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リコー、タッチやバッテリ搭載でMiracast投映できる有機ELモバイルモニター

RICOH Portable Monitor 150BW

 株式会社リコーは、タッチ機能を搭載しながら無線でも投映可能な15.6型有機ELモバイルモニター「RICOH Portable Monitor 150BW」を30日に発売する。価格はオープンプライスで、実売予想価格は7万円台の見込み。

 バッテリを内蔵しているほか、Miracastによる無線での投影にも対応するモバイルモニター。無線接続にはteamSが開発した「Smart Streaming Engine(SSE)」と呼ばれる技術を世界で初搭載し、映像遅延が少なく、快適な投映とタッチ操作を実現。商談や打ち合わせの際に紙の代わりに配布すれば、参加者が資料へ書き込みを行なえるなど、少人数のコラボレーションを促進する。

 4,096筆圧レベルに対応したAESペンによる入力も対応し、無線接続時でもペン入力が可能。なお、無線接続時では100ms程度の遅延が生じるため、ペンで入力した際に青色で軌跡を先に画面上に表示させて体感遅延を抑える機能も備える。

 無線接続はMiracastによる1対1の接続のほか、スマートフォンとPCといった2台のデバイスからの同時入力も可能で、ピクチャー・イン・ピクチャーまたはピクチャー・バイ・ピクチャーで表示したり、切り替えたりできる。さらに、専用のソフト(無償)を用いれば、アクセスポイントを経由し1台のPCに対して最大5台まで本製品を接続できる。なお、タッチおよびペン操作はこのうちの1台のみから可能となっている。

スマートフォンとPCの両方の同時投影も可能
アクセスポイントを経由すれば最大5台まで同時に表示させられる(デモは3台)

 ハードウェアとしての設計もこだわり、キックスタンドを内蔵することで別途スタンドカバーなどを用いることなく自立可能とし、ペン入力しやすい角度(16度)まで無段階に倒すこともできる。さらに縦置きも可能となっている。また、15.6型ながら約715gという軽量性を実現した。端子部も本体左右ではなく中央のくぼみ部分に配置することで、ノートPCの真横に隙間なく配置でき、ケーブルを挿したままの持ち運びも可能にしている。

 画面はSamsung製の有機ELパネルを採用し、1,920×1,080ドットの解像度を持つ。Eye Care認証を取得しており、ブルーライトを従来のモニターから約62%低減。そのほかの仕様は、表示色数が約10億7,000万色(8bit+2bit FRC)、応答速度が1ms、輝度が300cd/平方m、コントラスト比が10万:1、視野角が上下/左右ともに170度以上。

本体背面
キックスタンドを立たせた状態
キックスタンドは無段階で調節可能なため、好みの角度に設定できる
USB Type-Cコネクタはくぼんでいる部分に装着できる。本体上部とは段差がつけられているため、ユーザー自身がバンドなどを貼り付ければ、ケーブルを付けたまま持ち運べる
有機ELパネルを採用し、高いコントラスト比を実現
AESペンに対応し、書き込むことが可能

 インターフェイスはUSB Type-C×2、IEEE 802.11ac対応無線LANを搭載。1.5W×2のステレオスピーカーも内蔵する。バッテリは3,740mAhリチウムイオンで、満充電で約3時間の駆動が可能。本体サイズは356×10.8×221.7mm。

 無線およびバッテリを省いた下位モデル「RICOH Portable Monitor 150」も同時発売する。こちらは重量が約560gに軽量化される。

これまでになかった「ハンドアウト」デバイス

栗原正美氏

 21日に都内で開かれた小規模な記者説明会では、リコージャパン株式会社 ICT事業本部 スマートコミュニケーション企画センター コミュニケーション事業企画室 VC商品グループの栗原正美氏が新製品について解説。コロナ禍が一段落を見せる中、人々の働き方に変化が生まれ、リアルでもオンラインでも、つまりハイブリッドワーク環境が推し進められている。しかし現状ではこれにデバイスが追いついて来ていないとし、それに応えて企画/開発されたのが今回のポータブルモニターであるという。

 具体的には、オフィスのアドレスフリー化に伴い、据え置きのモニターが置かれなくなっている環境においては、作業効率向上のためにこうしたデュアルモニターが必要であったり、リアルでの会談の場においても、顧客に資料を見せたりする際に、紙ではなくマルチメディアを活用するシーンが増えたり、共同で作業を行なうといった場面が増えているとし、こうしたシーンで本製品の特徴、つまり「単なるモバイルモニターではない」点が活きるとした。

 現在市場には2万円台からの安価なモバイルモニターもあるのだが、カバースタンドを使うのが主流であり、それを含めると(15.6型では)1kgを超えるのがほとんどである。また、ケーブルの取り回しがしづらい、タッチやペンに対応しておらず操作ができないといった課題もある。今回の製品は企画/開発段階から、それらとの差別化を図っている。

オフィスの変化
コロナ禍前の働く環境と、コロナ禍後の働く環境の変化
フリーアドレスやリモートワークの推進や、オンラインとの両立、ペーパーレス化などが進む
新製品の特徴

 また、これまでのモバイルモニターはユーザー自身だけが使うのがメインであったのだが、本製品は無線でタッチやペン入力が可能ということもあり、他人に使われる、つまり「ハンドアウト」的な使い方も想定され、これらの機能を盛り込んだことは、他社にはすぐに追従できない。なお、teamSの技術を搭載したのは本製品が世界初となっており、開発段階からリコーの要望や最適化も含まれているとのことだった。

 今回の製品はまず法人向けからということだが、市場の様子を鑑みて来年(2023年)以降はコンシューマでも展開したいとのこと。実際に発表会場で製品を触ってみたが、これまでのモバイルモニターとは一線を画す軽快さやハードウェアとしての完成度の高さ、利便性に惹かれ、ちょっと欲しいと思ってしまった。ぜひ早い段階で個人向けにも販売していただきたいところである。

サッと取り出してPCと接続できる利便性
さまざまな用途
顧客などに渡すハンドアウトデバイスとしても最適