Phenom II X6のダイ |
日本AMD株式会社は、同社コンシューマ向けでは初となる6コアCPU「Phenom II X6」シリーズを発表した。発売は4月29日で、価格はオープンプライス。
1,000個ロット時の単価は、2.8GHz駆動の「1055T」が199ドル、3.2GHz駆動の「1090T Black Edition」が295ドル。国内における実売価格はそれぞれ22,980円前後、34,800円前後。1090T Black Editionは倍率ロックフリーの製品でオーバークロッカー向けとなる。
いずれもネイティブ設計の6コアCPU。Phenom II X4と比較して2コア増え、マルチコアに最適化されたアプリケーションをより高速に動作できる。コア数の増加に伴い、L2キャッシュ容量が512KB×2増えて合計3MBとなり、6MBのL3キャッシュとあわせて9MBのキャッシュを搭載する。
新機能として、負荷に応じて3コアを同時にオーバークロックする「Turbo CORE」機能を搭載。同機能はIntelのTurbo Boostのように、シングルやマルチスレッドに特化したアプリケーションが動作すると、自動的にアイドルの3コアを低消費電力モードに移行させ、TDPに収まる範囲内で稼働中の3コアのクロックを400MHz引き上げる。
ただし、1055Tが引き上げる段階は400MHzの1段階のみで、なおかつ3コアが必ず同時に引き上げられる。一方1090T Black Editionは、ユーティリティ「AMD OverDrive」を利用することで、Turbo COREが動作するコア数(最大5コアまで)と倍率をユーザーが選択できる。
Phenom II X6の概要 | |
Turbo COREの動作 | 1055Tは、Core i5-750と同価格で2つのコアをプラスできる |
このほか、Socket AM2+/AM3と互換性を保っており、従来のマザーボードでもBIOSが対応すれば搭載できる。このため、DDR2とDDR3メモリの両方で利用可能。
AMDは、「競合他社の6コアCPU 1個を買う価格で、AMDの6コアシステムが購入できる」と低価格な点をアピールし、ハイエンドユーザーだけでなくメインストリームユーザーに展開していく。
発売スケジュールは、「本来は5月半ばを予定していたが、ゴールデンウィーク中に自作ユーザーに楽しんでもらえるよう、日本からプッシュして前倒ししてもらった」という。出荷量についても「ゴールデンウィーク中は継続供給できる量を確保した」としている。
●フラグシップのチップセット「890FX」もPhenom IIのフラグシップ登場にあわせて、最上位のチップセットとして「890FX」も同時発表した。
従来の790FXから組み合わせとなるサウスブリッジをSB850に変更した、これによりSATA 6Gbpsや、14ポートのUBS 2.0に対応した(従来は12ポート)。また、PCI Expressのレーンも38レーンから42レーンに向上している。製造プロセスはノース/サウスともに65nmプロセス(TSMC製造)で、TDPは19.6W。
CrossFireXに対応する。さらに仮想化技術「IOMMU 1.2」を備える。サウスブリッジの接続インターフェイスは独自のx4 A-Link III。
このほか、890FXと890GXからそれぞれCrossFireXサポートを削除した「870」、「880G」も同時発表された。
890FXのブロックダイヤグラム |
ASUSTeKの890FX搭載の「M4A89TD PRO」 | GIGABYTEの「GA-890FXA-UD7」 |
MSIの「890FXA-GD70」 | BIOSTARの「TA890FXE」 |
(2010年 4月 27日)
[Reported by 劉 尭]