LG、2010年はLED/3D/超解像対応液晶を積極展開
~市場シェアは2012年に世界/日本で1位を目指す

現行製品の「W2453V」

2月18日 開催



 LG Electronics Japan株式会社は18日、液晶ディスプレイに関する2010年度の製品戦略説明会を開催。この中で同社は、直近の製品およびマーケティングに関する戦略を解説するとともに、2012年に世界および日本でシェア1位を目指すとの決意を示した。

●21.5型以上重視で付加価値を高めた製品展開でシェア1位を目指す

 まず、同社代表取締役のリ・ギュホン氏が登壇。リ氏によると、同社は2009年、全世界で2千万台の液晶ディスプレイ製品を出荷し、第4四半期にはDellを抜いてシェア2位を獲得。この成長は、スタイリッシュデザインとスマートテクノロジという付加価値の追求がユーザーに認められた結果だとした。そして、2012年には世界シェア1位を目指すとの抱負を語った。

 ただし、1位を取ることも重要だが、それよりも製品に付加価値を与えることで、顧客満足度を高め、ユーザーに感動してもらうことが大事であるとし、その実現のため、転換の早いディスプレイ市場で、スピーディな決断力を持って、ユーザー視点に立った製品開発を行なっていくと述べた。

 また、リ氏は、今回最先端のIT情報発信基地である秋葉原でこのような発表会を行なえることは光栄であり、品質に対して世界一厳しい基準を持つ日本のユーザーにLG製品を紹介できるのは重要な意味を持つと語った。

 会場に来ることはできなかったが、LG Electronics本社で液晶モニター事業部長を務めるブライアン・コン氏もビデオレターで「日本は重要な戦略的マーケットであり、今後プレミアム製品を世界に先行して投入していく」と述べるなど、日本を最重要市場の1つとして捉えていることを示した。

LG Electronics Japan代表取締役のリ・ギュホン氏液晶ディスプレイ上位5社の直近のシェア推移図。LGは第4四半期でDellを抜き、2位になっているLG Electronics液晶モニター事業部長のブライアン・コン氏

 続いて、マーケティング・マネージャーのパク・ユングン氏が、昨今の日本市場の動向および、同社の戦略について説明した。

 2009年第3四半期における、日本市場での同社のシェアは三菱、デル、アイ・オー・データ機器に次いで4位。直前期まで上位にいたナナオやエイサーを抜き、好調に推移している。

 コンシューマ市場に限定すると、出荷台数15万6千台で1位のエイサーに3千台差の15万3千台で2位につけている。この背景には、同社が「リーディングマーケット」と呼ぶ21.5型以上の製品の比重を上げ、付加価値を持たせたプレミアム製品に注力したことが寄与しているという。これにより、コンシューマ市場で出荷台数が伸びつつも出荷金額が減少する中、同社は台数だけでなく金額も2桁成長を見せており、パク氏は「質的な成長を果たせた」と語った。

LG Electronics Japanマーケティング・マネージャーのパク・ユングン氏日本国内のシェア推移図。同社は2009年第3四半期で4位に上り詰めたコンシューマ市場では、エイサーに僅差で2位

 また、パク氏は、2006年以降の日本市場における合計販売金額と平均販売価格に基づく各社の分布図を紹介した。この図では、販売金額が5千万ドル以上かつ平均単価が250ドル以上のゾーンが青く塗られ、ここに位置することは優良であることを示している。

 この図を見ると、2006年はデル、三菱、アイ・オー・データ機器、ナナオ、富士通、NECといったメーカーがブルーゾーンに入っていた。しかし、2007年にワイド化が進み、製品の投入サイクルが短期化したことで、デル、三菱、ナナオ以外のメーカーはここから脱落した。

 2008年に入り、法人市場でも価格競争が激化した結果、ナナオをを除いてほとんどのメーカーが脱落する中、21.5型のフルHDモデルを他社に先駆けて投入したことで、LGがここに入り込んだ。

 この情勢は2009年も変わらず、ナナオとLGの2社だけがこのゾーンに残り、他のメーカーは販売金額も平均単価も左肩下がりとなっている。

 こういった事情を踏まえ、同社は今後もリーディングマーケット製品に注力していくが、2010年は、LEDバックライト、「Super+ Resolution技術」と呼ばれる超解像技術、そして120Hzによる3D対応の3つについて積極的な展開を図る。特にLEDについては、下から上まで幅広い製品でカバーしていくという

 それ以外にも、全世界で2千万台の出荷数、パネル製造や、調達などの子会社を活用した垂直型経営、技術力、デザイン力、早い決断力と実行力などによって、他社に真似できない製品展開、および差別化を図っていくとした。

2006年から2009年の各社の販売金額と単価をプロットした図2010年は、LED、超解像、3Dに注力

●3D/スルーモード対応ゲーミング液晶などの実機が展示

 最後にブランド・マネージャーの宇佐美夕佳氏が、ブランドプラットフォームのコミュニケーション戦略と近々に発表予定(一部発表済みを含む)の製品概要を説明した。

 宇佐美氏はまず、2012年に出荷台数50万台でシェア1位を目指すとの目標を掲げた上で、店頭を活用した製品プロモーションを行なうことを明らかにした。液晶ディスプレイは、実物を見てから購入したいというユーザーが多いので、店頭での露出を高めるほか、イベントなども積極的に行ない、製品の付加価値を訴求していきたいとした。

 中でもLEDについては、スリムで、エコ、低消費電力、軽量化と多数のメリットを持つことから、この点を中心としたプロモーションを行なう。また、3Dについても今後高い普及が見込めることから、先陣を切ってマーケティングしていくという。

LG Electronics Japanブランド・マネージャーの宇佐美夕佳氏コミュニケーション戦略

 具体的な新製品としては、超解像技術を搭載した「E50VR」、3D対応の「W63D」、IPSパネル採用の「W2220P」などの概要を紹介した。

 E50VRは、「E2350V」などE50シリーズに、超解像技術を加えたもの。超解像の弱点とされる白浮きを解消しており、同社では超解像を越えるSuper+ Resolution技術という名称を与えている。会場に展示されていた22型の「E2250VR」は、解像度が1,920×1,080ドット、輝度が250cd/平方m、応答速度が5ms、コントラスト比が500万:1(DFCオフ時は1,000:1)、視野角が上下160度/左右170度。インターフェイスはHDMI、DVI-D(HDCP対応)、ミニD-Sub15ピン。5月発売予定。

 W63Dは、ゲーミング向け製品で、120Hz表示による3D対応のほか、表示遅延を解消するスルーモードを搭載する。会場に展示されていた23型の「W2363D」は、解像度が1,920×1,080ドット、輝度が300cd/平方m、応答速度が2ms、コントラスト比が7万:1(DFCオフ時は1,000:1)、視野角が上下160度/左右170度。インターフェイスはHDMI×2、DVI-D(HDCP対応)。4月発売予定。

 W2220Pは22型のIPSパネル採用機種。主な仕様は、解像度が1,680×1,050ドット、輝度が300cd/平方m、応答速度が12ms(中間色6ms)、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下/左右とも178度。インターフェイスはHDMI×2、DVI-D(HDCP対応)。IPSパネル搭載機としては、普及価格帯となる予定。

E2250VR超解像のデモE50Vシリーズは、スタンドを取り外して直置きできる
3D対応のW2363D。メガネはNVIDIAの3D Visionを使うIPSパネル採用のW2220PLED液晶の低消費電力のデモ。従来モデル(左)は44Wで、LEDモデル(右)は15W

(2010年 2月 18日)

[Reported by 若杉 紀彦]