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Ryzen Threadripper WX、自動でゲーム性能が47%向上する「Dynamic Local Mode」を追加

Ryzen Threadripper WXシリーズの構成。4つのダイのうち2つはメモリにアクセスできず、Infinity Fabricを経由する

 AMDは10月5日(現地時間)、Ryzen設定用ユーティリティ「Ryzen Master」に、Threadripper 2970WXおよび2990WXに搭載されているメモリ動作モードの切り替えを自動で行なう「Dynamic Local Mode」を追加し、10月29日に提供開始すると発表した。

 Ryzen Threadripper Xには「Distributed Mode」と「Local Mode」の2種類のメモリアクセスモードが用意されている。前者は、OS上からはすべてのメモリがすべてのダイからアクセスできるように見え、メモリチャネルを束ねて帯域幅を稼げる。一方で後者はNUMAノードと呼ばれる2つのパーティションがあるように見え、各CPUコアが物理的に最も近いメモリに優先してアクセスし、レイテンシを抑えるモードとなっている。

 各々のモードの切り替えはRyzen Master上から行なえるようになっている。ユーザーが意図的に手動で切り替える手間があり、システムの再起動が必要だが、とくにゲームなどは、Local Modeへ切り替えることで性能向上が見込めた。

 一方で、24コアの2970WXおよび32コアの2990WXでは、4つのダイのうち2つしかメモリに直結されていない。Windowsは、基本的に優先的にメモリに直接アクセスできるダイにスレッドを割り振っているのだが、これは先着順であるため、アクセスできないダイにスレッドが割り振られることもある。そうするとInfinity Fabricを経由する必要があり、レイテンシが増加。これがゲームなどにおいて性能が低下する要因となっていた。

 Ryzen Masterに新たに搭載されるDynamic Local Modeを有効にすると、Windows 10のバックグラウンドサービスとして動作。スレッドで消費しているCPU時間を監視し、メモリアクセスが頻繁に行なわれるものに関しては、メモリに直接アクセスできるCPUコアにそのスレッドを割り振る。

Ryzen MasterのDynamic Local Modeの設定

 これにより、ユーザーがLocal Modeを選ぶことなく、自動でメモリアクセスのレイテンシが削減できるようになる。同社の測定によれば、Dynamic Local Modeをオンにすることで、3Dゲームの「Far Cry 5」では10%、「PUBG」では12%、「Battlefield 1」では47%も性能が向上するとしている。

メモリレイテンシが効くアプリケーションで効果がある