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学生が考える未来のデジタルは? 「アドビ未来デジタルラボ」発表会

 Adobeは、同社日本法人の創立30周年を記念したプロジェクト「アドビ未来デジタルラボ」の一環となる、学生研究員による成果発表会を実施した。

 発表会では、SNSでの応募から選ばれた11人の大学生が、3つのチームに分かれて、テクノロジー、地方創生、デジタル人材のテーマについて研究し「わくわくする未来」を考察、提言を行なった。

メタバースと大学生活

 テクノロジーをテーマに研究を行なったチームCAT CAFEは、コロナ禍での制約によって理想とは異なる大学生活を送った経験を背景とし、メタバースが大学生活を豊かにする可能性について探求して「メタバースと大学生活」と題した提言を発表した。

チームCAT CAFE

 チームは調査を通じて、メタバースが大学生活のコミュニティ形成に役立つ可能性があることを示すとともに、現在のVRゴーグルの改善点も指摘した。

 同チームは、課題を解決するVRゴーグルとして、大学生活に馴染むデザイン、持ち運びやすさ、複数人でのシェアも可能という3つの特徴を備えた「uni lens」を提案した。

uni lens。このVRゴーグルは学生研究によるものでアドビは開発に関与していない

地方の人手不足にデジタルは何ができるか

 地方創生をテーマに研究を行なったチームアルティは、地方で深刻化する人手不足問題に焦点を当て、特に宿泊業界における課題を解決するためのデジタル技術の活用方法を探求し「地方の人手不足にデジタルは何ができるか」と題した提言を発表した。

チームアルティ

 チームは調査の結果、賃金の低さや勤務の不規則さ、離職率の高さが人手不足の主な原因であり、デジタル化の取り組みが不十分であることが明らかにした。チームはこれらの課題に対処するため、情報共有の場の設立、おもてなしの強化、副業や兼業の促進、デジタルを活用した情報発信などを提言した。

 デジタル技術は単なる目的ではなく手段であるとし、地方の宿泊業界での人手不足の問題解決に向けて、デジタル化の適切な利用と人間によるおもてなし文化の価値を見直すことの重要性を語った。

未来デジタル人材白書

 デジタル人材をテーマに研究を行なったチームCode Blackは、デジタルネイティブ世代である大学生を対象に、デジタル技術に対する認識と実態を調査し、その結果をもとに「未来デジタル人材白書」と題した提言を発表した。

チームCode Black

 18~25歳の大学生および大学院生800人を対象に、デジタル技術の社会への影響、デジタルデバイスの利用目的、デジタルツール使用時の感情などの質問を行なった結果、デジタル人材と非デジタル人材の間で、デジタルに対する認識や価値観に大きな違いがあることが明らかになり、特に非デジタル人材はデジタル技術への参入障壁を感じていることが多いことが挙げられた。

 提言では、デジタル技術を身近で楽しく感じる社会の実現、最先端テクノロジーへのアクセス機会の提供、直感的に操作可能なデジタルツールの推進という3つの方向性が示された。

 これらの提言は、デジタル人材と非デジタル人材の間に存在する認識の差を埋め、デジタルで新しい価値をより生み出すことができる社会を目指している。