ニュース

Intel、10nmプロセス製造で40%の性能向上を謳う「Agilex FPGA」

~ネットワーク機器向けSoC「Xeon D-1600」や100GbE対応のIntel Ethernet 800シリーズも

Xeon D-1600シリーズの概要(出典: Intel Xeon D-1600 Processors、Intel Corporation)

 Intelは4月2日(米国時間)に報道発表を行ない、ネットワーク機器向けの「Xeon D」プロセッサの最新製品となる「Xeon D-1600シリーズ」、Altera FPGAの最新製品で、10nmプロセスルールで製造される「Intel Agilex FPGA」、そして同社のEthernetアダプタとして初めて100Gbpsの伝送速度を実現した、100GbE対応の「Intel Ethernet 800」の各製品を発表した。

NASやネットワーク機器向けのXeon Dに1600シリーズが新登場

 Intelが発表したXeon Dは、ネットワーク向けに最適化されたXeonプロセッサで、4~8個のx64 CPUコア、最大で4つの10GbE、暗号化や複合化のアクセラレータとして利用できる「Intel Quick Assist Technology (Intel QAT)」などのハードウェアを搭載したSoCになる。

 NAS、ファイヤウォール、ルーターなどの用途や、携帯電話キャリアの基地局のRAN、エッジサーバーなどの用途が想定されている。

Xeon D-1600シリーズは1500シリーズの後継製品(出典: Intel Xeon D-1600 Processors、Intel Corporation)

 Intelは、これまでXeon D-1500シリーズとXeon D-2100シリーズという2つのXeon Dプロセッサをリリースしていたが、Xeon D-1600シリーズは、Xeon D-1500のうち、コアあたりの処理能力にフォーカスしていたSKUを置き換えるものになる。

 TDPは27~65Wまでラインナップされており、Xeon D-1500と比較してベースクロック周波数が1.2~1.5倍に引き上げられており、性能が向上しているのが大きな特徴となる。

Xeon D-1600シリーズのダイダイアグラム(出典: Intel Xeon D-1600 Processors、Intel Corporation)

 メモリはDDR4-2400で、Registered DIMMを利用した場合には最大で128GB、Unbuffered DIMMないしはSO-DIMMを利用した場合には64GBまで対応でき、ECCにも対応する。

 PCI ExpressはGen3が24レーン、8レーンがGen2となっている。そのほかにUSB 3.0×4、USB 2.0×4、SATA3×6をサポートしており、Intel VTにも対応している。Intel QATの性能はSKUにより異なっており、最大で30Gbps+30kOpsのRSA 2k PKEの性能を備えている。

Xeon D-1600シリーズのQAT(出典: Intel Xeon D-1600 Processors、Intel Corporation)

 Xeon D-1600シリーズには、以下の表のようなSKUが用意されており、第2四半期中に顧客への出荷が開始される見通しだ。

Xeon D-1600シリーズのSKU(Intel社の資料より筆者作成)
プロセッサナンバーCPUコアベースクロック周波数最大クロック周波数(Turbo時)メモリEthernetIntel QATeTemp対応TDP奨励カスタマー向け価格(米ドル)
Xeon D-1653N82.8GHz3.1GHz2400MT/s,2ch4x10GbE最大30G-65W748ドル
Xeon D-1649N82.3GHz2.5GHz2133MT/s,2ch4x10GbE最大20G対応45W705ドル
Xeon D-1633N62.5GHz2.8GHz2133MT/s,2ch4x10GbE最大10G-45W470ドル
Xeon D-163762.9GHz3.2GHz2400MT/s,2ch4x10GbE--55W406ドル
Xeon D-1623N42.4GHz2.7GHz1866MT/s,2ch4x10GbE最大10G-35W256ドル
Xeon D-162742.9GHz3.2GHz2133MT/s,2ch4x10GbE--45W202ドル
Xeon D-162242.6GHz2.9GHz2133MT/s,2ch---40W170ドル
Xeon D-160222.5GHz2.8GHz2133MT/s,2ch---27W106ドル

10nmで製造される「Intel Agilex FPGA」、従来世代と比較して40%の性能向上と消費電力削減

Intel Agilex FPGAの概要(出典: Introducting The FPGA for the Data-Centric World、Intel Corporation)

