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日本マイクロソフトの平野社長、札幌市立新川中学校とSkypeで授業

 日本マイクロソフトは、11月14日、グローバル教育イベント「Skype-a-Thon(スカイプ ア ソン)」の様子を公開した。

 札幌市出身の日本マイクロソフト・平野拓也社長が、東京・品川の同社本社社長室と、札幌市立新川中学校をSkypeで結び、同校の2年生111人と対談。平野社長は、生徒たちのユニークな自己紹介に、「みんなのエネルギーに圧倒されている」と切り出したあと、生徒たちの質問に答えた。

日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏

 「社長はどんな仕事をするのか」という質問に対しては、「会社全体の戦略を作ること、強い組織を作ること、Microsoft製品を使っている人に会って意見を聞き、Microsoftの技術や製品を理解してもらうことが仕事」と回答。社長になれた理由としては、「居心地の悪いこと、慣れないことにチャレンジした結果、リーダーとしての筋肉がついた。社長になる前に、旧ソビエト連邦の25の国をまとめるという仕事をした。言葉や文化がわからないという、自分にとっては居心地の悪いところで仕事をした。ここで、知識や経験を高めることができ、リーダーとしての筋力がついた」などとした。

 また、平野社長のプライベートに関する質問も飛び、「中学生のときには、生徒会長をやったり、地域の人とさまざまな企画をしたりといったことをしていた。いい中学生だったが、怒られたこともたくさんあった」などとしたほか、年収はいくらですかという質問には、「金額は言えないが、たくさんもらっています」と回答。

 さらに、プライベートでは、トヨタのミニバンに乗っていることや、2階建ての一軒家に住んでいること、自宅には、プールやエレベーターはないこと、持っているスーツの半分がオーダーメイドであることなどが明らかになった。「スーツは、一着10万円前後」との答えに、「やはり社長は、やることが違う」といった声が生徒の間からあがっていた。

 また、休日には、ピアノを弾いたり、家族と旅行に行ったりしていることに言及する一方、「いまの目標は、200m走で、人生最速のスピードにすること。毎晩走っていて、今週末には計測する予定である。まずは、30秒を目指す」などと述べた。

 社長室が26階にあるというと、生徒たちからは、「エーッ」という驚きの反応。「今日は、どんなお昼ご飯を食べたのか」という質問に対しては、日本マイクロソフトの19階のカフェテリアの写真と、食べたランチの写真を見せ、子供たちからは「すご~い」という歓声があがった。「メニューはよく変わるが、たまに登場するご当地メニューが大好き」とカェテリアの様子を紹介しながら、「もし、日本マイクロソフトの本社に来てくれたら、みんなにお昼ご飯を奢ります」と約束。子供たちからは、大きな歓声があがった。

 Skypeでの接続は約30分間だったが、質問が殺到した結果、最後には、クラスのなかでじゃんけんをして質問する生徒を決めたほどの盛り上がりをみせた。

日本マイクロソフト社長室と、札幌市立新川中学校をSkypeで結んだ授業の様子

 最後に、生徒の代表が、「新しいことに挑戦することの大切さを知った」と語り、平野社長にお礼の言葉を述べた。

 Skype-a-Thonは、遠隔教育や異文化交流をテーマに、米Microsoftが、2015年からスタートしているイベントで、Skypeを通じて、学校の授業では学ぶことができない教育体験を、子供たちに提供するのが特徴だ。今年(2018年)は、11月14~15日(米国時間)の2日間に渡って、全世界102カ国から子供たちが参加。日本マイクロソフトの参加は、今年が3回目となる。

 2017年のイベントでは、1,000人以上の教育者が参加。Skypeを利用して、48時間に渡って行なわれる「48時間 Virtual Field Trip」や、「地元の専門家との対談」などのさまざまなコンテンツを提供。合計1,400万マイル(2,000万キロ以上)の距離に達する学校と学校外を結んだ遠隔授業を行ない、世界中の子どもたちが教育を受けたり、異文化交流を行なったという。

 今年は、各国の幹部社員などが積極的に参加するかたちに進化。これまでは教育部門だけが参加していたイベントから、全社規模で推進するものになった。

 今回、日本マイクロソフトの本社と結んだ札幌市立新川中学校は、Microsoftが実施する「Microsoft Innovative Educator Experts(MIEE)」に認定された教員が在籍。ICT活用による先進的な教育に積極に取り組む1校だ。授業などにSkypeを活用しているほか、教育版マインクラフトも導入しているという。

金沢からSkypeで接続して説明する日本マイクロソフト パブリックセクター統括本部文教本部ティーチャーエンゲージメントマネージャーの原田英典氏

 日本マイクロソフト パブリックセクター統括本部文教本部ティーチャーエンゲージメントマネージャーの原田英典氏は、「日本マイクロソフトでは、Skypeを活用した『Skype in the Classroom』を提供しており、ここでは、生徒数が少ない学校でも、校外の講師に授業に参加してもらえるスカイプレッスン、スポーツ選手などの専門性を持った講師が参加するゲストスカイプ、博物館や国立公園とつないで、現地の施設を紹介するバーチャルフィールドトリップ、教室同士をつないで子供たちが質問しあうことで、どこの国とつながっているのかをお互いに当てるミステリートリップ、教室同士で1つのテーマで共同学習するスカイプコラボレーションを提供している。これらの5つのプログラムを通じて、学習の目的にあつた接続先をみつけることができる」と説明。

 「Skype-a-Thonは、ゲストスカイプの機能を活用したものであり、Skype通じて、授業に活用することを目指したものである。学校の学びを、外にもつなげることを狙ったものであり、経営トップとの対話を通じて、キャリア教育のひとつとして活用できる。外部の講師を招くきっかけづくりも狙っている」とした。

 今回のSkype-a-Thonでは、石川県金沢市の国際高等専門学校の1年生の生徒と、米シアトルのMicrosoft本社と接続。Microsoft 文教担当のアンソニー・サルシト副社長が、Skypeで対話をするといった授業も行なわれた。

 「昨年(2017年)のSkype-a-Thonでは、立命館小学校の児童と、副社長のアンソニーが対話をし、英語によるプレゼンテーションの教育に活用する例があった。この結果を共有し、子供たちにも第三者の意見を伝えた。これが、子供たちのモチベーションをあげることにつながっており、その後の授業のやり方にも影響を及ぼしている。また、学校外の人たちと、子供たちがコミュニケーションを取るきっかけにもなっている」とした。