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Arm、エッジAIに最適でArmv9最小のCPU「Cortex-A320」

Cortex-A320

 アーム(Arm)は27日、エッジAIに最適なArmv9ベースのCPU「Cortex-A320」を発表した。

 Armv9.2に準拠し、ポインタ認証、分岐ターゲット識別、メモリタギング拡張といった高度なセキュリティ機能を搭載しながら、パイプラインの簡略化などを行なうことで小規模化/低電力化を図り、ウェアラブルデバイスなどへの搭載を可能にしたCPU。Armv9アーキテクチャでは最小になるという。

 SVE2(Scalable Vector Extension Version two)に対応し、前世代であるCortex-A35と比較してマシンラーニング性能が10倍向上した。また、そのCortex-A35を発表して以来10年間に投入したさまざまなイノベーションを取り入れるなど、スカラー性能でも30%向上(同一周波数において)したという。

セキュリティ機能

 同社は、2023年に発表したNPU「Ethos-U85」において、最大4TOPSというAI性能を提供。その際に組み合わせるCPUはCortex-M85を想定していた。ところが近年のAIはCNNからTransformerモデルに移行し、LLMが代表するように、パラメータ数がその性能を左右することが明らかになってきた。パラメータ数が10億を超えるような小規模なモデルでも、メモリ消費が2GBに達し、Cortex-M85のような32bit CPUがアクセスできるメモリ空間では足りなくなってしまっていた。

 その打開策として投入されるのが今回のCortex-A320であり、Cortex-M85のような32bit CPUからの移行を促進しつつ、Cortex-A53やCortex-A35のようなARMv8の旧世代CPUと同じ64bitバイナリが使えることを武器に、それらからの移行も促す、などととしている。

10億パラメータを超えるようなAIに対応できる
Cortex-M85+Ethos-U85の組み合わせからの移行を狙う
Cortex-M85からの移行によって性能スケーリングやメモリの柔軟性が向上する
Cortex-A53/A35からは64bitバイナリの互換性を維持しつつ、高いセキュリティ性やマシンラーニング性能の向上が実現できる

 さらに、「KleidiAI」と呼ばれるAI処理を最適化するソフトウェアスイートの提供や、Linux/Androidのような高級言語を使うOSから、FreeRTOSやZephyrのようなリアルタイムOSの幅広いサポートなどによって開発者を支援できるとした。

 なお、パイプライン数や具体的なダイサイズなどは明らかにしなかったが、CPUコア数は最大4基までになる。

幅広いOSの対応
同社のCortex-Aシリーズのラインナップ