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小規模企業の約7割がWindows 11導入を様子見。JCSSA調査
2021年10月20日 06:55
一般社団法人日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)が、中小企業を対象に実施した調査によると、Windows 11への移行については、「しばらく様子をみる」および「試行的に導入するが、展開は様子をみる」とした回答が、中規模企業で53%、小規模企業では69%に達した。中小企業は、新たなOSへの移行に消極的であることが浮き彫りになった。
一方で、「新規導入PCに、Windows 11がプレインストールされていれば使う」という回答が、中規模企業では28%、小規模企業では21%となった。
中規模企業では半数以上、小規模企業では3分の2以上が、Windows 11への移行については様子見という結果ではあったものの、新たに導入したPCにインストールされていれば利用するという回答が一定数いたことから、同協会では、「新OSにありがちな動作不良やセキュリティホールなどを不安視しているようには見えない。だが、関心は薄く、Windows 10のマイナーチェンジ程度に考えているようだ」との見方を示している。
テレワークではデスクトップPCの導入が進展
今回、調査対象となったのは、従業員350人以下の一般企業660社と、JCSSA会員の顧客企業約300社。従業員1~20人の企業を小規模企業、21~350人までの企業を中規模企業としている。調査は2021年8月~10月にかけて行なった。
テレワークの実施状況について調査したところ、「実施している」と回答した企業は、中規模企業では45%と前年度調査よりも10ポイント増加し、「実施する予定がある」とした企業を加えると68%に達した。一方で、小規模企業では「実施している」企業は27%と前年度調査と同じだった。「実施する予定」は前年度調査から2ポイント減の9%となっており、「実施予定がない」という小規模企業は前年度調査の62%から64%へと増えた。
緊急事態宣言が出された19都道府県の企業を抽出すると、テレワークを実施した中規模企業は49%とほぼ半数となったが、それ以外の地域では30%に留まった。小規模企業でも緊急事態宣言が出された地域では30%の企業がテレワークを実施し、それ以外の地域では17%となった。
一方で、緊急事態宣言が出されていない地域の小規模企業では、テレワークを実施する予定がないとの回答は78%にも達している。宣言の発出がテレワークの実施状況にも大きく影響しているのが分かる。
意外だったのは、テレワークを実施している企業においては、ノートPCよりも、デスクトップPCの導入台数が増加していることだ。
ノートPCは、中規模企業では従業員1人あたりの台数が2020年度の0.33台から、2021年度は0.42台に増加。小規模企業では0.41台から0.44台へといずれも増加しているが、デスクトップPCはさらに増加している傾向が見られ、中規模企業では0.43台から0.68台に、小規模企業では0.54台から0.85台へと、いずれも1.6倍に増えている。
同協会では、「テレワークの実施に伴い、長時間作業でも目の疲れが少ない大型画面であることや、安価なシンクライアントとして使えれば、十分という点が考慮されたと考えられる」と分析している。
また、テレワークを実施中の企業と、それ以外を比べると、テレワーク実施中の企業の方が1人あたりの台数が多く、「IT装備率の違いが、テレワークの実施のしやすさの差につながったともいえる」とした。
ここでは、中規模企業において、スマホの従業員1人あたりの台数が、0.20台から0.35台へと1.8倍に増加していることも判明。「テレワークでの利用においても、簡単な連絡や決裁にはスマホで十分との判断があったのではないか」と分析している。
働き方改革は長時間労働の抑制などに効果。DXは中/小規模で意識に大きな差
働き方改革についての調査では、中規模企業、小規模企業ともに、「長時間労働の是正、残業の減少」、「有給休暇の取得率向上」で効果があがっており、「テレワークによる通勤時間の削減」についても効果を認識している企業が多いことが分かった。
さらにDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する調査では、「DXは必要」と考えている企業は、中規模企業では17ポイント増加して84%を占め、「DXに取り組んでいる」とした企業が17ポイント増の24%、「取り組む予定である」という企業が15ポイント増の33%となり、この1年でDXに対する意識が大きく変化していることが分かった。
だが、小規模企業では、「DXに取り組んでいる」とした企業が6%、「取り組む予定である」とした回答が11%となり、逆に「DXは必要と考えていない」とする企業が6ポイント増加して60%となった。DXに関する考え方は中規模企業と小規模企業で、大きな差があることが明らかとなった。
また、DXに取り組んでいる企業では、「製品やサービスの生産性を高める」、「製品やサービス、顧客領域を拡大する」といったことをDXの目的として挙げる企業も多くみられた。