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NVIDIA、279ドルからのTuring GPU「GeForce GTX 1660 Ti」

~GTX 1070並の性能

GeForce GTX 1660 Ti(ZOTAC製品)

 米NVIDIAは22日(現地時間)、Turingアーキテクチャを採用しながら279ドルというミドルレンジスイートスポット価格を狙ったGPU「GeForce GTX 1660 Ti」を発表した。推奨小売価格は279ドルから。

 日本国内で言えば3万円台のスイートスポットを狙ったモデル。上位のGeForce RTX 20シリーズと同様に、整数演算と浮動小数点演算が同時に行なえるというTuringアーキテクチャの特徴を維持しつつ、リアルタイムレイトレーシングを行なうRTコアと、深層学習を高速化するTensorコアを省いて低価格化した。

 ミドルレンジに向けたコア「TU116」を新規開発し、GTX 1660 Tiではこれを採用している。CUDAコア数は1,536基、テクスチャユニットは96基、ROPユニットは48基、ベースクロックは1,500MHz、Boostクロックは1,770MHzなどとなっている。製造プロセスは12nm FFN、トランジスタ数は66億、TDPは120Wとされている。

 先述のとおり、Turingでは整数演算と浮動小数点演算を同時に行なえる。これは近年のゲームのシェーダー処理に特化したものだとしており、一例として「Shadow of the Tomb Raider」では100個の演算命令のうち、平均62個が浮動小数点、38個が整数演算となっている。従来のPascalではこれらの処理を順次行なうしかなかったが、Turingでは浮動小数点と整数演算が同時処理できるため、性能が約1.5倍向上するという。

 また、同じシーン内でも、動きやコンテンツに応じてシェーディング周期を高めたり低めたりすることで負荷を下げるVariable Rate Shadingをサポート。これらを活用したゲーム「Wolfenstein II: The New Colossus」ではGTX 1060と比較して約1.5倍の性能を発揮するとしている、

 L1キャッシュも新たに最適化を施し、Pascalと比較してTPCあたりのヒットバンド幅は4倍となった。構成も変更可能で、合計64KBサイズとしてSMあたり32KBのシェアードメモリとしてアロケーションすることも、32KBサイズで64KBのシェアードメモリとしてアロケーションすることも可能。「Call of Duty Black Ops 4」ではこのキャッシュメモリアーキテクチャにより、GTX 1060比で50%の性能向上が図られる。

Turingアーキテクチャの特徴
整数と浮動小数点演算の同時実行が可能となり、L1キャッシュが最適化された
整数と浮動小数点演算の同時実行により、Shadow of the Tomb Raiderでは1.5倍に性能が向上
同時実行やL1キャッシュ容量向上による性能の強化
Variable Rate Shadingのうちの1つ、Adaptive Shading手法

 メモリはGDDR6となった。バス幅はGTX 1060と同じ192bitだが、転送速度が12Gbpsへと高速化したことで、バンド幅は288.1GB/sと50%以上高速化された。

 これらの技術の総合より、この1~2年のあいだにリリースされた新しいゲームにおいて、GTX 1060の1.3~1.5倍の性能を見込めるとしている。ただ、GeForce GTX 1660 Tiがターゲットとしているゲーム解像度はフルHDもしくはWQHDがメインであり、4Kに関しては引き続きハイエンドが担うとしている。

 また、同社が集計した現在のGeForceインストールベースによると、約3分の2のユーザーがいまだGeForce GTX 960以下の性能のGPUを利用しており、GTX 960からの買い替えでは2倍以上の性能向上が見込めるとしている。

ここ1~2年のうちにリリースされたゲームに強いGeForce GTX 1660 Ti
GTX 960からの買い替えでは2倍以上の性能向上が見込める