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Arm、スカラー/ML性能をともに高めた組み込み向けプロセッサIP「Cortex-M85」
2022年4月26日 22:00
アーム株式会社は、IoTおよび組み込み機器向けのCortex-Mファミリから「Cortex-M85」のライセンス提供を開始した。加えて、「Arm Total Solutions for IoT」における新たなソリューションや、Arm Virtual Hardwareの機能拡充なども実施する。
Arm Total Solutions for IoTでは、プロセッサなどをまとめた統合/検証済みIPサブシステムのArm Corstone、クラウドベースでの開発を支援するArm Virtual Hardware、デバイス間におけるソフトウェアの移植性や再利用性を実現するArm Project Centauriの3要素により、IoT/組み込み機器開発の簡素化や迅速化をサポートしている。
今回、Arm Corstoneの一部でもあるプロセッサIPとして、新たにCortex-M85を発表。Cortex-Mファミリで最高の性能とセキュリティ性能を備えたものだとしており、マイクロアーキテクチャの拡張やHeliumの再設計により、スカラー演算性能やマシンラーニング(ML)/DSP性能を強化。Cortex-M7と比べてスカラー演算性能が30%、Cortex-M55と比べてマシンラーニング性能も20%向上したという。
セキュリティ機能としてはTrustZoneテクノロジーに加え、Cortex-Aファミリ譲りのPACTBI(Pointer Authentication and Branch Target Identification)を採用。セキュリティ基準のPSA Certified Level 2にも準拠した。
Corstoneでは新たに「Corstone-310」、「Corstone-1000」を追加。既存のものとあわせ、超低消費電力/超小型デバイスからLinux搭載小型デバイスまで、幅広い機器をサポートできるようになったとする。
前者は今回発表のCortex-M85を統合し、AIオフロードエンジンとしてEthos-U55を選択可能。AI機能を備えるスマートスピーカーやドローンなどでの利用を想定し、音声認識のサンプルコードなどもオープンソースで提供する。
後者はウェアラブル端末やハイエンドスマートカメラなどLinux OSを使用したクラウドネイティブなエッジデバイスでの活用を想定。SystemReady-IR準拠に加え、PSA Cerified対応のハードウェアSecure Enclaveによる高いセキュリティ性能を実現した。
さらに、ソフトウェア開発を支援するVirtual Hardwareでは、これまでCortex-M55のみの提供だったが、今回新たにCortex-Mファミリ7製品すべてをサポート。また、サードパーティ製ハードウェアをそのまま仮想化したものとして、NXPのi.MX 8、ST MicroelectronicsのSTM32U5、Raspberry Pi Model 4の仮想化モデルを提供し、今後も順次拡充を進めていく。
そのほかProject Centauriでは、同社がCortex-M向けにオープンソースで開発を進めているCMSIS(Common Microcontroller Software Interface Standard)において、CMSIS-CDI(Common Device Interface)やOpen-IoT-SDKなどの拡張を行なっており、標準化への取り組みも継続して進めているという。