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上野の科博で「日本を変えた千の技術博」開催。NEC PC-8001などが展示

~科学と技術が変えてきた暮らしと産業、文化

場所 : 国立科学博物館
会期 : 2018年10月30日 - 2019年3月3日
入場料 : 一般・大学生 1600円、小・中・高校生 600円。金曜・土曜限定ペア得ナイト券(会場で当日午後5時以降販売、2名同時入場限定) 2名1組 2,000円

 10月30日から2019年3月3日までの日程で、東京・上野にある国立科学博物館で特別展明治150年記念「日本を変えた千の技術博」が開かれる。明治から平成にいたるまでの日本の科学・技術の足跡を示す重要文化財、技術遺産、産業遺産などを展示する。

 展示は欧米から学びはじめたばかりの明治維新、科学・技術者の誕生を経て、庶民の暮らしを変えた電力普及、産業を支えた動力機関の発展、素材や化学、品種改良、そして土木・防災、今日にいたる情報通信技術など、8つのゾーンに分かれている。おおむね時代の流れにそって、科学と技術がどのように問題を解決し、新たな産業と暮らしを築いてきたかをつかめるようになっている。

オープニングゾーン
会場は8つのゾーンに分かれている

 展示物は、エジソンが明治天皇に献上した蓄音機「エジソン
クラスM」、東芝製の日本初の家庭用電気冷蔵庫や業務用電子レンジ、日本最初のブルドーザー「コマツブルドーザーG40」、中島飛行機製エンジン「二式一一五〇馬力発動機」、100年前の電気自動車「ミルバーン電気自動車」、量産車として初めてロータリーエンジンを搭載した「マツダコスモスポーツ」、日本で初めて製品化された電気式産業用ロボットの安川電機「MOTOMAN-L10」、探査機「はやぶさ」に搭載された「マイクロ波放電式イオンエンジンμ10」、八木・宇田アンテナを実用化した極超短波無線機、大正期のX線装置などなど多岐にわたる。さまざまな展示物がが会場にはずらりと並べられている。

 なお、展示物は貴重なだけではなく、かなりの重量のものが多く、そういった面でも展示には苦労したそうだ。

キログラム原器とメートル原器の輸送用容器。船が沈んでも回収できるよう高気密・耐水圧性を持つ
ジャガード織機。1880年。下にパンチカードがある
エジソンが明治天皇に献上した蓄音機「エジソン クラスM」。1890年ごろ
日本で3番目に設置されたエレベーター。1901年
高峰譲吉の消化剤「タカヂアスターゼ」。1909年発売
東芝製の電気掃除機「VC-C型」1947年
東芝の家庭用電気冷蔵庫「SS-1200型」。1930年。内容量125L、重量157kg
同じく国産第1号の電気洗濯機「ソーラーA型」
「Milburn電気自動車」。1920年ごろ。当時は電気自動車のほうが一般的だった
量産車として初めてロータリーエンジンを搭載した「マツダコスモスポーツ」。1967年
中島飛行機製エンジン「二式一一五〇馬力発動機」1943年
探査機「はやぶさ」に搭載された「マイクロ波放電式イオンエンジンμ10」
全電気式産業用ロボット安川電機「MOTOMAN-L10」。1977年
日本窒素肥料 射出成形機「Isoma」1943年
セルロイド製品
カーボンファイバー
近代化を支えた炭鉱
生命科学コーナーも
カイコの品種改良に関する展示
遺伝子組み換えで光るカイコの繭
日本最初のブルドーザー「コマツブルドーザーG40(小松1型均土機)」。1943年
日本無線の小型船舶用レーダーNMD-411型アンテナ。1956年
日本初の業務用電子レンジ。東芝製。1961年
電子レンジ用マグネトロン
真空管を4本使った四球ラジオ。1935年ごろ
八木・宇田アンテナを実用化した極超短波無線機
肩掛型テープ録音機「PT1」。1951年
順天堂大学が開発した超音波断層診断装置1号。1953年
ソニートランジスタラジオ「TR55」1955年
ソニー「ウォークマン」1979年

 後半の情報通信技術の展示では、日立「大型汎用電子計算機HITAC5020」(1964)、霞ヶ関ビルの耐震設計に使われたアナログコンピュータ「強震応答解析用アナログ計算機SERAC」、初めてかな漢字変換を実現した日本語ワードプロセッサ「JW-10」、そしてIntel「8080Aシステム・デザイン・キット」(1976)、NEC「PC-8001」、日立「ベーシックマスター」、「カシオミニ」、ソニーのウォークマンやAIBOなども展示されている。

霞ヶ関ビルの耐震設計に使われたアナログコンピュータ「強震応答解析用アナログ計算機SERAC」
地震の波形を光学的に読んで入力、ペンレコーダに波形として出力した。デジタル計算機の計算を実証するために使われたという
1970年の大阪万博で登場したワイヤレス電話と1985年ごろのショルダーフォン
自動車電話「TZ803A」。1988年
NEC製のファクシミリ「NE式写真伝送装置」。1928年
世界初のポータブルトランジスタTV、ソニーポータブルテレビ「TV8-301」。1960年
セイコーテレビウォッチ。1982年
島津製作所 X線装置 ニューオーロラ号
タイガー計算器 十號型。大正時代の四則演算機
ヘンミ計算尺
最初期のオールトランジスタ電子式卓上計算機「コンペットCS-10A」。1964年。重量25kg、当時の価格は535,000円とほぼ乗用車程度
1972年に登場したパーソナルユースの電卓「カシオミニ」。電卓普及の契機となった
国産初の大型コンピュータ日立「大型汎用電子計算機HITAC5020」1964年。奥は地球シミュレータ1号機
その配線。日立中央研究所で1967年まで使われたという
Intel「8080A システム・デザイン・キット」。1976年
日本初の8ビットパソコン日立製作所「ベーシックマスターMB6880」。1978年。
NECのパソコン「PC-8001」。1979年
NEC PC-9800シリーズは電気学会の「でんきの礎」にも選ばれている
初めて効果的なかな漢字変換を実現した日本語ワードプロセッサ「JW-10」。1978年発表、79年発売。当時の価格は630万円
TK-80(1976)は国立科学博物館の地球館に展示されている

 第1会場の展示は、未来を先取りした技術として、ウェアラブルコンピュータのはしりとしてのセイコーのコンピュータ付きウォッチ「腕コン」や、電総研(現在は産総研)が開発したビジョンを備えた知能ロボット、そしてロボットと人との関係を変えたものとして、ソニーAIBOなどで締めくくられている。

世界初の視覚付き油圧駆動式マニュピレーター「ETLロボットMk1」。1970年
セイコーUC2000(腕コン)。1984年。電卓、2000文字のメモ、スケジュール機能があった
ソニー「AIBO」。1999年
未来を先取りした技術という位置づけ

 なお、フォトスポットコーナーは「ダイヤル式電話と写真を撮ろう!」というもの。黒電話の写真が撮れる。もしかすると、ある年齢以上の人たちには、このコーナーが一番の衝撃かもしれない。

グッズコーナー。これはカイコの文鎮
二式一一五〇馬力発動機をデザインしたTシャツ
黒電話と写真が撮れる
「日本を変えた千の技術博」会期は10月30日 - 2019年3月3日