株式会社マウスコンピューターは、小学6年生を対象とした「2012年親子パソコン組み立て教室」を28日に長野県・飯山工場で実施した。
過去数年、同社が夏休みに併せて開催しているPC組み立て教室。午前の部9組、午後の部12組の計21組の親子が参加し、3時間で飯山工場のライン見学や、PCの組み立てを体験した。
通常、こういった組み立て教室では同じ仕様のPCが用意され、参加者全員が揃って1工程ずつ進めていく。しかし、同社は今回、組み立てPCにもBTOを適用。参加者達は、事前に自分が欲しいPCの仕様を決定し、全員が違うPCを組み立てることとなった。
同社代表取締役社長の小松永門氏は、こういった思い切った施策を取った理由について「PCは購入前の仕様決めが一番ワクワクする。組み立て教室参加者にも、その楽しさを味わってもらいたかった」と説明する。
午後の部は急遽時間割を変更して対応した |
もちろん、その裏ではBTOならではの苦労も発生した。参加者には、組み立て説明書が渡されるが、これは各自が組み立てるPCのベースモデル毎に変わってくる。これまでは、組み立て教室専用の説明書を用意していたが、今回は実際に工場で工員が使用している説明書を、若干の文言修正を除いて、ほぼそのまま流用することで対応した。
組み立てるものが異なると言うことは、それにかかる時間も異なってくる。今回、午後の部を取材したのだが、一番早かった人は30分で組み立てを終了したが、一番遅かった人は丸1時間かかった。それによって、進行に若干の支障も出たため、午後の部は急遽、スケジュールを変更し、1時限目の工場見学を3時限目に回し、見学中にOSインストールや品質チェックを行なうことで、組み立て時間の差をうまく吸収した。
ちなみに、参加費用は組み立て/購入するPCの代金のみで、通常価格から3割引いたものが費用となっている。午前の組は9組全員がノートPC、午後の組は10組がノートPC、2組がデスクトップPCと、ノートPC率が圧倒的に高かった。
●倉庫でのピッキングも自ら実行それでは午後の部の模様をご紹介しよう。
午後の部は13時に開始。参加者は女の子が7人、男の子が5人だった。まず最初に、小松永門氏が、マウスコンピューターが、日本のPCメーカーであり、ここ飯山が組み立て工場、ほかに、沖縄にコールセンター、春日部にサポート工場があることなどを紹介。自ら組み立てることで、PCを好きになってもらい、勉強や趣味に活用して欲しいと挨拶した。また、来賓として午前の部は飯山市副市長の月岡壽男氏、午後の部は飯山市役所経済部長の稲生孝氏が挨拶した。
続いて、教室の校長先生役を務める橋立峰彦氏による諸注意の後、参加者1組につき1人ずつサポートスタッフが割り当てられた。このスタッフは同工場で組み立てを行なっている作業員達だ。
組み立て教室の開始を待つ参加者 | マウスコンピューター小松永門社長 | 飯山市役所経済部長の稲生孝氏 |
ビデオでの会社説明もあった | 校長役の橋立峰彦氏 | 各親子に1人サポートスタッフがついた |
13時25分から、場所を2階の教室から、1階の倉庫へと移し、組み立てるPCのパーツピッキングを行なった。通常の組み立て教室では、パーツは事前に机に用意されているが、今回は工場で実際に行なわれている作業も体験してもらおうと、サポートスタッフに引率されながら、児童達はパーツの明細の書かれた構成表を頼りに、倉庫に積まれている在庫の山から適切なパーツを選び出し、カートに詰めていった。
ピッキングが終わると、各パーツに貼られたバーコードシールを1点1点ハンディスキャナで読み込んだ。これも実際の製造時に行なわれる作業で、マウスコンピューターでは全てのPCに搭載するパーツをシリアル管理しており、サポートの時などに活用している。
組み立てるPCの全パーツが記載されている構成表 | 実際の倉庫で、自分の組み立てるパーツをこのカートに集めて回る | サポートスタッフが場所を案内 |
探すパーツを確認し、 | パーツのIDをチェック | あっていればカートに入れる |
ピッキングしたパーツは教室に持ち帰ると、CPU、メモリ、ストレージといった主要パーツの簡単な機能説明を受けた後、13時50分頃から組み立てがスタートした。以下に、デスクトップPCを選択した親子の組み立ての様子を写真で紹介する。
組み立てが終わると、スタッフに手渡し、組み立てミスや不良がないかのチェックや、OSのインストールが行なわれ、その間参加者は、工場のラインを見学した。
組み立て作業の締めは、OSロゴや、製品シリアルナンバーなどのステッカー貼り。その後、マシンを梱包し、生徒には修了証が手渡された。組み立てたPCは、各自持ち帰るのだが、中には帰宅するのを待ちきれず、その場で電源を入れて、動作の様子をチェックしている親子もあった。
(2012年 7月 30日)
[Reported by 若杉 紀彦]