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大容量をナメるなよ! テラ・ストレージの世界を担うのはまだまだHDDだ

~最新内蔵HDD 5製品一斉比較

 今、安価に大容量のストレージを手に入れるならHDD一択だ。巨大化する写真、動画のデータ保管庫に、Steamセールで買いあさった積みゲーのインストール先に、あるいはデータのバックアップにと、用途はさまざま。とくに内蔵型HDDはPCのサブドライブに、外付けケースやNASにと、運用の自由度の高さが強みだ。

TEXT:鈴木雅暢

5年保証のプロ向けモデル

Seagate Technology BarraCuda Pro。デスクトップ向け7,200rpm

 クリエイターやプロフェッショナルユーザーをターゲットにした高速高信頼性モデル。回転速度7,200rpmの高いランダム性能と高信頼性を両立。5年間の長期保証に加え、2年間のデータ復旧サービス「Rescueデータ・リカバリ・プラン」のライセンスが特典として付帯する。

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
ST12000DM000712TB256MB64,000円前後5.33円
ST10000DM000410TB256MB45,000円前後4.50円
ST8000DM00048TB256MB47,000円前後5.88円
ST6000DM0046TB256MB30,000円前後5.00円

合理的なキャッシュ技術で高コスパを実現

Seagate Technology BarraCuda。デスクトップ向け5,400rpm/7,200rpm

 Seagateの普及モデル。高密度プラッタにDRAM、NAND型フラッシュメモリを含む独自の階層型キャッシュ技術「Multi-Tier Caching(MTC) Technology」を導入。低価格で大容量、多用途に対応できる性能を両立。コスパの高さが光る。3TB以上のモデルは5,400rpm、2TB以下のモデルは7,200rpm。

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
ST8000DM0048TB256MB18,000円前後2.25円
ST6000DM0036TB256MB12,000円前後2.00円
ST4000DM0044TB256MB9,000円前後2.33円
ST3000DM0073TB256MB7,000円前後2.33円
ST2000DM0062TB64MB6,000円前後3.00円
ST1000DM0101TB64MB5,500円前後5.50円
ST500DM009500GB64MB5,000円前後10.00円

マルチベイ対応のNAS向けコスパのよさにも注目

Seagate Technology IronWolf。NAS向け5,900rpm/7,200rpm

 24時間365日連続運用前提にMTBF100万時間の信頼性を担保。4TB以上のモデルには回転振動(RV)センサーも搭載するなどマルチベイの本格RAIDシステムにも対応できる機能を備えながら容量単価も比較的リーズナブルだ。6TB以上のモデルは7,200rpm、それ以外は5,900rpmだ。

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
ST12000VN000712TB256MB46,000円前後3.83円
ST10000VN000410TB256MB34,000円前後3.40円
ST8000VN00228TB256MB28,000円前後3.50円
ST6000VN00336TB256MB24,000円前後4.00円
ST4000VN0084TB64MB13,000円前後3.25円
ST3000VN0073TB64MB11,000円前後3.67円
ST2000VN0042TB64MB9,000円前後4.50円
ST1000VN0021TB64MB8,000円前後8.00円

コスパのよさで大人気のスタンダードモデル

Western Digital WD Blue。デスクトップ向け5,400rpm/7,200rpm

 WDは、カラーで製品の位置付けを示すブランド戦略を展開する。Blueはもっとも安価な一般デスクトップPC向けのスタンダードなモデルだ。一般PCでの長期間利用の運用を想定して設計されており、性能、コスト、信頼性のバランスに優れる。回転数はWD10EZEX、WD5000AAKXのみ7,200rpmだ。

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
WD60EZRZ6TB64MB15,000円前後2.50円
WD40EZRZ4TB64MB10,000円前後2.50円
WD30EZRZ3TB64MB8,500円前後2.83円
WD20EZRZ2TB64MB7,000円前後3.50円
WD10EZRZ1TB64MB7,000円前後7.00円
WD10EZEX1TB64MB6,000円前後6.00円
WD5000AAKX500GB16MB6,000円前後12.00円

