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日本マイクロソフト、NEXT GIGAに教育専用Windows 11投入。推奨スペックも策定

 日本マイクロソフト株式会社は、NEXT GIGAと通称される小・中学校向けPCのリプレース需要などに向け、教育市場向けサービス強化など、教育向け事業戦略を発表した。教育分野専用OSとして「Windows 11 Pro Education」を投入、日本マイクロソフト推奨NEXT GIGA向け生徒用PCとして「GIGA BasicPC」と「GIGA AdvancedPC」の2種類のスペックを提示、そして「Microsoft 365 A1」提供など従来の教育向け施策を大幅に見直した。

 同社の業務執行役員 デバイスパートナーセールス事業本部 事業本部長の佐藤久氏は、「調査会社の調査では、3OSあるGIGAスクール用OSの中で当社は2番目。事業強化でシェアトップも狙える位置にある。今回の施策強化でトップシェアを狙いたい」と意欲を見せた。

 また、GIGAスクール向け施策として目指す方向について執行役員 パブリックセクター事業本部文教営業統括本部 統括本部長の中井陽子氏は、「学校でのGIGA定着には、予算に限りがある自治体、とにかく忙しい教職員、精神的幸福度や学習意欲が低下傾向にあるという指摘もある児童生徒の三方がよしとなる状況を作ることが理想。その実現には三位一体の改革が必要となる」と強調した。

佐藤久氏
中井陽子氏

Windows 11 Pro Educationの特徴

 今回、日本マイクロソフトでは従来提供してきた教育向けWindows 11 SEを終売し、「Windows 11 Pro Education」に切り替える。通常版のWindows 11との最大の差異は、アクセシビリティ機能を搭載している点となる。アクセシビリティ機能には、色覚異常や色盲の人でも見やすい色の表示に画面を切り替えできるカラーフィルター、児童・生徒が教科書などを読む際にPC上の読んでいる箇所をハイライトするなどの機能を持ったイマーシブリーダーなどの機能が搭載されている。

 「教育版Windows 11には、日本マイクロソフトがアクセシビリティガイドブックという本を出しているくらい、多様化しているアクセシビリティ機能を搭載している。この点が商業版との大きな違いとなる」(中井氏)。

 通常版のWindows 11同様、パフォーマンス向上、AI機能の付加などが行なわれているため、教育現場でのAI活用も可能となる。

 提供方法は商業版とは異なり、提供形態、価格などが教育専用となっている。

生徒用と教師用PCの推奨スペック

 生徒用PC本体の推奨スペックは、メモリ4GB、ストレージ64GBでアプリケーションをダウンロードすることなく常にクラウド経由での利用を行なう「GIGA BasicPC」。メモリ8GB、ストレージ64GBまたは128GBで、オンプレミスとクラウドを利用場面ごとに使い分ける「GIGA AdvancedPC」の2種類を用意する。

 「2つのスペックに対し、現場で質の高い教育を提供したいと考えていらっしゃる先生方とお話しすると、皆さん、Advancedが良いと。ただ、予算の関係等々あって、全体でいくとBasicの選択比率が多くなるのではないかという感覚を持っている。ただ、我々としては、3方よし実現には、より良いデバイスを提供していくことが我々の責任であると考える。そのため、気持ちとしてはAdvancedをより多く提供していきたいとは思っている」(佐藤氏)。

 教育現場の利用実態に合わせ生徒用PCとして、Windows 11 Pro Educationを搭載し、CPUはCeleron同等以上、メモリ4GBから8GB、SSD 64GBから128GB、バッテリ8時間以上稼働、重さ1.5kg未満、Wi-Fi搭載、背面カメラと前面カメラ搭載、画面サイズ9型から14型、キーボード取り外し可能なデタッチャブル型、360度回転するコンパーチブル型、本体充電に対応したUSB Type-C、Bluetooth接続ではないキーボードが推奨スペックとなっている。

 「さらに子供たちが持てる軽さ、落としても壊れない堅牢性、Windows 11の最新セキュリティ機能などが必要になる。教育的観点からペンは必須だが、利用時になくしてしまうケースが多いことから、ペンを収納する機能を持っていることも必要」(佐藤氏)。

 この条件に合致するPCをBasicは、ASUS、日本エイサー、デルテクノロジーズ、ダイナブック、富士通、日本HP、レノボ、NECの7社が発売する。Advancedはそこに日本マイクロソフトが加わり、8社から発売される。

 Windows PCを学校で利用するメリットとして、大学生、社会人になっても利用することになるWindowsを小学校、中学校時代から利用していけることをメリットとして挙げている。

 日本マイクロソフトは生徒だけでなく、先生が利用するPCについても推奨スペックを挙げ、8社から対象製品が発売される。

Microsoft 365 A1(Legacy)を6年間買い切りで提供

 NEXT GIGA向けアプリケーションは、クラウド型の「Microsoft 365 A1(Legacy)」。従来版と同様に、Intune for Education、Office 365 A1(Web版)、Windows 11 Upgradeが含まれる。デバイスごとに購入が必要で、6年分買い切りになっている。

 Microsoft 365の教育向けエディションEducationには、基礎学力、将来を見据えたスキル向上、データ可視化に利用できるツールや授業や学習で利用するOffice、コミュニケーションに利用するTeamsの教育版などが含まれる。

 「教職員向けには、Microsoft 365に2つのライセンスを用意しているが、教職員がMicrosoft 365 Education A3を包括契約した場合、生徒はMicrosoft 365 Apps Windows 10/11Educationなどを無償で利用することができる。GIGAスクールに必要になってくるMDMライセンスももちろん含まれるので、追加購入する必要がない。コスト面でもニーズにあわせた形態となっている」(中井氏)。

 中井氏は日本の学校にITを活用した教育であるGIGAスクールが定着していくために、自治体、教職員、生徒のそれぞれに課題があると指摘する。「自治体側は予算面で課題を抱え、長期的に利用できるものを選ぶ必要がある。教職員はとにかく忙しく、業務効率の改善が必要となる。児童/生徒は精神的幸福度が低く、学習意欲が最低といった調査結果が出るなど、心のケアや学習意欲をあげる仕組み作りが必要になる」(中井氏)。

 自治体、教職員、生徒という3者それぞれの課題解決となるツールを提供し、「三方よしを実現しなければ、GIGAスクールは定着していかない。なんとか三方よしの実現を目指したい」と特定の層だけでなく、それぞれの課題解決となるツール提供を行っていることをアピールしていく計画だ。