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レッツノート用「バッテリー診断・制御プログラム」でOSが起動しなくなる不具合

パナソニック コネクティッドソリューションズ社 樋口泰行社長

 パナソニックは、2018年6月12日から提供を開始している「バッテリー診断・制御プログラム」のダウンロードを、6月22日午後3時30分より、一時的に停止したと発表した。

 リコール対象となっている機種のうち、CF-S10/N10シリーズ、CF-SX1/NX1シリーズ、CF-SX2/NX2シリーズの一部モデルで、インストールの途中で、セットアップエラーが起こり、PCが起動しなくなるなどの症状が発生したための措置だ。

 起動しなくなったPCは、メインボードの交換が必要になるが、HDDへの影響はないため、データの消去などは起こらないとしている。

 なお、不具合が発生せずにインストールが完了している場合は、プログラムが実行されており、そのまま使用できるという。

 もし、PCが起動しないなどの症状がある場合は、0120-870-163(フリーダイヤル)に連絡すれば、無償で修理する。

 また、現在、修正プログラムを開発しており、7月5日から、再度ダウンロードできるようにする。

 リコール対象となった機種のうち、CF-SX3/NX3シリーズ、CF-SX4/NX4シリーズ(Windows10プリインストールモデルはリコール対象外)、CF-AX2/AX3、CF-C2は不具合が発生しておらず、現在でも、プログラムは引き続きダウンロードしてインストールできる。

インストール中に割り込み処理が入ると不具合が発生する

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、6月25日に都内で会見し、「ご迷惑をおかけしている」と陳謝。修正プログラムについては、評価パターンの環境を組み上げているところであり、7月5日の再配信を目標に、現在テストを行なっている段階だという。

 「制御プログラムのパッチをインストールすると一部の機種でエラーが発生することが発見された。テストは十分に行なっていたが、Windowsがある割り込み制御を行なったタイミングと重なると、エラーが発生することがわかった。エラーの発生確率は0.4%であり、ほとんどの場合うまく動作するが、エラーが起こり得る状態にある。そこで、エラーが起きないように回避したバージョンを作成し、配布の準備をしている。これが整うのが7月5日となる」とした。

 パナソニックは、3月28日に、レッツノートシリーズの一部機種で、劣化が進んだバッテリーパックから発火する可能性があるとして、リコール社告を出しており、その対応として、6月12日から「バッテリー診断・制御プログラム」の配信を開始していた。

 同社によると、6月25日午前9時までのダウンロード数は、14,230台であり、そのうち、53台のPCで、起動しないなどの不具合が発生しているという。

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部開発センターの栂尾幸一郎所次長は、「今回のリコール対策では、新たな充電制御を導入することで解決しようと考えていた。この充電制御プログラムそのものには問題はないが、これをインストールするためのソフトウェアをダウンロードし、インストールするプログラムに問題があった」と説明。

 「ROMを書き換えている最中に、Windowsからの割り込みが発生すると、ROMの書き込みが中止してしまい、その後の復旧がうまくいかずに書き換え途中のまま終了し、結果として、次回の起動操作をしたときに、プログラム不全で起動しなくなる状態が発生する」と説明した。

 6月12日夜に、ダウンロードをしたユーザーからPCが起動しないという不具合の報告が4件あり、そのうち1件が大阪市内のユーザーであったことから、13日にパナソニックの社員が直接PCを受け取り、同社神戸工場で解析を開始。さらに、不具合が発生した製品を解析した結果、大きく3つの利用パターンで問題が発生することがわかったという。

 「すでに出荷したものを対象に、プログラムを書き換えていくことになるため、顧客ごとにさまざまな利用パターンが存在し、それを、設計面から想定し、かなりの台数の試験を行なってきた。だが、対象となった製品は少しプラットフォームが古いこともあり、挙動が異なる部分があったことがあとからわかった。バグといえばバグだが、環境設定として見抜けなかったところに我々の反省がある。書き換えている部分はOSの下の階層であり、これらの機種では、OSが割り込んで止めにくる部分を、我々のプログラムが止め切れていなかったのが原因」と説明した。

 パナソニックでは、22日までにパターンを特定するかたちで、原因を突き止めたことから、22日にプログラムの配信を停止し、あわせて修正プログラムの開発を開始したという。

 なお、修正プログラムの配信の対象となるCF-S10/N10シリーズ、CF-SX1/NX1シリーズ、CF-SX2/NX2シリーズは、国内外を含めて、592,704台にのぼる。