高度な機能を備えた信頼と実績の「赤」

Western Digital WD Red。NAS向け5,400rpm

 独自のNAS向けファームウェア「NAS Ware 3.0」を導入。24時間365日常時稼働を前提に、NASに最適化した低温かつ静音運用を行なうほか、マルチドライブ環境で問題となる振動に対するデータ保護機能も搭載する。実際のNAS製品への多数の採用事例が信頼性の高さを裏付ける。

型番容量キャッシュ実売価格GB単価
WD100EFAX10TB256MB41,000円前後4.10円
WD80EFAX8TB256MB30,000円前後3.75円
WD80EFZX8TB128MB32,000円前後4.00円
WD60EFRX6TB64MB23,000円前後3.83円
WD40EFRX4TB64MB15,000円前後3.75円
WD30EFRX3TB64MB12,000円前後4.00円
WD20EFRX2TB64MB10,000円前後5.00円
WD10EFRX1TB64MB8,000円前後8.00円

【問い合わせ先】Seagate Technology:0120-993-280/http://www.seagate.com/jp/ja/、Western Digital:0120-994-120(ウエスタンデジタルジャパン)//http://www.wdc.com/jp/

最新HDDベンチマーク

 最新の内蔵HDDはどのくらいの性能があるのだろうか。代表的な5台をベンチマークテストで検証した。定番のCrystalDiskMarkのシーケンシャルリード/ライトは、各社の公称値に近い値が出ている。なかでもSeagateの7,200rpmモデル2台が優秀で、リード/ライトともに250MB/sを超えている。

 ランダム性能はライトはキャッシュの影響が大きく出るためばらつく傾向だが、リードに関しては7,200rpmモデルを超えるスコアを出したWD Redの性能の高さが目立つ。

 普及モデルのSeagateのBarraCudaは、ライト性能が少し低め。搭載キャッシュ容量は256MBと普及型としてはかなり大きいのだが、これは一般的なDRAMキャッシュではなく、DRAMとNAND型フラッシュメモリを組み合わせた階層型構造であることの影響が出ているのだろう。

 実践的なテストの一環として、SSDからの100GBのファイルコピーテストを行なった。CrystalDiskMarkのシーケンシャルライトのスコアがよかったSeagateの7,200rpmモデルはここでも好結果が出た。ただ、ファイルサイズなどとの相性がよくないのか、SeagateのBarraCudaとWD Blueでは差があり、前者のほうがよい結果だった。ちなみに、転送速度に換算すると前者は約155MB/s、後者は約135MB/sとなる。

 ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマークのロード時間もやはり7,200rpmの2台が強い。5,400rpmの3台はどれも似たようなスコアだった。

 消費電力については、容量が大きいほうが不利になる。それを考慮するとWD Redは、10TBでありながら6TBのWD Blueより低く、かなり優秀と言える。

【検証環境】CPU:Intel Core i7-8086K Limited Edition(4GHz)、マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX Z370-F GAMING(Intel Z370)、メモリ:Micron Crucial Ballistix BLT2K8G4D26AFTA(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)、ビデオカード:玄人志向 GALAKURO GK-GTX1070Ti-E8GB/WHITE(NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti)、システムSSD:Samsung SSD 970 PRO MZ-V7P1T0B/IT[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]、OS:Windows 10 Pro 64bit版、電力計:Electronic Educational Devices Watts up? PRO、ファイルコピー:システムSSDから100GBのファイルをコピーしたときの時間、アイドル時:ファイルコピー終了から5分後の値、高負荷時:ファイルコピー実行中の最大値

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本記事は、DOS/V POWER REPORT10月号「特集・SSD/HDD/NAS+αPCストレージ強化計画」からの抜粋です。この特集では、SSD(NVMe/Serial ATA)やHDD(内蔵、外付け)、NAS、USBメモリ、SDメモリーカードなど、旬の各種ストレージからお勧めの製品をピックアップして検証するとともに、ストレージを使いこなすためのコツや、ストレージやデータの処分方法について紹介しています。