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デル、世界最小13.3型ノート「XPS 13」をSkylakeに刷新

~デザイナーを招いた製品発表会を開催。MacBook Airより優れるとアピール

New XPS 13

 デル株式会社は、世界最小のフットプリントを実現した13.3型ノートPCのSkylake搭載モデル「New XPS 13」を発売開始した。

 XPS 13は、ベゼル幅が5.2mmの狭額縁ディスプレイ「Infinity Edgeディスプレイ」を採用することで、11.6型相当のフットプリントに13.3型液晶を載せた製品。初代は1月に発表され、Broadwellを搭載していたが、新モデルはSkylakeに刷新。さらに新色としてゴールドを追加した。

シルバーモデルの天板
ゴールドモデルの天板。控えめなゴールドである

 BTOではPCI Express接続のSSDが用意される。また、Thunderbolt 3/USB 3.1 Type-Cを標準装備した。標準では1,920×1,080ドット(フルHD)表示対応だが、3,200×1,800ドット(QHD)表示対応IGZOディスプレイも選択できる。標準構成の違いで4モデルが用意される。

 「スタンダード」は、CPUにCore i5-6200U(2.3GHz、ビデオ機能内蔵)、メモリ4GB、128GB SSD、フルHD表示対応13.3型ワイド非光沢液晶ディスプレイ、OSにWindows 10 Homeを搭載し、送料込み/税別価格は144,980円。本体色はシルバーまたはゴールド。

 「プレミアム」は、スタンダードからメモリを8GB、SSDを256GBのPCI Express SSDに変更し、送料込み/税別価格は159,980円。「プラチナ」は、プレミアムからCPUをCore i7-6500U(2.5GHz)に強化し、送料込み/税別価格は169,980円。この2モデルの本体色はシルバーのみとなる。

 「プラチナ・QHD+タッチパネル」は、プラチナから液晶をQHD表示/タッチ対応光沢ディスプレイに変更し、送料込み/税別価格は184,980円。本体色はシルバーまたはゴールド。

 インターフェイスは共通で、SDカードスロット、Thunderbolt 3/USB 3.1 Type-C、USB 3.0×2、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1、Webカメラ、音声入出力などを備える。

 バッテリ駆動時間は最長18時間。本体サイズは304×200×9~15mm(幅×奥行き×高さ)、重量はタッチパネル非搭載モデルが約1.2kg、搭載モデルが約1.29kg。

 なお、店頭モデルも11月中旬に展開する。ラインナップはスタンダードおよびプラチナ・QHD+タッチパネルに相当する2モデルで、Office Home & Business Premiumをプリインストール。価格はオープンプライスとなっている。

“A社のノート”よりも優れるとアピール

 製品の発表に合わせて、都内で記者説明会を開催した。説明会の冒頭では、同社 マーケティング統括本部 ビジネス&コンシューマーマーケティング本部 ディレクターの田尻祥一氏が挨拶した。

 デルの「XPS」というシリーズ名は、弊誌の読者にとって既に馴染みのあるブランドかもしれないが、その名前は“Xtreme Performance System”に由来する。つまりデルにとってXPSシリーズは性能を重視した、コンシューマ向けのプレミアムブランドとなる。

 2015年1月に狭額縁を採用したXPS 13を発売してから、XPSシリーズは対前年比で販売台数が5倍となり、世界でさまざまな賞を受賞したり、ユーザーからもポジティブな声が多く、新筐体XPSのシリーズとしては非常に好調な滑り出しとなった。このため年末商戦に向けて、XPSの家電量販店での販売体制を強化し、2015年12月末までに取り扱い店舗を380店に展開したいとした。

田尻祥一氏
XPSシリーズは昨年比で5倍の販売台数
数々のデザイン賞を受賞
ユーザーからも高い評価を得た
カカクコムでも4.78の高評価
家電量販店での展示および販売を年末までに380店舗に拡大

