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主要16製品の性能が一目で分かる! 最新SSD一斉ベンチマーク

最大速度を確かめる~NVMe SSD編

 現行の主要SSDの中から、まずPCI Express 3.0に対応するNVMe SSD 8製品の最大性能をチェックする。

 SamsungのSSD 970 EVO Plusが最大読み出し速度3,523.6MB/s、書き込み速度3,295.9MB/sを記録してトップ。読み書きの両方で3,000MB/sを超えたのはこの製品だけだ。ランダム性能については、リードではADATAのXPG SX8200 ProとWestern DigitalのWD Black SN750が、ライトではSamsung SSD 970 EVO Plusが優秀だ。なお、読み書きとも2,000MB/sに届いていない4製品はQLCもしくはDRAMレスの製品。これらは、低価格である半面、速度は控え目。ただし、後述するSerial ATA製品よりはシーケンシャル、ランダムとも大幅に速い。予算と要求性能によっては有力な選択となり得る。(TEXT:北川達也)

※メーカー仕様表では非公表のため著者の推測による(以下同)

【検証環境】

[NVMe SSD]CPU:AMD Ryzen 7 3700X(3.6GHz)、マザーボード:GIGA-BYTE X570 AORUS ELITE(rev.1.0)(AMD X570)、ビデオカード:ASUSTeK PH-GTX1650-O4G(NVIDIA GeForce GTX 1650) 、[Serial ATA SSD]Intel Core i5-9600K(3.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK PRIME Z390-A(Intel Z390)、[共通]メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)、システムSSD:CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、Adobe Premiere Pro:4K動画(約5分)の編集プロジェクトを作成し、そのプロジェクトの読み込みにかかった時間を5回計測した平均時間、温度と転送速度:TxBENCHでシーケンシャルライト(QD32)を容量の全域に対して10分間実行した際の値をHWiNFO64で測定

最大速度を確かめる~Serial ATA SSD編

 すでにインターフェース速度の限界に達しているSerial ATA SSD。性能的には各社の製品が成熟の域に達している。このため、最大速度は、ADATAのSU630という唯一の例外を除き、ほぼ同じような性能だ。具体的には、最大読み出し速度は550MB/s前後、書き込み速度は500MB/s強。また、4KBのランダム読み出し/書き込みの速度もSU630を除き、ほぼ横並びに近い速度となった。

 例外となったSU630は、今回テストした中では唯一のQLC採用かつ、DRAMレス設計だ。この両方が速度差の要因と思われるが、その分価格面での強みがある。

アプリの起動速度を見る~NVMe SSD編

 ここでは、PCMark 10 App Start-upの結果から実際の使用感に直結するアプリの起動速度を比較する。まずは、NVMe SSDの結果から見ていこう。

 このテストは、スコア15,000以上を記録したSamsung SSD 970 EVO PlusとSeagateのBarracuda 510の健闘が目立つ。

 もう一つ注目したいのが、4番手に付けているADATAのXPG SX6000 Lite。この製品はDRAMレス設計ながらこの成績。HMB機能と大きく取られたSLCキャッシュが効いているようだ。ここから、DRAMレス製品が極端に遅いものではないことが分かる。

アプリの起動速度を見る~Serial ATA SSD編

 Serial ATA SSDの結果は、大きく四つのグループに別れた。トップグループは、SamsungのSSD 860 EVOとMicronのCrucial MX500の2製品だ。14,000前後というNVMe SSDと比較しても遜色ないスコアをマークした。次点は、13,225のCFD販売のMG4V
T。3番手グループが、12,500前後Western DigitalのWD BlueとMicronのBX500。最下位グループが12,000強のスコアだったADATAのSU630とCFD販売のCG3VX、Seagate BarraCudaの3製品だ。全体的な傾向としては、SU630とCG3VXなどDRAMレスの製品は性能が低めとなっている点が目に付く。ランダムリードの性能が遅めなのが原因と考えられる。

注目のSSDはコレ

Samsung Electronics
SSD 970 EVO Plus
最高速度もアプリの起動でも次点以下に大きく差を付けてトップを取る局面が多かった。成熟期に入ったPCI Express 3.0対応製品でスピードを求めるならコレで決まりだろう
Micron Technology
Crucial MX500
1年半以上にわたりトップクラスの人気を誇るCrucial MX500。性能の高さに加えて、Serial ATA SSDに求められる価格の安さも兼ね備えている

実アプリ・実ゲームのロード時間

 ここでは、Adobe Premiere Proの起動時間とファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク(以下FF14)のローディングタイムの結果から、実際のアプリケーションにおける性能比較を行なう。

 NVMe SSDでは、ADATAのXPG SX8200 Proが、FF14のローディングタイムで9秒台をマークした唯一の製品だったことに加えPremiere Proの起動時間も上位と僅差の2番手だ。SSD 970 EVO Plusは、 Premiere Proの起動時間でトップ。FF14でも3番手だ。

 Serial ATA SSDは、両テストともにCFD販売のMG4VT、MicronのCrucial MX500、SamsungのSSD 860 EVOがトップグループを形成。DRAMレスのADATAのSU630とCFD販売のCG3VXは、最下位グループだった。Serial ATA SSDのDRAMレスは実使用環境において性能差が出やすいようだ。

注目のSSDはコレ

ADATA Technology
XPG SX8200 Pro
実アプリ・実ゲームの起動時間で最速だった。ゲーマー向けとしてチューニングされているのか起動は速い

NVMe SSDと温度と速度変化

 ここでは、PCI Express 3.0のNVMe SSDの主要8製品のシーケンシャルライト時の温度と速度変化を見ていこう。まずは、サーマルスロットリングの発生についてだ。今回のテストでサーマルスロットリングの発生による速度低下が確認された製品はなかった。ただし、全製品の発熱が小さかったわけではない。とくにMicronのCrucial P1はコントローラが82℃、SamsungのSSD 970 EVO Plusは75℃と高めだ。この2製品は、使い方や設置環境によっては熱対策をしたほうがよいかもしれない。ほかは、温度が高くなった製品でも最大で60℃だった。

 SLCキャッシュについて興味深い挙動をしていたのが、ADATAの2製品だ。SX6000 Liteは記録容量の約90%、SX8200 Proは約30%をSLCキャッシュとして利用していた。この容量は、ほかの製品と比較してもかなり多い。SLCキャッシュが切れた後の速度もこの2製品はほかの製品よりも遅く、SX8200 Proが251.3MB/s。SX6000 Liteにいたっては18.8MB/sまで低下し、3D TLC NAND搭載SSDでありながらQLC NAND搭載SSDよりも遅くなってしまった。SLCキャッシュ領域を大きく確保すると最大速度は長く維持できるが、キャッシュ切れ後の速度は遅くなってしまうのが分かる。なお、SLCキャッシュ切れ後の速度がもっとも速かったのはWestern DigitalのWD Black SN750 NVMe SSDだった。

注目のSSDはコレ

Western Digital
WD Black SN750 NVMe
ハイエンドクラスのNVMeながらヒートシンクがなくても温度は低め。キャッシュ切れ後の速度低下も小さく使い勝手のよさが光る

DOS/V POWER REPORT 2019年秋号では、「SSDがまたまた大進化したぞ!」と題した特集を掲載しています。本記事をはじめ、注目のPCI Express 4.0対応SSD、QLCやDRAMレスタイプの低価格SSDのトピック解説、注目のSSDカタログなど、SSDに関する最新情報を多数掲載しています。