなどは必要になる)と説明し、さらにRyzen 2nd Generation用として新しいチップセットとなるX470を同時に投入すると明らかにした。同じくSocket AM4用となるX470ではチップセットの消費電力が下がっているなどの特徴がある。