イベントレポート
AMD、16コアCPU「Ryzen Threadripper」を今夏リリース
~今年後半にはZEN+VegaのSoC「Ryzen Mobile」も投入
2017年6月1日 00:00
AMDは、COMPUTEX TAIPEI 2017で記者会見を行ない、16コアCPUの「Ryzen Threadripper」と、「Ryzen Mobile」と称する次世代SoCの説明とデモンストレーションを行なった。
2ダイで16コア/32スレッドを実現するRyzen Threadripper、最大で64PCIe、8DIMMで128GBメモリ
AMD 上席副社長 兼 コンピューティング&グラフィックス 事業本部長 ジム・アンダーソン氏は、3月に発表したRyzenが性能面などで高い評価を受けていることを説明したあと、先日の投資家向け説明会で概要を明かした「Ryzen Threadripper」を今夏にリリースすると述べた。
アンダーソン氏によれば「Ryzen Threadripperは16コア/32スレッドに対応しており、64レーンのPCI Express 3.0、クアッドチャネルメモリ、X399チップセットに対応する」とのこと。これは、Ryzen 7の8コア/16スレッド、PCI Express 3.0 24レーンという構成に比べて強力なスペックになっている。
記者会見後、筆者の取材に応じたAMD デスクトップマーケティング部長 ジェームス・プライオル氏によれば、CPUソケットはLGA4000であり、EPYCに使われているCPUソケットと物理的には同じで、電気的には若干違うソケットとなっているという(『【速報】AMDのデータセンター向け32コアCPU「EPYC」は6月20日より出荷』参照)。
このため、Ryzen 7/5などに利用されているSocket AM4とは電気的にも物理的に互換性がない。プライオル氏によると、Ryzen Threadripperは、2つのCPUダイをInfinity Fabricと呼ばれるインターコネクトを利用して接続する形状になっている。サーバー向けのEPYCでは4つのCPUダイがInfinity Fabricで接続されるので、仕組みとしてはRyzen Threadripperはその半分の構成だといえる。
プライオル氏は、メモリはクアッドチャネルだが、Unbuffered(バッファーなし)のDIMM(U-DIMM)という一般的なPCに利用されているDDR4メモリモジュールを使用するため、1チャネルあたり2つのDIMM、つまり8つのDIMMをシステムでサポートする。現在市場に出回っている最大サイズのDIMMである16GBのDIMMを8本使うと、128GBのメモリを実装できる(32GBのDIMMが登場すれば倍になる)。
Ryzen ThreadripperのPCI Express 3.0インターフェイスは、1つのダイあたり32レーンを使用でき、合計で64レーンを利用できる。ただし、4レーン分はX399チップセットの接続に使うため、実際に利用できるのは60レーンとなる。プライオル氏は「レーン構成はマザーボードベンダーが選ぶことができる。x16×3+x8+x1×4など任意の構成が可能だ」と説明しており、レーン構成にとくに制限はないという。
ZEN+Vegaで構成されるRyzen Mobile
AMDは今年の後半にリリースを予定している「Ryzen Mobile」についても情報を明かした。アンダーソン氏によれば、Ryzen MobileはZEN CPU+Vega GPUという構成のSoCになり、「AMDの第7世代のAPUと比較して、CPU性能で50%、GPU性能で40%向上し、電力は半分になっている」とし、Kaby Lakeよりも高性能/低消費電力であることをアピールしている。
【お詫びと訂正】初出時にRyzen Mobileの性能に関して「Intelの第7世代Coreと比較して」としておりましたが、「AMDの第7世代APUと比較して」の誤りです。お詫びして訂正させていただきます。
また、同社で試作したRyzen Mobile搭載の2in1デバイスを公開した。この2in1には4コア/8スレッドのZEN CPUと、Vega GPUというスペックのRyzen Mobileが搭載されており、360度回転ヒンジを装備する。さらに、筐体は10mm以下の薄さを実現しており、実際にバッテリ駆動状態で動画を表示してみせた。
アンダーソン氏によれば、Ryzen Mobileは一般消費者向けが今年の後半に、そして法人向けが来年(2018年)の前半に提供される予定だという。