 同社 クライアント製品&ソリューションマーケティング本部 コンシューマー製品部 マネージャーの添田貴嗣氏は、製品の詳細や特徴について解説。第6世代CoreプロセッサやThunderbolt 3/USB Type-C、PCI Express接続のSSDの搭載により、旧モデルよりさらに性能が向上。また、新たにゴールド色の追加によりポートフォリオの拡張をアピールした。

 加えて、“A社”のノートPC(ずばり13インチMacBook Air)を比較対象として挙げ、狭額縁の採用により17%小さく、18時間という長いバッテリ駆動時間を実現しているとした。

 一方で同日に15型の「New XPS 15」(別記事で紹介)を投入するが、XPS 13と同様狭額縁で世界最小を実現しながら、クアッドコアCPUやDDR4メモリ、4KのIGZOディスプレイ、GeForce GTX 960MディスクリートGPUの搭載を可能とし、高性能を実現したとして、「より高性能を求めるユーザーにお勧めしたい」と語った。

New XPS 13を見せる添田貴嗣氏
世界最小を謳うXPS 13シリーズ
第6世代Coreプロセッサを搭載
Thunderbolt 3/USB 3.1 Type-Cを搭載し、最大40Gbps転送に対応
PCI Express接続のSSDをオプションで用意
ゴールドモデルもラインナップした
A社のノートPC(つまり13インチMacBook Air)との比較
狭額縁ディスプレイにより17%小型化を実現
高性能を求めるユーザー向けに、15.6型のNew XPS 15を用意
本日より販売開始されている

デル史上最高デザインの製品

マック・トシユキ・タナカ氏

 発表会では、現在シンガポールのグローバル・デル・エクスペリエンス・デザイン・グループでディレクターを務めている、マック・トシユキ・タナカ氏が招かれ、XPS 13のデザインコンセプトや特徴について説明した。

 一般的にデルと言えばデザインや堅牢性云々というより、価格性能比に優れたブランドであるという認識が強い。デル自身も認めていて、これまで開かれた発表会の多くは、販売計画の拡張や、企業での大量導入を前提としたものが多い。そういった意味では、発表会の場でデザインについて語るのは極めて珍しい。

 今回招かれたタナカ氏の簡単な経歴を紹介しよう。タナカ氏は日本生まれの日本育ちで、アメリカ・ニューヨーク州のシラキュース大学において工業デザインの学士号を取得。その後ソニーデザインセンター、丹青社、野村でインターンの経験を積み、東芝に入社した経験を持つ。東芝在籍時代は、ノートPC事業部で「DynaBook PORTEGE」シリーズのデザインを手がけていた。2003年に米国オースティンにあるDell本社に入社した。そんなわけで日本よりも海外の方が在留期間が多く、“日本語は聞いて分かるが、話すなら英語しかない”そうだ。

 さて、XPS 13のデザイン設計についてだが、特に素材についてこだわり、実に4年以上も前から、“世界最小で、最も美しいノートPC”を実現できる素材を模索していたという。「XPSは(プラスチックに金属風塗装を施した)フェイクな素材を使わない。そして他社は薄さだけ注力しているが、我々はフットプリントの削減にも注力した」という。

 天板および底面は、CNCと呼ばれるコンピュータ制御でアルミの削り出しを行ない精度を高めた。その後サンドブラストおよび陽極酸化処理で表面加工することで、精度、強度、美しさなどさまざまなバランスをとった。さらに実際目に触れることのない、内部までもが表面加工されており、こだわり抜いている。

 本体サイズの削減に大きく貢献しているベゼル幅5.2mmというディスプレイはもちろん特注品だ。部品の開発に関しては、台湾、中国、韓国などさまざまなメーカーを渡り歩いて交渉したが、最後に日本のとあるメーカーが「ウチならできます」と返事があり、共同開発に至ったという。

 パームレスト面にはカーボン素材を採用。もちろん、カーボンファイバーを織り込んだ本物のカーボンだ。同等の素材はボーイングの787ドリームライナーの翼でも採用されており(もちろん787は航空機に求められる耐久性基準を満たす、さらに強靭性が高いものだが)、「ノートPCとしてはオーバースペックなほどの強靱性を実現している」という。

