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Micron、“QLC NAND”搭載のNVMe SSD「Crucial P1」国内発売

~1TBで2.8万円、2TBモデルも近日投入

Crucial P1

 マイクロンジャパン株式会社は、PCI Express接続のNVMe SSD「Crucial P1」を10月27日より発売する。

 容量は500GBと1TBの2つをラインナップ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は500GBモデルが14,000円、1TBモデルが28,000円の見込み。

 本製品では、既存のMLCやTLCを超える、各NANDセルに4ビットを格納する「Quad Level Cell (QLC)」NANDフラッシュを採用しており、安価で高速かつ大容量のストレージを実現したとする。

 QLC NANDでは、TLC NANDと比べてチップあたりの容量密度を大きく向上できるメリットと引き換えに、性能(転送速度)や書き込み耐性の面で劣るが、P1では、Micron独自のSLCキャッシュ技術「Hybrid Dynamic Write Acceleration」により安定した性能の実現を謳う。

 本製品では、上記のSLCキャッシュ技術のほか、情報漏えいを防ぐ「Multistep Data Inegrity Algorithm」、加熱を防ぐ「Adaptive Thermal Monitoring」、部品レベルでデータを保護する「Redundant Array of Independent NAND」といった機能も備える。

 接続インターフェイスはPCIe 3.0 x4で、フォームファクタはM.2 2280。転送速度は1TBモデル(カッコ内500GBモデル)でシーケンシャルリード2,000MB/s(1,900MB/s)、同ライト1,700MB/s(950MB/s)、ランダムリード17万IOPS(9万IOPS)、同ライト24万IOPS(22万IOPS)。

 平均故障間隔(MTBF)は180万時間、総書き込みバイト数(TBW)は500GBモデルが100TBW、1TBモデルが200TB。動作時平均消費電力は100mW。両製品ともに5年間の制限付き保証が付属する。

 都内で行なわれた製品発表会には、米Micron コンシューマプロダクトグループ ワールドワイド ストレージマーケティング担当マネージャーのジョナサン・ウィーチ氏が登壇。

 ウィーチ氏は、今回投入するのは、同社のコンシューマ向けブランド「Crucial」の製品で、「信頼の性能を届ける」というブランドコミットメントのとおり、13世代に渡って投入してきたCrucial SSDの最新製品となると紹介。

米Micron コンシューマプロダクトグループ ワールドワイド ストレージマーケティング担当マネージャー ジョナサン・ウィーチ氏
Crucialブランド
ブランド評価
Crucialのコミットメント
13世代のSSD製品を投入

 Crucial P1では3D QLC NANDの採用により、今までNVMe SSDの購入を検討していなかった消費者でも、手にとれる価格を実現しているとアピール。とくにゲーマーや自作PCユーザーに最適であるとし、今回発売されるのは500GBと1TBの2モデルだが、近日に2TBモデルも投入予定であることを明かした。

 製品の特徴として、「キュー深度(Queue Depth)」が低い場合により高い性能を発揮することを挙げ、QD1~4といった低QD時に高速転送が可能であるとした。

 同氏は、OSやゲーム、Photoshopといったコンシューマ向けのアプリケーションでは、低QDの書き込みがもっとも多用されると述べ、ユーザー環境での実効性能が高い製品になっていると語った。

 採用されているNANDチップは64層QLC NANDで、Silicon Motion製の4チャネルNVMeコントローラ「SMI2263」を搭載。

 前述のSLCキャッシュについては、500GBモデルで55GB、1TBモデルで140GBのSLCキャッシュ領域を設けており、それだけ大きなキャッシュを設けることで、QLC NANDの採用による性能の低下をユーザーが体感することはほぼないと説明。

 なお、SLCキャッシュに加えてDRAMキャッシュも搭載していることが明かされた。

製品ロードマップ
Crucial P1
製品仕様

 Micronでは、情報の日本語化も積極的に実施しており、SSD製品向けの無償ツール「Crucial Storage Executive」も日本語化を行なっており、同ツールでステータス確認やSecure Eraseコマンド、S.M.A.R.T情報の読み取り、ファームウェアアップデートなどが行なえると紹介した。

 P1は、Crucialブランドのコンシューマ向け製品として、“満を持して”投入されるNVMe SSDとなるが、今市場参入した理由として、ウィーチ氏は、SATA SSDからNVMe SSDへの市場の移行は想定よりも遅々とした歩みであると述べ、その原因として価格面の格差を挙げ、QLC NANDの採用によって、その障壁を乗り越えられたと判断して今回の製品投入に至ったと語った。

 同氏にQLC NAND採用のSATA SSDの投入について訊ねたところ、「市場の需要は常に評価しており、検討はしている」との回答を得られた。

 Micronは、すでにエンタープライズ向けにQLC NAND搭載の大容量2.5インチSATA SSDを投入(Micron、7mm厚2.5インチで容量7.68TBの“QLC NAND”採用SSD)しており、ぜひコンシューマ向け製品の投入にも期待したい。

Crucial BX500
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Crucial Storage Executive