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AMD A320マザー、BIOS更新でRyzen 5000に対応

PRIME A320M-K

 2016年に第7世代APUや初代Ryzenとともに導入されたAMDのSocket AM4プラットフォーム。発表当初より2020年まで継続することが約束されていたのだが、公約通りどころか2022年上半期まで延長することが確実となっていて、革新が目覚ましいこの業界としては異例のロングランプラットフォームとなっている。

 ただ、同じSocket AM4と言っても、確かにソケットは物理的に互換性があったものの、実は300、400、500シリーズの間に大きな隔たりがある。300シリーズはAPUを除くRyzen 3000以降は、公式対応が謳われず、逆に500シリーズはRyzen 1000/2000シリーズをサポートできないからだ。

AMDが2019年5月のX570発表会で公開した各チップセットのCPU対応状況
ASUSのB550マザーボード発表会でAMDが示した対応CPUとチップセット。いずれにしても、AMD公式としては300シリーズで、Ryzen 3000/5000の対応予定はなかった

 同じCPUといえどもRyzen 2000まではモノリシックダイ、Ryzen 3000以降はチップレットなので致し方なし……と思われたが、300シリーズは結果的にほとんどのマザーボードでBIOSの更新を行なうことでRyzen 3000も対応できた。逆にB550でRyzen 2000に対応していたマザーボードもある

 「2020年までAM4を継続する」と公約している以上、ZenとZen 2世代をまたいで対応できたこと自体必然的だったかもしれない。しかし厳しく見ているユーザーからすると、「2020年末に出たRyzen 5000は当初の300シリーズチップセットでサポートできていないじゃん」とツッコミたくなるのも無理はないだろう。そうした声に応えるかのように、ASUSとGIGABYTEがA320というエントリー向けチップセットで、Ryzen 5000シリーズをサポートするBIOSを配布し始めた。

 ASUSは「PRIME A320I-K」と「PRIME A320M-K」の2モデルにおいて、BIOS 5862を適用すると対応できる。このBIOSではRyzen 7 PRO 4750GのようなAPUも利用できる(最新のRyzen 5 5600G/Ryzen 7 5700Gはない)。型番末尾に/CSMがついているモデルは非対応。

 一方でGIGABYTEは、日本で初めて販売された「GA-A320M-HD2」は非対応で、「GA-A320M-S2H」、「GA-A320M-H」の2モデル(リビジョンは問わない)のBIOS F54以降で利用可能。

 ただし、いずれのBIOSはROMサイズの関係で、適用すると第7世代APUやAthlon X4のサポートがなくなるため、これらのAPUを利用しているユーザーは適用しないようにしたい。

 MSIやASRockは今のところ対応BIOSを用意していないほか、上位モデルであるB350/X370では対応が進んでいないようだが、旧マザーボードを未だ利用していて、アップグレードを考えているユーザーは各社の今後の動きに注目したい。

GA-A320M-S2H