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メルコ・牧誠氏のお別れ会が開催

メルコの創業者であり、メルコホールディングス取締役会長の牧誠氏

 メルコの創業者であり、メルコホールディングス取締役会長の牧誠氏のお別れの会が、2018年5月14日、名古屋市西区のホテルナゴヤキャッスルでしめやかに行なわれた。

 会場には業界関係者など約1,000人が訪れ、故人を偲んだ。

 牧氏は、1948年4月29日、愛知県名古屋市出身。1967年3月に東海高等学校卒、1971年3月に早稲田大学理工学部物理学科卒、1973年3月に早稲田大学大学院理工学研究科応用物理学修了。オーディオメーカーに勤務後、1975年に個人経営のメルコを創業。

 1978年8月にメルコ(現バッファロー)を設立し、社長に就任。1986年6月に有限会社バッファロー(現メルコホールデイングス)を設立し、社長に就任。2004年5月にバッファロー代表取締役会長、2006年5月バッファロー取締役会長、2014年6月にメルコホールディングス代表取締役会長、2017年10月メルコホールディングス取締役会長に就任。

 2013年から病気療養していたが、2018年4月3日午後9時4分、心不全で逝去した。享年69歳。

 お別れの会委員長を務めたメルコホールディングスの松尾民男取締役副社長は、「牧誠会長は、オーディオメーカーとしてスタートしたメルコを創業、バッファローブランドのPC周辺機器メーカーとして、社業および業界の発展に全力を尽くした。

 お客様に喜んでもらえる製品をいち早く提供することに力を注いでおり、1999年には、それまで法人向けが中心だった無線LAN製品を個人向けに展開し、新たにコンシューマ市場を切り開いた。そのほかにも法人向けNASや、録画番組を外部から視聴できるリモートアクセス機器など、世界初、国内初の製品を投入してきた。これは、メーカーのトップであり、エンジニアでもあった牧会長の強い信念の成果であった。

 我々は、大きな存在を失うことになり、まさに痛恨の極みである。牧会長を失ったことはいまでも信じがたいが、牧会長が示した指針の方向をしっかりと見定め、全社員が一丸となって前進していくことを誓う。ぜひメルコグループを見守ってほしい。牧会長が残したメルコバリューを実現し続ける」と追悼の辞を述べた。

 また、喪主を務めたメルコメールディングスの牧寛之社長は謝辞で、「来週になると49日を迎え、個人の魂が旅立つことになる。きっと今日の会場に来て、みなさまとお会いできていることを喜んでいる。昨日、名古屋では突然の大雨となったが、これは故人がうれしさのあまりに流した涙ではないかと思っている。故人が残した心や理念を、私をはじめとしたメルコ社員が受け継いでいく。メルコグループも、牧誠の心も永久に不滅である。意志を継いで、千年企業へと向かって走っていくメルコグループのご支援を賜りたい」と語った。

 お別れの会では、東海エレクトロニクス 相談役の大倉偉作氏、名古屋銀行 取締役会長の加藤千麿氏、BCNの代表取締役会長兼社長の奥田喜久男氏の3人がお別れの言葉を述べた。

名古屋市西区のホテルナゴヤキャッスルで行なわれた牧誠氏のお別れの会
牧誠氏のお別れの会の様子
お別れの会には約1,000人が参列した
追悼の辞を述べるメルコホールディングの松尾民男取締役副社長
喪主を務めたメルコメールディングスの牧寛之社長
参列者全員が献花を行なった

 なお、お別れの会の会場では、牧誠氏の生前の様子や、メルコの歴代のエポックメイキングな製品が一堂に展示された。

 その様子を写真で紹介する。

会場には牧氏の写真とともに、歴代の製品が並べられ、多くの人が懐かしさを感じていた
自宅の4畳半からスタートしたメルコ。夫人の牧廣美氏と2人で創業した
オーディオメーカーとしてスタート。途中から売れなくなり、顧客ニーズの大切さを知ったという
アンテナショップとして設けた大須アメ横のメルショップ。製品開発のヒントにつなげた
この頃から展示会にも積極的に出展。そこでも生の声を聞いていたという
当時米国で主流となっていたEMS方式を自らが広告に出て訴求した
社内会議では社員の声を積極的に聞いたという
生産技術センターを名古屋市天白区に設置。生産手法の開発にも投資した
1992年の社員旅行の様子
1992年にハイテクセンターを設置。生産・開発部門の強化を図った
1992年には、台湾にアジアにおける部品調達および生産拠点として進出
1995年に店頭登録から、東証一部および名証一部に上場を果たした
東証一部に上場した際の上場通知書
2015年に創業30周年を迎えた記念式典で、夫人の牧廣美氏とともに
公益財団法人メルコ学術振興財団を設立。創業30周年記念の社会貢献事業として取り組んだ
一般社団法人デジタルライフ推進協会を設立。右がI・Oデータ機器の細野昭雄社長
メルコの創業製品であるアンプ。全国を売りまわり、顧客ニーズの大切さを知った製品
これが最初のメルコのロゴマークだ
ユーザーニーズを具現化した第1号製品とされる糸ドライブプレーヤー。大ヒット商品となった
PC周辺機器事業の第1号製品となったP-ROMライター
PC黎明期の大ヒット商品のプリンタバッファ
こちらは外付けタイプのプリンタバッファ。さらに販売が拡大した
プリンタパッファの便利さを複数のPCで利用することを目指した多機能プリンタシェアリング
RAMボード。バッファローではソフトを添付して簡単に設定、活用できるのが特徴
EMSボード。米国で標準となっていたこの規格を日本に持ち込み、市場を拡大した
シリコンディスク。HDD普及前の大容量データベースニーズに対応した製品
プリンタバッファの進化系として製品化した無線プリンタバッファ
LANネットワークボード。まずはビア・トゥー・ピア型で投入。LANを身近なものにした
CPUの性能を高め、既存のマシンを有効利用したいといったニーズに対応したCPUアクセラレータ
Windows環境での利用を快適にするために登場したのがウィンドウ・アクセラレータ。マルチタスクの利用に効果を発揮した
USBケーブルから電源供給が可能なバスパワー駆動ポータブルHDD
世界初の一般オフィス向け無線LAN装置はバッファローから投入された
LANに接続して利用するネットワークハードディスクのNASを投入したのもバッファローが世界初だった
オフィス向けNAS「TeraStation」で他社に先駆け製品ラインアップを強化した
上級者のためのブランドとして用意した「玄人志向」ブランドもメルコグループの製品
写真の管理方法や楽しみ方を提案した「おもいでばこ」
ネットワークオーディオ分野にも参入
ネットワークオーディオは、メルコブランドモデルも限定で40台(そのうち国内向けは20台)用意された