 XPSではこのカーボンの裏面にさらにマグネシウム合金を貼り合わせており、筐体を持った時にたわまないようにした。「他社では軽量性重視のため、強靭性と柔軟性を持ち合わせた素材1つで構成されていることも多いのだが、Dellは手にした時の安心感、製品として絶対的な堅牢性、そしてデザイン性……つまり“本物のモノづくり”を追求しているため、重量を犠牲にした」という。

XPSのデザイン
世界で最も小さく、美しいノートPCを目指した。そのため素材の開発に4年を費やしたという
他社は高さ(薄さ)のみを注力しているが、XPS 13ではフットプリントも削減した
コンピュータ制御のアルミ削り出し、狭額縁液晶、カーボンファイバー素材の採用により小型軽量化を実現
世界初の狭額縁液晶ディスプレイの採用。タッチパネル付きモデルはGorilla Glassを採用している
カーボンファイバー素材を織り込んでできたパームレスト面
削り出し前のXPS 13の天板
30分近く掛けてCNCで削り出し、ご覧のような天板が仕上がる
まだ、表面処理されていないので、かなり粗い仕上がり
こちらはサンドブラストで表面加工を行ない、陽極酸化処理(つまりアルマイト加工)を施した天板。非常に美しく仕上がっている
底面もアルミ削り出しとなっている
実際には見えない底面の内部までもがサンドブラスト/陽極酸化処理されている
カーボンファイバー素材
パームレスト面が完成したところ。
パームレストの裏はマグネシウム合金と貼り合わせて強度を高めた

 とは言え、13.3型で1.2kgはノートとしてかなり軽量な部類だ。実際手にした感想だが、片手で角の方を持ってもたわむことはなく、見た目より軽い、重いといったことはなく、スペック通りといった印象。また、ディスプレイをつまんで持ち上げても、液晶が圧力で変色するといったことはなく、安心感のある作りであった。

 発表会後にタナカ氏と雑談する機会を得たのだが、タナカ氏は「XPS 13はDell史上最高のデザインを実現したノートだ」と、自信のほどを見せた。確かに、XPS 13は価格性能比を重視したデザインのDellとは思えない完成度である。本体を閉じると“A社のノートに似ている”と言われるのも仕方ないが、ディスプレイを開けばそこには別の世界が待ち受けている。

 せっかくの機会なので、16:9ではなく16:10や3:2のアスペクト比の液晶を搭載したモデルもリクエストした。映像/動画コンテンツの閲覧は16:9が最適だが、コンテンツ制作やWebの閲覧にはどうしても縦解像度が足りなくなるからだ。タナカ氏は「現在、液晶ディスプレイメーカーの多くは16:9パネルの生産に最適化しており、そのほかのアスペクト比では無駄が生じる」としながらも、「しかし要望が多ければ、もちろん対応しなければならない。皆さん(つまり筆者達)が記事を通して声を挙げていただかないと、なかなか採用に繋がらない。採用するとしたら、3年後になりますが」と答えてくれたので、ここに記しておくことにする。

会場に展示されていたXPS 13。このように角を持っても筐体がたわむことは一切ない
片手で液晶側を持っても、液晶がたわまず、変色することはない
側面はくさび形となっており、手前にかけて薄く見えるようになっている
アルミ削り出しだからこそできるスムーズなエッジ
天板やパームレストなどの素材
この角度が開く最大となる
日本語配列のキーボード。特にいびつな部分はない
キーボードのLEDバックライト
目立たないが、液晶の左下にWebカメラを装備している
カーボンファイバーを織り込んだパームレストは質感が高い
12型のMacBookと並べたところ。同じ“ゴールド”だが、XPS 13の方がより黄寄り(MacBookの方が赤寄り)
さすがに新設計筐体のMacBookと比較するとフットプリントは大きい
エクスプレスタグはカバーに隠れている