ニュース
Intel、10nmプロセス製造で40%の性能向上を謳う「Agilex FPGA」
~ネットワーク機器向けSoC「Xeon D-1600」や100GbE対応のIntel Ethernet 800シリーズも
2019年4月3日 02:00
Intelは4月2日(米国時間)に報道発表を行ない、ネットワーク機器向けの「Xeon D」プロセッサの最新製品となる「Xeon D-1600シリーズ」、Altera FPGAの最新製品で、10nmプロセスルールで製造される「Intel Agilex FPGA」、そして同社のEthernetアダプタとして初めて100Gbpsの伝送速度を実現した、100GbE対応の「Intel Ethernet 800」の各製品を発表した。
NASやネットワーク機器向けのXeon Dに1600シリーズが新登場
Intelが発表したXeon Dは、ネットワーク向けに最適化されたXeonプロセッサで、4~8個のx64 CPUコア、最大で4つの10GbE、暗号化や複合化のアクセラレータとして利用できる「Intel Quick Assist Technology (Intel QAT)」などのハードウェアを搭載したSoCになる。
NAS、ファイヤウォール、ルーターなどの用途や、携帯電話キャリアの基地局のRAN、エッジサーバーなどの用途が想定されている。
Intelは、これまでXeon D-1500シリーズとXeon D-2100シリーズという2つのXeon Dプロセッサをリリースしていたが、Xeon D-1600シリーズは、Xeon D-1500のうち、コアあたりの処理能力にフォーカスしていたSKUを置き換えるものになる。
TDPは27~65Wまでラインナップされており、Xeon D-1500と比較してベースクロック周波数が1.2~1.5倍に引き上げられており、性能が向上しているのが大きな特徴となる。
メモリはDDR4-2400で、Registered DIMMを利用した場合には最大で128GB、Unbuffered DIMMないしはSO-DIMMを利用した場合には64GBまで対応でき、ECCにも対応する。
PCI ExpressはGen3が24レーン、8レーンがGen2となっている。そのほかにUSB 3.0×4、USB 2.0×4、SATA3×6をサポートしており、Intel VTにも対応している。Intel QATの性能はSKUにより異なっており、最大で30Gbps+30kOpsのRSA 2k PKEの性能を備えている。
Xeon D-1600シリーズには、以下の表のようなSKUが用意されており、第2四半期中に顧客への出荷が開始される見通しだ。
プロセッサナンバー | CPUコア | ベースクロック周波数 | 最大クロック周波数(Turbo時) | メモリ | Ethernet | Intel QAT | eTemp対応 | TDP | 奨励カスタマー向け価格(米ドル) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Xeon D-1653N | 8 | 2.8GHz | 3.1GHz | 2400MT/s,2ch | 4x10GbE | 最大30G | - | 65W | 748ドル |
Xeon D-1649N | 8 | 2.3GHz | 2.5GHz | 2133MT/s,2ch | 4x10GbE | 最大20G | 対応 | 45W | 705ドル |
Xeon D-1633N | 6 | 2.5GHz | 2.8GHz | 2133MT/s,2ch | 4x10GbE | 最大10G | - | 45W | 470ドル |
Xeon D-1637 | 6 | 2.9GHz | 3.2GHz | 2400MT/s,2ch | 4x10GbE | - | - | 55W | 406ドル |
Xeon D-1623N | 4 | 2.4GHz | 2.7GHz | 1866MT/s,2ch | 4x10GbE | 最大10G | - | 35W | 256ドル |
Xeon D-1627 | 4 | 2.9GHz | 3.2GHz | 2133MT/s,2ch | 4x10GbE | - | - | 45W | 202ドル |
Xeon D-1622 | 4 | 2.6GHz | 2.9GHz | 2133MT/s,2ch | - | - | - | 40W | 170ドル |
Xeon D-1602 | 2 | 2.5GHz | 2.8GHz | 2133MT/s,2ch | - | - | - | 27W | 106ドル |
10nmで製造される「Intel Agilex FPGA」、従来世代と比較して40%の性能向上と消費電力削減
同時にIntelが発表した「Intel Agilex FPGA」は、同社がAlteraを買収して得たFPGA製品の最新製品となる。
Intelは14nmプロセスルールで製造される製品として「Intel Stratix 10 FPGA」というFPGA製品を現在販売しているが、「Intel Agilex FPGA」はその後継製品で、10nmプロセスルールに微細化された製品となる。
Intelが「第2世代Intel Hyperflex Architecture」と呼んでいるアーキテクチャを採用し、従来製品(Stratix 10)と比較して40%の性能向上、40%の消費電力削減を実現している。
メモリはDDR5とHBMに対応しており、そのほかにも112Gbpsの電送に対応したトランシーバ、PCI Express Gen5のコントローラ、CPUとのインターフェースとなるUPIなどのチップセットが3Dに搭載されている、3Dパッケージとなっている。
チップセットは顧客のカスタムI/Oを乗せることも可能で、CPUとのインターフェースとなるUPIも搭載されており、Xeonプロセッサとキャッシュコヒーレンシ(キャッシュ間の一貫性維持)を行なえる。
今回の発表時点では、Xeonプロセッサとパッケージ上で統合したバージョンなどはリリースされていないが、将来的にそうした製品の登場も考えられるだろう(Arria 10 FPGAをオンチップで統合した「Xeon Gold 6138P」はすでに量産が開始されている)。
Fシリーズ、Iシリーズ、Mシリーズという3つのシリーズが用意されており、それぞれトランシーバ、PCI Express、搭載されているArmプロセッサ、対応メモリの種類などが違っている。
100GbEに対応したIntel Ethernet 800、ADQへの対応とDDPの改良で効率が改善
Intelは、同社のデータセンター向けEthernet製品「Intel Ethernet」ブランドの最新製品として、「Intel Ethernet 800」シリーズを発表した。開発コードネーム「Columbiaville」(コロンビアビル)で開発されてきた同製品は、IntelのEthernetコントローラとして初めて100GbEに対応しており、100Gbpsの伝送速度を実現する。
Intel Ethernet 800シリーズでは、「Application Device Queues (ADQ)」と「Dynamic Device Personalization (DDP)」の2つの機能に対応している。
前者は、よりインテリジェントにキュー管理を行なうことで、ネットワーク上を流れる要求が溢れて性能が低下するという事態を防ぐ。データベースアプリなどで効果があり、Redisなどのデータベースで45%のレイテンシ削減、30%のスループットの向上を実現する。
後者は、前モデルのIntel Ethernet 700シリーズでもサポートされていた、パケット処理をより動的に効率よく行なう仕組みで、Intel Ethernet 800シリーズでは、さらに改良が加えられて効率が向上している。
なお、Intel Ethernet 800にはコントローラ単体のE810と、拡張カードやモジュール形式になっている800の2つのラインナップがあり、顧客は自社のニーズに合わせて単体、拡張カード、モジュールのなかから選べるようになっている。