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DRAM価格、当初予測より早く上昇に転じるおそれ
2020年1月8日 18:52
市場調査会社TrendForce傘下のDRAMeXchangeは8日(台湾時間)、想定よりも早い段階でDRAM価格が上昇傾向へ転ずる可能性があると発表した。
同社では、PCとモバイル、特殊DRAMの第1四半期の契約価格について、以前の予測の「ほぼ安定」から「わずかに上昇傾向」へと修正。その要因として、DRAM供給の成長率が限られていることから、バイヤーが保有在庫を増やすために積極的に注文を掛けているためとしている。
PC向けDRAMは、契約価格についての交渉が現在進行形で行なわれているが、TrendForceではPC OEMに出荷されるメモリ製品の価格について、横ばいまたはわずかに上昇する可能性が高いと予測。
PC OEMは、2019年第4四半期で中国からの輸入に対する米国関税の上昇を回避するために、ノートPC製品の米国市場への出荷を急いだため、2020第1四半期のノートPCの出荷は平年に比べて少なくなると見られているが、DRAMサプライヤはDRAMの生産量を抑えており、PC OEMはメモリ在庫を増やす必要に迫られているという。
なお2020年の総DRAMビット出力前年比成長率の予測は、依然として13%未満であるとしている。
結果としてPC OEMは、近い将来の供給側主導の価格引き上げを見込み、積極的な準備に動いているとみられ、TrendForceでは2019年12月31日のSamsung華城工場での停電は、切迫感を高める一因にしかならなかったと分析。
またPC OEMが、DRAMサプライヤが出荷量を増やす協力をするなどした場合、DRAMモジュールの在庫構築を念頭に置いて2019年第4四半期と同程度またはわずかに高い価格での取引を許容する可能性を指摘している。
モバイル向けでは、消費者の5Gスマートフォンへの関心は2020年第1四半期で高まっているが、5Gチップセットの供給は非常に限定的であることや、スマートフォンメーカー側もオフシーズン中に主要部品に対する需要を戻すため、2020年はじめの5G関連のメモリ需要は小さいと見られる。
TrendForceでは、モバイルディスクリート製品、eMCP製品の契約価格について、2020年第1四半期で0~5%低下すると予測しているが、サーバーDRAMおよびグラフィックスDRAM製品では、12月中旬から需要が高まり、一般的な価格上昇を先行すると予想。NANDフラッシュ市場での最近の供給量減もeMCP製品の価格を支えるかたちであるという。
同社ではサーバー/グラフィクスとeMCP市場の好況がモバイルDRAM市場にも波及するとみて、モバイルDRAMの価格動向について「わずかに下向き」から「ほぼ安定」へと予測を修正している。
停電の影響を受けた華城にあるSamsungのFabライン13では、20/25nmプロセスの特殊DRAMチップのほとんどを生産しており、特殊DRAMチップの契約価格はスポット市場で起きた1カ月近くの価格上昇の影響を最初に受けた市場であることから、特殊DRAMチップの契約価格は当初の予想よりも早く回復する可能性があると指摘。
特殊メモリ製品に関連する四半期ごとの取引に対するDRAMサプライヤの平均供給率は2020年第1四半期で60%未満であると推定しており、特殊DRAMセグメントのほとんどの顧客は2019年末に在庫確保を行なっておらず、かなり低い在庫水準で2020年を迎えているため、ほとんどの特殊DRAMチップの契約価格は第1四半期から毎月上昇を記録するとみて、DDR3およびDDR4メモリ製品の契約価格は2020第1四半期で前四半期比0~5%の増加を予測している。