 同時にIntelが発表した「Intel Agilex FPGA」は、同社がAlteraを買収して得たFPGA製品の最新製品となる。

 Intelは14nmプロセスルールで製造される製品として「Intel Stratix 10 FPGA」というFPGA製品を現在販売しているが、「Intel Agilex FPGA」はその後継製品で、10nmプロセスルールに微細化された製品となる。

 Intelが「第2世代Intel Hyperflex Architecture」と呼んでいるアーキテクチャを採用し、従来製品(Stratix 10)と比較して40%の性能向上、40%の消費電力削減を実現している。

Agilex FPGAのブロック図と性能(出典: Introducting The FPGA for the Data-Centric World、Intel Corporation)
3Dパッケージング技術を採用、チップレットはカスタマイズ可能(出典: Introducting The FPGA for the Data-Centric World、Intel Corporation)
Xeonプロセッサとキャッシュコヒーレンシが可能に(出典: Introducting The FPGA for the Data-Centric World、Intel Corporation)
PCI Express Gen5と112Gbpsのトランシーバを搭載(出典: Introducting The FPGA for the Data-Centric World、Intel Corporation)

 メモリはDDR5とHBMに対応しており、そのほかにも112Gbpsの電送に対応したトランシーバ、PCI Express Gen5のコントローラ、CPUとのインターフェースとなるUPIなどのチップセットが3Dに搭載されている、3Dパッケージとなっている。

 チップセットは顧客のカスタムI/Oを乗せることも可能で、CPUとのインターフェースとなるUPIも搭載されており、Xeonプロセッサとキャッシュコヒーレンシ(キャッシュ間の一貫性維持)を行なえる。

 今回の発表時点では、Xeonプロセッサとパッケージ上で統合したバージョンなどはリリースされていないが、将来的にそうした製品の登場も考えられるだろう(Arria 10 FPGAをオンチップで統合した「Xeon Gold 6138P」はすでに量産が開始されている)。

3つのシリーズ(出典: Introducting The FPGA for the Data-Centric World、Intel Corporation)

 Fシリーズ、Iシリーズ、Mシリーズという3つのシリーズが用意されており、それぞれトランシーバ、PCI Express、搭載されているArmプロセッサ、対応メモリの種類などが違っている。

100GbEに対応したIntel Ethernet 800、ADQへの対応とDDPの改良で効率が改善

Intel Ethernet 800

 Intelは、同社のデータセンター向けEthernet製品「Intel Ethernet」ブランドの最新製品として、「Intel Ethernet 800」シリーズを発表した。開発コードネーム「Columbiaville」(コロンビアビル)で開発されてきた同製品は、IntelのEthernetコントローラとして初めて100GbEに対応しており、100Gbpsの伝送速度を実現する。

Intelのデータセンター向けEthernetの進化(出典: Intel Ethernet Technology Innovations、Intel Corporation)
ADQ(出典: Intel Ethernet Technology Innovations、Intel Corporation)
ADQの効果(出典: Intel Ethernet Technology Innovations、Intel Corporation)

 Intel Ethernet 800シリーズでは、「Application Device Queues (ADQ)」と「Dynamic Device Personalization (DDP)」の2つの機能に対応している。

 前者は、よりインテリジェントにキュー管理を行なうことで、ネットワーク上を流れる要求が溢れて性能が低下するという事態を防ぐ。データベースアプリなどで効果があり、Redisなどのデータベースで45%のレイテンシ削減、30%のスループットの向上を実現する。

 後者は、前モデルのIntel Ethernet 700シリーズでもサポートされていた、パケット処理をより動的に効率よく行なう仕組みで、Intel Ethernet 800シリーズでは、さらに改良が加えられて効率が向上している。

拡張カード型のIntel Ethernet 800のコネクタ部分
モジュール型のIntel Ethernet 800

 なお、Intel Ethernet 800にはコントローラ単体のE810と、拡張カードやモジュール形式になっている800の2つのラインナップがあり、顧客は自社のニーズに合わせて単体、拡張カード、モジュールのなかから選べるようになっている。