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2021年8月のPC出荷は前年比半減

国内のPC出荷実績(出典:JEITA)

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2021年8月の国内PC出荷実績によると、出荷台数は前年同月比43.9%減の49万7,000台、出荷金額は24.1%減の480億円となった。出荷台数で約半分、出荷金額で4分の3にまで縮小した。とくに、14型以下のノートPCの出荷台数は3分の1の水準まで大きく縮小した。

 前年同期には、GIGAスクール構想による児童生徒1人1台の端末整備が本格化。コロナ禍におけるテレワーク需要、1人10万円の特別定額給付金による需要なども重なり、今年は、その反動が表面化した格好だ。

 前年9月以降は、GIGAスクール構想による整備がさらに加速しており、今後は、その反動がさらに顕著になる。2021年9月以降、半年以上に渡り、大幅な前年割れが続くことが想定される。

 なお、2020年8月の出荷実績は、88万8,000台。2019年8月には88万9,000台、2018年8月の54万8,000台となっており、今回はこれらの実績も下回った。8月の出荷実績で50万台を切ったのは、2017年8月の49万1,000台以来、4年ぶりとなった。

 2021年8月の出荷実績の内訳は、ノートPCが前年同月比48.0%減の41万2,000台とほぼ半減。そのうち14型以下のノートPCであるモバイルノートは64.9%減の15万8,000台と、3分の1の水準にまで大きく落ち込んだ。GIGAスクール構想の対象となったのは、このカテゴリのPCであり、特需の反動が大きいことがここからも示される。

 ちなみに、2020年8月のモバイルノートの平均単価は、4万5,000円での調達が前提となっていたGIGAスクール構想に引っ張られて、4万7,007円となっていたが、2021年8月はその影響がなくなったことで、平均単価は9万1,772円と、2倍近くに上昇している。

 また、デスクトップPCが前年同月比8.9%減の8万5,000台、そのうちオールインワンPCが38.1%減の1万9,000台、デスクトップ単体は5.5%増の6万6,000台となった。デスクトップ単体は出荷金額でも14.5%増と大きく伸張しており、平均単価も上昇。高機能モデルが売れていることがわかる。

Chromebookの構成比は1桁台

 では、量販店での販売状況はどうなっているのだろうか。

 全国の主要量販店やECサイトの販売実績を集計しているBCNによると、2021年8月の販売台数は、前年同月比21.1%減となり、そのうち、ノートPCは20.6%減、デスクトップPCは24.8%減と、いずれも大きな減少となっている。

 量販店市場では、GIGAスクール構想の影響は受けないが、2020年1月のWindows 7のサポート終了に伴う買い替え需要、2020年3月以降のテレワーク需要、2020年6月以降の特別定額給付金需要といったように、前年には需要を喚起する起爆剤が相次ぎ、その影響が夏場まで続いたが、今年は「弾切れ」の状況になっているのに加えて、6月25日にWindows 11が発表されたことで、買い控えの動きが影響したとみられる。

 ノートPCは、14型以下の販売台数が11.5%減、15型以上が31.6%減となっており、モバイルノートの減少幅が大きいJEITAの統計とは逆の動きが見られるが、量販店などでは、持ち運びを想定したPCの売れ行きが比較的維持されたり、在宅勤務や家庭学習用などに、2台目としてWindows搭載の低価格モデルを購入するといった動きも出ているようだ。

 ノートPCの平均単価は、前年同月の10万9,700円から、10万3,200円へと下落。とくに、14型以下のノートPCは12万2,400円から、10万3,800円に下落し、単価が大きく下がっていることがわかる。

 なお、GIGAスクール構想では約4割を占めたChromebookだが、量販店市場ではまだ1桁台の構成比に留まっており、教育分野での普及は、量販店市場には波及しきれていないのが実態だ。

Windows 11搭載PCには慎重な姿勢?

 BCNのデータから、9月1日~15日までの状況も見てみよう。

 これによると、PC全体では前年同期比7.2%減となり、落ち込みは1桁台となっている。そのうち、ノートPCは5.7%減と落ち込み幅が小さいが、デスクトップPCは18.4%減とマイナス幅が大きい。

 量販店などでは、PC市場全体ほどの落ち込みはないようだが、やはり当面の間はマイナス成長で推移する可能性が高いと見られている。

 10月5日にリリースされるWindows 11にあわせて、PCメーカー各社からは、順次、Windows 11搭載PCが発売されることになる。需要動向には慎重な姿勢をみせる関係者もいるが、これが、量販店での販売に、どれだけの弾みをつけるのかが注目される。