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MediaTek、AI性能大幅強化の最上位SoC「Dimensity 9300」

Dimensity 9300

 MediaTekは6日(台湾時間)、スマートフォン向けフラグシップSoC「Dimensity 9300」を発表した。TSMCの第3世代4nmプロセスで製造され、AI周りを含めた大幅な性能・電力効率向上を図ったとしている。

 PerformanceコアとEfficiencyコアを4基ずつ使用したオクアコア構成はそのままに、Performanceコア内の構成を変更。従来製品では超高性能なコア1基と高性能なコア3基を組み合わせていたが、Dimensity 9300では4基すべてに超高性能コアのCortex-X4(最大3.25GHz)を用いたAll Big Coreデザインを採用した。一方、EfficiencyコアにはCortex-A720(最大2GHz)を4基搭載。全体としてシングルコアで15%、マルチコアで40%の性能向上を実現したとする。

 加えて、同社の次世代AIプロセッサとなるAPU 790を搭載。整数演算および浮動小数点演算性能を2倍引き上げつつ、消費電力を45%削減しており、電力効率を大幅に改善した。Transformerベースの生成AIにも最適化し、前世代比で8倍の高速化を達成。Stable Diffusionを使った画像生成が1秒以内で完了できるという。さらに、Meta Llama 2をはじめとした大規模言語モデルもサポートするなど、より高速で安全なエッジAIコンピューティングを実現できるとしている。

 GPUにはImmortalis-G720を搭載し、前世代と同等の消費電力で性能を約46%向上。オクタコアCPUと第2世代ハードウェアレイトレーシングエンジンにより、コンソール機レベルのグローバルイルミネーションを60fpsで実現できるとする。

 ディスプレイはWQHDで最大180Hzまで、4Kで最大120Hzまでの出力が可能。フォルダブルフォンのようなデュアルアクティブディスプレイや、Android 14で利用可能となったUltra HDRもサポートしている。そのほか、最大9,600Mbps駆動のLPDDR5Tメモリ、UFS 4ストレージ、最大3億2,000万画素カメラセンサー、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4のサポートなども特徴となっている。

 なお、搭載製品については2023年末までに市場に投入される見込みだという。

主な特徴