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オーディオ評論家がズバリ診断!
~マザーボードの高音質サウンド機能は本当に高音質か
2018年12月4日 06:00
PCのオンボードサウンド機能。この機能が普及したせいで、わざわざサウンドカードを増設するユーザーは少なくなった。また、最初からこの機能を当てにせずに、いきなりUSB DACなどを接続して、ハイレゾ音源再生などを楽しむ人も増えてきている。さて、この「オンボードサウンド機能」。いったいどのくらいの品質なのか。オーディオ的視点で聴き比べてみた。
ネットでよく聞くこんな意見
・ハイレゾ音源なんか聞かないから、オンボードで十分じゃないかな……
・最近のマザーはサウンド機能が強化されていると言うけれど、そんなに違いがあるの? ・PCにヘッドフォンを付けても音量が上がらない……。どうして?
・そもそもPCケースの中はノイズだらけなんだから、いくら頑張ってもたかが知れてるよ(笑)
見えないから気になるPCの音質オーディオ的な評価をしてみよう
オーディオの音源がデジタル化されてから、PCオーディオというジャンルが生まれた。現在ではPC主体のユーザーとオーディオ主体のユーザーが同じ音源を別々の方法で再生していることが多い。どんな再生方法を選ぶかはユーザーの求める音や予算、スペースなどによるが、PC視点で見るとマザーボード、サウンドカード、外付けUSB DACの順でオーディオに近付いていく。
PCのサウンドに関しては、いろいろな言説があり、どの部分が音質に影響を与えているのか、有効なカスタマイズ方法は何か、音質を左右するスペックなどがネット上で議論されている。オーディオマニアの間でも同様の議論がアナログ時代からあり、デジタルになってからDACの音質やジッタ、クロックなど、以前はなかった要素が加わってきた。この両者の間には共通点も多いに違いない。
今回はオーディオ的視点から、マザーボードのオンボードサウンドがどの程度のクオリティを持っているかを検証する。ハイレゾ音源を使いイヤフォン&ヘッドフォンとアクティブスピーカーを使って視聴を行なってみた。
試聴環境と方法
マザーボードの種類は多岐にわたっているため、サウンド機能が強化されたハイエンド製品と、サウンド機能にも気を配ったスタンダードクラスの製品から代表選手を選んでテストすることとした。
さらに比較用リファレンスとして1万円以下のUSB DACも準備。それに加えて8年落ちのノートPCを古いPC環境のサンプルとして用意した。この4つの環境で音の違い評価していく。
なお、視聴にはオーディオ用として評価の高いヘッドフォンとイヤフォン、アクティブスピーカーを使い、それぞれのヘッドフォン出力とライン出力を聞き比べた。接続ケーブルにはORBのオーディオ用を使用。サンプリング周波数192kHz、量子化bit数24bitのハイレゾ音源を中心にジャズ、ロック、女性ボーカルなどジャンルの違う音楽を聞いた。
8年落ちのノートPC
「軽量」、「長時間」、「頑丈(タフ)」をコンセプトに、多くのビジネスマンに好まれた2010年発売の法人向けモバイルノートPC。Core i5-560M vProを搭載し、最高15時間のバッテリ駆動に対応していた。メモリは標準で2GB、ストレージはHDD、OSはWindows 7を搭載するという、今となってはサブ機にすることすら心もとないスペックだ。
スタンダードマザーボード
9世代Intel Coreシリーズに合わせてリリースされた、Z390採用のミドルレンジのゲーミング向けマザーボード。シンプルな装備のみに絞った仕様ながら、大型のビデオカード用にPCI Expressスロットを強化するSteel ArmorやRGB LEDライティング機能、32Gbps対応の高速なM.2対応など、ゲーミングを楽しむ要素が搭載されている。
ハイエンドマザーボード
MSIのZ390搭載フラグシップマザーボード。18フェーズのVRMを搭載して多コアの新CPUの安定駆動に対応するほか、4-wayのマルチGPUをサポートするなど、高い拡張性を備えている。サウンド機能も豪華で、6.3mmのフォンジャックがそのまま挿さるコネクタのほか、マザーボードでありながらハイレゾ認証を取得するという徹底ぶりだ。
オカルト診断。高級マザーボードのオンボードサウンドは中級DAPレベル。決してオカルトではない!
今回の企画の話を聞いて、サウンドカードでなくオンボードサウンドでまともな音が出るのだろうか? とまず疑問に思った。2004年からHD Audio規格に準拠してハイレゾ対応になったらしく、8年落ちのノートPCでもFLACのハイレゾ音源を再生することができた。イヤフォンの音はイマイチだが、アクティブスピーカーなら、それなりにハイレゾ感も味わえる。それなら最新版のマザーボードはどうなのか。
「MPG Z390 GAMING PLUS」は、低音の量感を重視したバランスだが、高音が刺さるようなこともなく、わりとハイファイ指向の音。ヘッドフォンではややゲインが不足しており、スピーカーに接続したほうが好印象だった。
「MEG Z390 GODLIKE」はハイエンドオーディオ用DACを搭載、音質対策部品などを使っているだけあって、オンボードサウンドとは思えない音の完成度。サウンドカードはもういらないとさえ感じるほどでどれを接続しても文句なし。音が鮮明で粒立ちがよく、輪郭もシャープでハイレゾ再生向きだ。とくに低域の解像度が高いのがよい。オーディオ機器との接続はステレオミニからRCAピンの上質な変換ケーブルを使いたい。
PC内部という劣悪なノイズ環境、ほかの機器と共有の電源部を使いながら、ここまで高音質が出せたことに、マザーボードの進化を感じることができた。